2008年3月31日月曜日

没落する日本

雑誌では日本経済の危機を示す記事ばかりです。

エコノミスト 2008年2月26日号
”没落する日本”

日本の経済がいかに没落しているかを定性的、定量的に示し、それから日本は没落などしないという記事が続きます。

おもしろかった内容としては、榊原英資早稲田大学教授のインタビューで出てきた「基礎的自治体」の話。市町村合併を繰り返し、人口30万人の自治体を300くらいつくり、分権を行うという方法です。厚生労働省、文部科学省などを国の機能から外し、政府は外交、防衛、財政に専念し、教育も完全に自由化して地方で競争すれば、次世代のリーダーが出てくるだろうとのこと。なるほど。

また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)の「国際競争力ランキング」、同じくスイスの世界経済フォーラム(WEF)の「世界競争力報告書」で、日本の国際競争力の低迷が示されているのですが、これらのランキングは「現在の国力」を評価するというよりは、経済状況、技術、法制度、治安、労働市場など、簡単に言えば「企業の活動しやすさ」を評価しているというのもおもしろいですね。つまり現在の競争力ではなく、将来の競争力を評価しているというわけです。

このように、日本経済の没落をテーマにしながらも、やはり政策論の問題に帰結してしまうのではないかと感じます。企業の努力も引き続き必要なことはもちろんですが、日本経済復活のための本当の鍵は、やはり政治の世界にあるように思えます。

話はかわりますが、この記事の日本の没落を示すデータ集の中で、「世界の億万長者番付から日本人はいなくなった」ということを示すべく、億万長者ランキングが掲載されていました。1位:ビル・ゲイツ氏、2位:ウォーレン・バフェット氏は有名として、

3位:カルロス・スリム(テレフォノス・デ・メヒコ、メキシコ)
4位:イングヴァー・カンブラッド(イケア、スウェーデン)
5位:ラクシュミ・ミタル(ミタル・スチール、インド)
7位:ベルナール・アルノー(LVMH、フランス)
8位:アマンシオ・オルテガ(ザラ、スペイン)
9位:リ・カシン(長江集団、中国)
10位:デヴィット・トムソン(トムソン、カナダ)

・・・と、非アメリカ人ばかり(6位はアメリカの方)。国籍も業界もバラバラ。このランキングはちょっとおもしろいですね。必ずしも先進国企業の経営者でもないし、B to BもB to Cもあります。いったい何が起きているのでしょう。

2008年3月30日日曜日

屋久島を満喫

屋久島に行ってきました。大自然と親切な人々からなるすばらしい島でした。3泊4日の小旅行で、実質島で遊んだのは丸2日でしたが、1日は白谷雲水峡と島一周ドライブ、もう1日は縄文杉登山にあて、充実した旅行になりました。

屋久島の自然は巨大な杉、美しいコケ、澄み切った水などすばらしく、その中を歩いていると生命力の強靱さに驚かされます。
どんな場所にも生えるコケや、倒木・切り株の上に生えて大木に育つ屋久杉などを見ていると、自分もこの自然のように、たくましく成長していきたいものだと感じました。

白谷雲水峡も、縄文杉の登山道も、全くゴミが落ちていないのにも驚きました。大自然の前では、人間は良心に基づいて行動するのかもしれません。

また美しいのは自然だけではありません。屋久島の住民は本当にホスピタリティにあふれています。宿でタクシーの手配をお願いしようとすると、宿のスタッフが送ってくれたり、縄文杉登山に早朝から出かけるために、宿の方がヘッドライトを貸してくれたりしました。「サービスが行き届いている」というのではなく、「みなさんとても親切で、普通に世話を
焼いてくれる」という感じがしました。つられて観光客も親切な感じもしました。いい人ばかりで心が洗われます。

屋久島は週に10日、月に35日、年に400日雨が降ると言われるほど多雨な島ですが、今回の旅行中は1時間?ほどぱらぱら降っただけで、ずっとよい天気だったのもよかったです。

屋久島を満喫するには相当の体力が必要ですが(例えば縄文杉登山は10時間近くかかります)子供やお年寄りもたくさん訪れています。私もまた訪れたくなりました。次は海でスキューバや川でカヌーなんかもやってみたいです。住民の方々とももっとふれ合いたいですね。

以下、備忘メモ。

交通アクセス
・羽田から鹿児島空港に降りたら、バスで鹿児島市内へ(1時間程度、1,200円)。
・タクシーに乗り換えて鹿児島市内から鹿児島港へ(ワンメーター)。
・高速船で屋久島へ(2時間半程度、往復9,000円)。
・観光案内所は17時までなので注意が必要。

観光スポット
・白谷雲水峡 入り口の駐車場まで宮之浦中心街からはレンタカーですぐ。自然の中を散歩する感じ。コケと川の流れが大変美しい。のどが渇いたら川からペットボトルに水をくんで飲める。歩道が明確にあるわけではないが、行く手には木の枝にピンクのリボンが結ばれており、迷うことはない。3時間ほど一周できる。もののけ姫の森を通って太鼓岩まで行くには往復でさらに2時間ほどかかるが、今回は太鼓岩までは行かなかった。

