2009年8月9日日曜日

ノーベル賞経済学者

なかなか読み進められなかった本ですが、そうこうしているうちに本の賞味期限を過ぎてしまったような気がします。内容は自由主義・市場主義の押し付けとブッシュ体制に対する厳しいコメントで埋められています。

ジョセフ・E・スティグリッツ ”スティグリッツ教授の経済教室” 

・世界銀行とIMFが唱えていた経済戦略、つまり成長のためには政府の役割を縮小し、民営化を進め、規制を取り払い、社会的セーフティネットを縮小することだとする「ワシントン・コンセンサス」は幻想だった。これを無視した国は、これに従った国よりも高い成長を達成した。また市場メカニズムは、危機の際は機能しないどころか、非常事態を悪化させる。

・スカンジナビア諸国の成功の要件は以下のとおり。
 ①強力な教育プログラム。生涯学習も重視している。
 ②失職した労働者の再就職のための訓練を支援する積極的な労働市場政策。
 ③完全雇用。インフレの低位安定よりも完全雇用が不可欠。
 ④強力なセーフティネット。個人のリスクへの積極性を高めるためにも必須。

・温暖化ガス排出削減についてスティグリッツ氏は、キャップアンドトレードによる市場原理を働かせるよりも炭素税の導入に賛同している。

・過剰なインフレ懸念は杞憂。インフレ率の穏やかな上昇が天井知らずのインフレにつながることはない。むしろインフレを低く抑えすぎると成長が妨げられる可能性があることさえあるという研究成果もある。中央銀行の使命はインフレの抑制ではなく、「高く安定した成長と低い失業率」だと認識すべき。

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