・大川の滝 巨大な滝で滝壺まで近づける。幹線道路からすぐのところにあって気軽に立ち寄れる。

・縄文杉登山 入り口の駐車場まで安房から車で30分程度かかる。駐車場が狭く、安房を朝4:30頃に出発しないと車を停められない。その時間は真っ暗で、当然街灯もない中、カーブ連続の山道を運転するのは、ペーパードライバーの私にはかなりつらかった。入り口からはトロッコの線路に沿ってひたすら歩く。枕木につまづきそうになる。何時間か歩くと脇道に入る階段が表れる。そこからは登山。ひたすら登って縄文杉を目指す。普通のカッコにスニーカーでも特に問題はない。日中であれば道に迷うことはない。縄文杉まで行って戻ってくるには丸一日かかる。

宿泊した施設
・民宿 八重岳 宮之浦からすぐで便利。まさに民宿、という感じ。

・癒しの館「つわんこ」 普通の家を宿にしている。友達の家に来た感じ。だが露天風呂がある。ちょっと寒かった。超屋久島通のご主人からいろんなお話が聞ける。

・ロッジ八重岳山荘 屋久杉の森の中にある。コテージを一つ貸してくれる。スタッフは親切で物腰柔らか。バーベキュー設備もあるし、川に面していてカヌーを無料で借りられる。洗濯機や乾燥機もあって、長期滞在に適しているかも。ただ、屋久杉の森に囲まれ、コテージも杉のログハウスもなので、花粉症持ちにはきついかも。

2008年3月25日火曜日

保険の解約手続

バイクを処分したので、保険の解約をしました。
任意保険は電話でできたのですが、自賠責は直接窓口に行かないとだめらしい。なぜ?

しょうがないので、電話で対応窓口がある店舗の場所を聞いて出向きました。
窓口のある場所を聞いたので行ってみると、そこには店舗はなくて本社ビルがあるだけ・・・
営業店じゃなくて、普通の会社。受付も普通の会社の受付です。

「バイクの自賠責保険の解約に来たんですけど・・・ここでできるんですか?」とたずねると、
慣れない対応で担当者のフロアに案内されました。

エレベータを降りると、普通のオフィスです。全く普通のオフィスで居場所がない中、
隅の方のスペースで担当の方と解約の手続きをとりました。

「こんなとこに私みたいな普通のお客さんが来ることあるんですか?」とたずねると、
「めったにないですね。でもまた来てください」と応えてくれました。
いや、次回からは店舗に行きます・・・

さて今日から、屋久島に行ってきます。世界遺産の自然を満喫してきます。
ホテルの予約とかスケジュールとか全くしていないけど、まあ行けばなんとかなるかな。

屋久島は「1ヶ月に35日雨が降る」と言われていますが、晴れるといいなぁ。

ハングンマル備忘メモ
「アンニョンヒ ケセヨ」:さよなら(相手がその場にとどまる場合)
「アンニョンヒ カセヨ」:さよなら(相手がその場から立ち去る場合)

2008年3月24日月曜日

経営のプロが考えていること

なにげなく手に取った本ですが、思ったよりもおもしろかったです。

八城政基
”八城政基 MBA講義”

MBA講義とありますが、八城さんの一人語り+質疑応答で、
勉強すると言うよりは読み物の本です。

まず著者の八城さんは、大学を卒業して今のエクソンモービルに入社し、
35歳で日本支社の取締役になり、その後アメリカに渡り、また帰国し、
45歳で日本支社の社長になり、50歳くらいでアメリカの親会社の筆頭副社長を7年務め、
また帰国して(自分で設定した)定年退職します。
60歳でシティバンクに請われて入社し、その後シティコープ・ジャパンの会長まで務めた
すごい人。その後もいろいろやって、いまは新生銀行の会長をされているみたいですね。
日本を代表するプロフェッショナル経営者と言ってもよいでしょう。

生粋の外資系経験から、日本企業の経営を多面的な観点から洞察するというもの。
2000年の書籍なので、情報が古いところはありますが、経営のプロはこういうことを
考えているのかと、大変勉強になります。以下備忘録。

経営トップ
・アメリカ企業が日本企業と一番違う点は、「トップが戦略を立てること」である。
・日本のストック・オプションは額が低すぎて機能しない。
・アメリカの株主総会は、CEOが1人だけで3時間程度答弁する。
・企業はトップ次第である。

コーポレート・ガバナンス
・取締役会の本来の存在意義は経営執行の監視である。
・日本の執行役員制度は取締役会メンバー削減のためだけに使われているまやかし。
・取締役会は社外取締役を中心に構成しなければ意味がない。
・アメリカでは指名委員会や報酬委員会も社外取締役中心に行われ、お手盛りは不可能。
・海外拠点のコーポレート・ガバナンスを考えると、現地法人にするか支店にするかは
 「取締役会を持つか否か」という意味で違いが出てくる。

人材マネジメント
・大学を出て入社した社員は、5年程度の間に見極めをつけて、
 マネジャーコースやテクニカルスタッフコースなどに乗せるべき。
・最優秀評価をつける社員に対しては上司が具体的な育成計画を作成するべき。
・エクソンにはマネジャーをつくるトレーニングはなく、難易度の高い仕事を経験をさせる。
・人事評価はダブルチェック、トリプルチェック機能が果たされるようシステム化し、
 社員が信頼できる制度になっていないとうまくいかない。
・収益を生まない社員は少なければ少ないほどよく、実働部隊が大事だ。

ステークホルダー論
・日本ではシェアホルダー重視よりもステークホルダー重視の姿勢が尊ばれる。
・日本では持ち合い制度のもと、株主間の利害関係の深さに大きく違いがある。
・シェアホルダーバリューを高めることが経営の一番大切なことだと焦点を絞るべき。

社外コンサルタント
・コンサルタントを使うときは漠然と相談してはいけない。狙いを定めてそこだけ聞く。
・コンサルタントがよい意見を出しても使う側が社内でリーダーシップを持っていなければ、
 会社はその案を実行しない。
・アメリカのマネジメントコンサルティングは成長が鈍化しており、コンサルビジネスは
 フィナンシャルサービスかITコンサルでないと厳しくなっている。

他にもいろいろと非常に具体的なお話が出てきておもしろいです。

その中で、八城さんが一番主張していることは、「社外取締役制度の導入」です。
私も企業が国際的に評価を受け、海外からの投資を受けるためには、
世界に誇るコーポレート・ガバナンスが必要で、その肝は社外取締役制度にあると
考えていたので、非常に共感できました。

2008年3月23日日曜日

年度末は飲み会ラッシュ

今日も出勤、最近休日出勤が多いです。
来週休暇なので、仕事を片づけておかないといけなかったので。
休みに向けて、本も大量に買ってきました。

話かわって、
私は会社のテニス部に所属しているのですが、
来年度の部の新歓に向けて、夜は横浜に下見に行きました。
でも、お店に着くやいなや飲み始めてしまって、
下見は二の次でしたが・・・

4月には新歓とは別に、お花見もやろうか、という話にもなったのですが、
私は4月は休日出勤のピークで、ほとんど予定が空いていません。
残念ですが、今年は4月はあまり遊べなさそう。しょうがないか。

各種打ち上げや人事異動に際していろんな人に相談を持ちかけたとかで、
今週一週間は毎日、昼は普段合わない人とランチ、夜は飲み会でした。
明日は少し運動してカロリーをコントロールしないと。

最後に、全然本文とは関係ないけど、ポッドキャストで学んだ韓国語をメモしておこう。

・「ネー」:はい
・「アニヨ」:いいえ
・「チャル チネッソヨ」:元気です
・「チャル プッタハムニダ」:よろしくお願いします
・「チョヌン ○○ イムニダ」:私は○○です

韓国語は日本人にも発音しやすいのですが、基本的に低音調で、
「ネー」は「デー」とも聞こえるし、「チャル」は「チャエ」とも聞こえます。

文法は全くわかりません。「チャル」は上に2度出てきているけど、「good」って感じなのかな?
しばらく文法はいいかな。でももう少し表現を覚えたいですね。
私はソウルは2回行っていますが、韓国の方が何を話しているか全くわからないし、
コンビニでコーヒー買うのもひと苦労。
次回韓国に行ったら、ぜひ韓国語をしゃべってみたいです。

2008年3月22日土曜日

大学のダイバーシティ化

昨日は大学時代の所属研究室の追いコンに
出席してきました。
もちろん私はとっくに卒業していますが。

今の研究室の構成メンバーや、新しく入ってくる学生さんの
話をうかがうと、大学の研究室の多様化は著しいなと感じます。

私のいた頃は、同じ大学の学部生がそのまま大学院に
上がっただけでしたが、
今は出身大学もばらばら、それどころか国籍までばらばらと
いう感じです。

研究に国籍なんて関係ないので、当然の時代の流れでしょう。
グローバリゼーションの波は、経済だけでなく大学にも来ています。
これからもおもしろくなりそうです。

一方で、指導教官は大変そうです。
これは企業のダイバーシティマネジメントと同じですね。
指導教官のマネジメント力がますます問われる時代になったと
いうことです。

2008年3月21日金曜日

赤坂サカス

赤坂サカスに早速行ってきました。本日オープンです。
TBSを中心とした商業空間で、
「赤坂BIZタワー」というオフィス棟と「赤坂 ザ レジデンス」という賃貸住宅棟の間に、
「赤坂ACTシアター」、「赤坂BLITZ」、「Sacas広場」と呼ばれる屋外イベント会場が
設置されています。

赤坂駅を出た雰囲気は、六本木の東京ミッドタウンと似た雰囲気。
同じ三井不動産だから当然かな。オフィス棟のB1~3階は商業施設ですが、
ほとんどが飲食店。それも高級レストランというよりは、ライトな感じで
テイクアウトもできるようなお店です。
ビルの入り口周辺などで、プラスチックカップに入ったラーメンを立ったままで
食べている人もいて、それはこの場にフィットするのかな?とも思ったけど、
屋外イベント会場とのシナジーを考慮すると、高級レストランよりもテイクアウト中心の
ちょっと珍しいもの売っている飲食店のほうがよいのかも。

話はかわりますが、最近できた他のモールの特徴はこんな感じでしょうか。

丸ビル・新丸ビル:ビジネスパーソンがときどき、ちょっとした小物を買いに行く場所。
六本木ヒルズ:遊びに行くところを決めてないときに、目的なく行っても楽しめる場所。
東京ミッドタウン:六本木で働く人、あるいは六本木に住んでいる人が日常的に、非日常的な
           ショッピングを楽しむ場所。

赤坂サカスはやっぱり東京ミッドタウンのコンセプトに近いかな・・・
でも飲食店以外のお店はほとんどなく、ショッピングを楽しむ場所ではありません。

また、六本木ヒルズのように、映画館も気軽に楽しめる美術館もありません。
赤坂サカスで行われていることは、ACTシアターではミュージカルや演劇、BLITZでは
ライブですから、「ヒマだから出かけようか」、で楽しめる場所ではありません。
実施されているイベントのスケジュールをあらかじめ確認して、予約して出かける場所です。
こういう位置づけで商業空間を企画するというのはなかなかチャレンジングだと思います。

舞台やライブが、多くの人にとってより身近な娯楽になれば、赤坂サカスはいつも
盛況になるでしょう。ですが、狙いを外せばTBSと赤坂BIZタワーの社員しかいない
場所にもなりえます。

もしかすると、広くあまねく集客するつもりではなくて、
超高付加価値マンションであるレジデンス棟がTBS社員、赤坂BIZタワー内企業の社員で
すべて埋められれば、黒字になるのかも。
分譲ではなく賃貸住宅として貸し出しているのも、いろいろな意図を感じておもしろいです。

2008年3月20日木曜日

居酒屋のカウンターでマネジャーと

今日は直属のマネジャーとふたりで飲みました。
最近毎日飲んでばかりだな・・・

4月から私が異動してしまうので、上司部下としてゆっくり飲むのは最後の機会でしょう。
オフィスでは現在の業務状況の話を主として共有するばかりですが、
仕事観や人に対する考え方、これからの会社のあり方、お客さまや競合企業のとらえ方、
そして、これまでの私に対する率直なご意見や、今後の私に対する期待など、
いろいろ語り合えて本当によかった。

私の今のマネジャーは、私が入社したときに最初に担当した仕事のリーダーだったので、
私の仕事ぶりの変遷については、入社時からよくご存知です。
再び同じ仕事をする機会があったら、「一人前になったな」と言ってもらえるよう、
私は私で腕を磨いておきたいと思います。

「2時間で切り上げる」という約束でしたが、3時間半くらい
おつきあいいただきました。
その上、私が誘ったのに、ごちそうしていただいてありがとうございました。
ごちそうしていただいた分は、いつか必ずお返しします。
(とお礼を言っても、このBlogはご覧になっていないのですけどね)

居酒屋のカウンターで、日本酒飲みながら上司と1対1で語るのも、
ホームドラマに出てくるような、会社員の典型的な夜っぽくて、
そういうのもたまにはよいですね。

2008年3月19日水曜日

アジャイルという競争優位

今日はシステム開発者、システムコンサルタントの方々と飲みました。
いろいろ盛り上がりましたが、はじめて聞いたキーワードに
「アジャイル(agile)」があります。

アジャイルとは、素早いフィードバックを繰り返しながら、工程の文書化よりも
機能の実現を優先して、とにかく試行錯誤し迅速にシステムを開発するプロセスだそう。
これは従来のような、スケジュールをしっかり組んで、後戻りせずにつくりあげる
ウォーターフォール型システム開発と対比される手法です。
アジャイルでは必然的に、小集団で、顧客に密接して開発が進められます。

お話を伺いながら、「日本のシステム開発が競争力を維持できるのは、
国内企業に対するアジャイルによるシステム開発しかないのではないか?」
と思ってしまいました。

標準化が進み、モジュールの組み立てでシステムを作り上げるのなら、
インドや中国に対して、日本企業はもう勝てないような気がします。
コスト面だけでなく、技術者の質と量、システムの品質面でも。

現在の日本のシステム会社のビジネスは、もしかしたら、
日本企業に対して、「言語障壁」と「アジャイルプロセス」のみを競争優位にして
生き延びているのかもしれません。
ただ、アジャイルというのは単にやり方のひとつであって、競争力の源泉には
ならないんじゃないかな、とも直感的に感じます。

システム開発ビジネスは、グローバリゼーションの波をどう乗り切ればよいのだろうか?
と、深く考えさせられました。難しい課題です。

2008年3月18日火曜日

企業文化を変革するには

以前印刷したまま読んでいなかった、企業文化に関する論文を読みました。

河合篤男
”強い文化を持つ企業の革新プロセスに関する分析視覚
-相互作用モデルを基盤として-”

企業文化の定義と、その変革に関して、古今東西いろいろな論文を集めて
整理した論文でした。よく勉強されています。
ただ、他の文献の引用が多すぎて、筆者の主張が希薄になってしまっていました。

とはいえこういう論文の方が勉強になったりするものです。
全体の論調としては、

①企業文化には革新が必要である。
②革新の仕方は連続的ではなく断絶的、唐突的なプロセスが必要である。
③トップによる現状否定など、企業内部に矛盾と危機感を生み出す。
④ミドルや現場社員の自発的な活動、対話などの相互作用を促す。
⑤突然新しいことが発生したら、トップが中心となって正当化する。
⑥この突出を見本例として、企業全体に変革を伝播する。

という主張です。コッターの「8段階の企業変革プロセス」にも似たところがありますが、
一番難しいのは③なんですよね・・・
危機感をあおることでしか、組織の変革は実現できないのかな・・・というのは
私がずっと考えているテーマのひとつです。

危機感は確かにすごいパワーを発揮させますが、副作用も大きい。
人や組織を動かす力は危機感だけではないんじゃないかと、その答えを探す日々です。

2008年3月17日月曜日

日経ストックリーグ表彰式

昨日、日経ストックリーグの表彰式に行ってきました。
日経ストックリーグとは、日本経済新聞社が主催するイベントで、中・高・大学生が、
いろいろなコンセプトを考えて、投資ポートフォリオを作るという企画です。

基調講演の伊藤元重東京大学大学院教授のグローバル経済のお話も、
渡辺喜美金融担当大臣を交えたパネルディスカッションもおもしろかったです。

ただ、肝心の受賞者のポートフォリオに関する総評がほとんどなかったのが残念でした。
受賞者の学生の方と少しお話する機会があったのですが、
「自分たちのポートフォリオの何が評価されて、もっとよくするためには何が必要かが
わからなかった」とおっしゃっていました。
私もどういうポートフォリオが評価されるのか知りたかったですね。

少なくとも、パフォーマンスだけではなくて、その企画コンセプトや
銘柄選定のプロセス(たとえば企業を直接訪問してインタビューするとか)も
評価に含まれているようでした。

日本人にはまだまだ、「株の勉強を中学生や高校生のうちからやらなくても・・・」という
価値観があるようですが、一方でストックリーグに参加する学生・指導教官への
アンケートによると、ストックリーグ自体を「授業の一環として位置づけている」という学校が
少なからずあるようで、金融教育も変わっているのだなぁと感心しました。

パネルディスカッションで、シンクタンク・ソフィアバンクの藤沢久美副代表が
おっしゃっていましたが、金融はあらゆる産業の基盤になっていて、
金融を学ぶということは、経済の基盤を学ぶということなんですよね。

資源を輸入し、高い技術力でものづくりをし、それを輸出することで成長してきた
技術立国日本ですが、開発途上国の台頭や資源の高騰で、
それだけではたち行かなくなってきています。

そういう時代の中で、日本という国からグローバル経済を考えるとき、金融の視点は
必須だと思います。学生のうちからしっかり理解しておくことは、将来を担う人材にとって
とても大切なことだと思います。

私は学生時代、金融も経済もほとんど勉強してこなかったので、いま勉強していますが、
学ぶテーマとしてもとてもおもしろい。知的好奇心が満たされます。

金融教育の議論では、「金融は学生に教えなければならないもの」という
感触を受けますが、
「金融という好奇心そそられるテーマを学ぶ権利を、学生から奪ってはいけない」
と私は思います。
「資産運用のための教育」というよりは「グローバル経済を理解するための基盤教育」として
金融教育が広く認識されることが重要かと思います。

あと話かわりますが、昨日に引き続き、今日も自炊しました。
食材が余っていたので昼も夜もつくってみました。

自炊ってこんなに経済的なんですね。味も自分の好きにできるし、
後かたづけが面倒だけど、休日はできるだけ自炊しようかなと思います。
食材を買うお店が、家の近くにあればよいのだけど・・・

2008年3月16日日曜日

カルボナーラをつくってみました

とうとう自宅で料理をしました。カルボナーラをつくりました。
忘れないように、今日やった手順を書いておきます。

①ベーコン、アスパラ、タマネギを一口サイズに刻む。
②鍋で湯をわかし、パスタを入れる。
③①の材料を炒める。ベーコンがあれば油はいらない。
④③が終わる頃にはパスタがゆであがるので、③とまぜる。
⑤別の器にタマゴと、粉チーズを大量に入れてかき混ぜる、④にあえる。
⑥盛りつけて完了。

適当なスーパーがなかったので、
デパートの高級食材店で
材料をあつめましたが、
たいした金額はかかりませんでした。

たまには自炊もよいですね。
食材も余っているし、
できれば明日もやってみます。

2008年3月15日土曜日

青天の霹靂

人事異動の通知がありました。多くの会社同様、毎年この時期です。
まあ、自分には関係ないだろうな、と思っていました。

が・・・人生はわからないものです。想像もしていなかった組織へ
異動になりました。

想像外の異動のほとんどがそうであるように、今の段階では
100%好意的に捉えることができていません。

ただ、自分にとって本気で内省するよい機会になりました。
最近そこそこ仕事をこなせてきたし、必死で将来のビジョンを描かなくても
それなりうまくやっていけるような感触を、持ってしまっていたような気がします。
そういう私に、神の見えざる手が内省の機会をプレゼントしてくれたのでしょう。
「今の仕事が、本当にやりたかった仕事なのか?違うなら、本当にやりたいことは何?」
と本気で考えないといけないな、と気づかされたことは事実です。

私はとにかく尊敬できる人がそばにいることが最重要だと考えているので、
異動後の組織で、自分をとりまく人をしっかり観察し、場合によっては早急に
対応しなければと考えています。ただ、まずは新しい組織でチャレンジしてみます。

そしてこの機会に、自分の今後のことについて
ゆっくり、しっかり、考えてみようと思います。

2008年3月14日金曜日

会計のトレンド

週刊誌で会計関係の特集がされていました。

週間ダイヤモンド 2008/02/23号
”会計力の鍛え方”

メインは「XBRL」という技術についての話です。
2008年4月から、金融庁と東証への提出書類について、「XBRL化」が義務づけられます。
XBRLとは、eXtensible Business Reporting Languageの略で、
「各種財務報告用の情報を作成・流通・利用できるように標準化されたXMLベースの言語」
と定義されています。要はコンピュータで自動処理するための財務データの書式です。

企業にとって、XBRLの義務化は負荷の大きなものだと思いますが、一度システムを
構築してしまえば、管理会計、他社分析、内部監査などしやすくなりますし、
メリットも大きいと思います。

もっと大きなメリットを得られるのは、個人投資家でしょう。
データ整備の負荷なしに、機関投資家やプロのアナリストと、同じ条件で
企業の財務分析ができるようになるわけですからね。
逆に機関投資家やプロのアナリストには、より高度な分析が求められるようになります。
財務情報を提供するサービス業などは、仕事自体がなくなってしまうかもしれません。

研修の世界でも、最近「会計」がトレンドになっているようです。
グロービスでは会計や財務の受講者数が伸びているそう。

記事では、社員の会計力を強化している、キョーリンという会社の事例が紹介されています。

 ・経理部主催で、社員なら誰でも参加できる勉強会
 ・社員向けの決算説明会
 ・管理職向け研修に自社の会計状況について分析するプログラムを追加

なるほど、よい制度だと思います。社員一人一人が会計を意識しますね。

最後は管理会計の話。有名な村田製作所と京セラの管理会計が紹介されていました。

村田製作所
 ・製品別の軸と工程別の軸で経営管理ユニットを細分化し、それぞれのユニットを
  独立採算の事業体と位置づける「マトリックス経営」
 ・製造原価の内訳を細分化して徹底的にチェックする
 ・製品ごとにP/Lが作成されている(作成されるP/Lはグループ会社で90強程度)

京セラ
 ・組織を約3000の小集団に分割し、それらがまるで別々の中小企業のように、
  融合したり切磋琢磨する、「アメーバ経営」
 ・製造などにかかったコストを積み上げて原価計算を行うのではなく、
  製品売価から特定の原価率をかけることで行い、利益を意識した原価管理を行っている
 ・付加価値を「総出荷-社内での購買-経費」と定義している
  (つまり、各アメーバの責任者ではコントロールできない「人件費」の影響を受けない)
 ・そうして定義された「付加価値」を「労働時間合計」で割ることにより算出される
  「1時間あたり付加価値」を管理している

ここまでやってるから、賞賛される健全経営を維持できるんだろうなぁ。

最後に管理会計の重要性についてのコメントです。

「企業経営を航海にたとえるなら、財務会計がその船の過去の航海記録であるのに対し、
管理会計は、これから目的地に向かって船をどう安全に航行させればいいか
それを判断する計器類のようなものといえます。」(公認会計士 林總氏)

京セラの稲盛さんも同じことを言っています。ただ、稲盛さんのメタファーは、
「飛行機のコクピットの計器類」でした。

2008年3月13日木曜日

3月の風物詩

明日お伺いするお客さまに、バレンタインのお返しをするべく、
今日は大丸東京1F、お菓子売り場に行ってきました。

もう驚くほどの混雑です。お客さんはスーツを着た方がほとんどでした。
もちろんホワイトデーのお返しでしょうね。
ところどころにいた、観光客風の方々が少しかわいそうでした。

私はお客さんが全然並んでいないお店で買いました。
なぜものすごく並ぶお店と並んでいないお店に顕著にわかれるんだろう?
和菓子はしょうがないにしても、洋菓子にはそんなに差があるようには
感じませんでしたが・・・

ブランド?とも思いましたが、私でも知っているようなお菓子ブランドでも
行列がないお店はあったし、その逆もありました。行列が行列を呼ぶのかな。
一番行列が長かったのは、PIERRE HERMEというお店でした。

あとは、この日ばかりはラッピングが重要ですね。
中身がいくらおいしそうであっても、ラッピングがさっぱりしてると
買うのをためらいます。というか中身はほとんど見てません。
包装紙の色も、ちょっとダークトーンな方が大人っぽくてよいです。
リボンがかかっているかどうかも、みばえには結構影響しますね。

それにしても百貨店のお菓子売り場で、スーツ姿の男性が、
身動き取れないほど混雑しているのは、異様な風景でした。
この季節の風物詩ってとこでしょうか。

2008年3月12日水曜日

花粉症デビュー

どうやら本格的に花粉症になってしまったようです。
認めたくないけど。

なってみて思うのは、花粉症というのは、私が想像していた症状とは
ちょっと異なるものだったということです。

まず、目がすごく乾きます。パソコン画面を見ることが多いこともあって、
ドライアイのような症状としてあらわれます。
次に、鼻がつまります。ときどきくしゃみも出ますが、
顕著に現れる症状は鼻づまりです。
そして、のどが渇きます。飲み物ばかり飲みたくなります。

花粉症とはアレルギー症状だから、かゆいとか、花粉が入って異物感があるとか、
そういう症状のイメージを持っていました。

ですが、今のところ私にとっては、「強い乾燥」と同じような感覚です。
まだ初期症状だからかもしれませんが。

とはいってもかなりつらいです。集中できません。
花粉症の方々は、毎年この季節になると、こんな状態、あるいはもっと大変な状態で
仕事をなさっているんだな・・・と思うと、本当にすごいと思います。

花粉の季節はいつ終わるんでしょう・・・
花粉情報サイトで明日の花粉状況をチェックする毎日です。

2008年3月11日火曜日

CSR人事で会社を変える

日経産業新聞 2008/01/08
労働新聞第2670号 2008/2/25

二つの情報リソースで、三井化学の”CSR人事”に関する記事を読みました。

三井化学では、部長クラス以上に環境(温室効果ガスの削減量)や
社会(労働災害、コンプライアンス)の側面から目標を設定させ、
その達成状況を賞与や昇給に反映する人事制度を導入したそうです。

化学メーカーなので、温室効果ガスの排出量は、そのまま企業としてのコストになりますし、
労働災害やコンプライアンスの問題は、訴訟リスクや賠償責任など、
やはりこれも直接コストに効いてきます。そういう意味では

「コストを削減した社員を高く評価しているだけで、どこの企業でもやっていることを、
三井化学はPRのためにCSR人事だと言っているだけではないのか?」

とも思えるかもしれません。

ですが、制度の中身を見ると、やはり三井化学の制度は
極めて先進的であることがわかります。

 ①年度の経営計画で「経済」「環境」「社会」それぞれの全社目標を設定する。
 ②全社目標に従い、部長クラス以上が自らの事業部門の目標を設定する。
 ③目標達成に向け部下に各業務を分担していく。
 こうして経営理念と業務活動の方向性を一致させる。 

 各目標の達成度は五段階で評価され、翌年度の給与や賞与の評価に反映される。
 賞与は業績評価で±10%変動し、経済活動が好調でも
 環境軸や社会軸の取り組みがおろそかになると、評価が伸びない仕組みとなっている。 

 ただし、部門によって3軸の重みは異なる。
 例えば総務や経理といった部門での環境対策は限定される。
 法務部門だと経済や環境の目標は掲げにくい。
 石化製品などを生産する事業部門だと環境のウエートが一段と増し、
 工場だと地域貢献のような社会目標も加わってくる。

三井化学の藤吉社長は、

「経済活動と環境対策は時として相反する結果になる。
そのバランスを考える姿勢を定着させたい。」

とまでおっしゃっています。わかっていてもこういうことはなかな実行にうつせません。
スローガン的にCSRを唱えても、社員の行動が変わらなければ、何も変わりません。

スローガンだけでなく、人事制度に手を入れてまで
社員の行動、意識を変革しようとする三井化学は、尊敬に値すると思います。

今後は「廃棄物削減量」「非化石原料活用率」「人材育成」「地域・産学会への貢献」なども
人事評価に反映することを検討しているそうです。引き続き注目したい企業です。

2008年3月10日月曜日

ロング・グッドバイ

今日は、ずっと乗ってきたバイクを廃棄しました。

私のバイクは1996年式で、5年前に中古で購入しました。
以来、よき相棒としてつきあってきました。
ですが、しだいに乗る機会も減ってきていました。

2回ほど倒してしまいましたが、掃除していたからか外見はきれいで、
まだまだ乗れそうです。
ただ、年式、走行距離ともにそれなりに使い込んでいるので、
内部はあまりよい状況ではなかったようです。
タイヤ交換も必要で、諸々なおすともう一台中古バイクが買える額になるとのこと。
駐車スペースもないので、廃棄することにしました。

このバイクは故障が本当に少なく、私の手をわずらわせることはありませんでした。
それに、経年劣化で車体内部のダメージが増えても、ちゃんと走り続けてくれました。
その結果、購入してから一度も事故も起こさず、私は一度もケガしたことがありません。
本当によく言うことを聞いてくれました。

トラックの荷台にロープで固定された相棒が運ばれていくのを見送るのは、
感慨深いものがありました。お疲れさま。

2008年3月9日日曜日

推理小説が好き

私は推理小説が大好きです。ですが、仕事で忙しいと、
ビジネス書や調査文献は読んでも、そういう「趣味の本」からは
遠ざかりがちです。

そんな中、本屋の売れ筋ランキングをなにげなく見ていて、
東野圭吾さんの”ダイイング・アイ”が売れているということを知りました。

東野圭吾さんの作品はかなり読みましたが、これまで一冊もハズレたことがありません。
きっとこれもおもしろいんだろうなぁと思いつつ、でも他に大量に読むべき本があるので、
我慢しました。ですが、自宅の本棚に、なにげなくあった東野圭吾さんの本が目につき、
手にとってジムに行き、エアロバイクこぎながら読みました。

東野圭吾
”どちらかが彼女を殺した”

ずっと昔に買って読んだはずなのですが、全く覚えてないので読み直し、
読み始めるととまらず一気に読み終えてしまいました。
タイトルは物騒ですが、内容は非常におもしろいです。

 ある女性が自宅で自ら命を絶っていた。第一発見者は、
 交通課の警察官である彼女の兄。彼はある理由で、それが偽装であることに気づく。
 しかし警察には報告せず、自らの手で、犯人を制裁しようとする。
 
 容疑者は、妹の元彼と、妹の親友の2人。
 あの手この手を使って、どちらが犯人なのかをつきとめていく・・・

 一方で彼と同様に、この事件に疑いを持った捜査一課の刑事
 (東野作品にたまに登場する、いわゆる探偵役)が、彼とは違う側面から真実に迫り、
 彼の復讐を阻止しようとする・・・

この物語には、被害者の兄である主人公、2人の容疑者、探偵役の刑事の
4人しか出てきません。それだけに作品の良さが際だちます。

さて話かわって、推理小説の楽しみ方には2通りあります。

①自分で推理するのを楽しむ
②探偵が推理するのを読んで楽しむ

どちらもよいですが、私は圧倒的に①です。トリックを解けないと、もったいなくて悔しくて、
真相解明のページをめくれず、だから読むのにすごく時間がかかります。

そういう楽しみ方をする人のために、この本は書かれています。
解けたときにはすっごく爽快です。コンパクトだし、登場人物もたった4人でシンプル。
謎解きもそんなに難しくない。

だけど、はじめて読む人は、絶対にびっくりするはず。保証します。

2008年3月8日土曜日

半導体と太陽電池

今日は仕事の後、テニスをする予定だったのですが、
あいにくの雨。残念です。

で、昨日の記事に続いて、今度はシャープです。

日経ビジネス 2008年2月18日号
”太陽電池の痛恨 シャープが世界首位陥落”

太陽電池市場を牽引し続けてきたシャープが、近年生産量を落としており、
2007年とうとう首位をドイツの「Qセルズ」というメーカに奪われてしまったという話。

記事を読むと、これはシャープの問題ではなく、
「日本政府が太陽電池をどう考えているのか」、という問題であることに気づきます。

日本は太陽電池の家庭への導入費用を補助する支援制度で、需要を喚起してきました。
しかし、2005年度でこの制度が打ち切りとなり、同年、絵に描いたようにシャープの
太陽電池生産量が頭打ちしています。そして、2007年度は急降下。

一方のドイツでは、「フィード・イン・タリフ」という制度によって、太陽電池で
発電された電力を、電力会社が市場価格よりも高く買い取ることを義務付けています。 

導入費用補助と、電力買取の本質的な違いは、初期コストを低減するか、
ランニングコストを低減するか、ということです。
そしてランニングコストの低減は、初期コストを回収したあとは利益となります。
太陽電池導入の利回りが、理論的に計算できるということです。

簡単に言えば、太陽電池が「耐久消費財」ではなく、「投資対象」になるということです。

この記事では、このような太陽電池市場の変遷を半導体と比較しています。
1980年代、世界の半導体市場を技術力で席巻した日本メーカーは、90年のバブル崩壊で
投資余力を失い、その間に韓国のサムスンなどにシェアを完全に奪われました。

40年以上の研究開発期間をかけ、日本の技術でようやく開花した太陽電池市場なのに、
かつての半導体市場と同じように、その果実を得るのは海外企業、となるのは悲しいです。

記事では、「日本に残された突破口は、技術力だ」と結論づけていましたが、
私は「政策」だと思っています。

太陽電池を日本としてどうしていくのか、そのとき、どういう支援をするのか、
「補助金を出す」という発想から、「市場原理を生かす」という発想に
どう転換していくのかが、太陽電池市場で日本企業が勝ち抜くための
大きな要素になってくると思います。

最近の雑誌記事では、日本経済、日本企業の凋落ばかり目にするような気がします。
政治をどうこう言うつもりは全くありませんが、やっぱり立法、行政が、より企業活動を
活性化させるよう、努力する必要があるように感じます。

2008年3月7日金曜日

ナショナルフラッグの凋落

同時期に2つの経済誌で、日本のトップ企業の凋落が語られていました。

週間ダイヤモンド 2008/02/23号
”危機感なき三菱UFJ”

三菱とUFJの情報システムの統合にまい進する
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)を痛烈に批判しています。
システム統合に関する批判から、三菱UFJの本質的な問題提起につなげています。

・システム統合のコストが当初想定の2倍以上に膨れ上がってしまっていること
・システム統合の負担に加え、コンプライアンス強化の結果、
 本業にあてる人員が減り、サービス低下、収益力低下を招いていること
・業界ナンバーワンのUFJのリテールのシステムではなく、
 業界でも遅れている三菱のシステムに統合していること
・システムだけでなく、旧UFJの人材を活用しきれていないこと

そうして話は三菱UFJの風土の話に入っていきます。
ここでは、三菱UFJを蝕む4つの「呪縛」を紹介しています。

①「覇権主義」
UFJではなく東京三菱のシステムを採用する、主要ポストを旧東京三菱で占める、
といった覇権主義は、三菱銀行が東京銀行と合併したときからあったとのこと。
「三菱銀行は常に相手を自らの支配下に置くと言う考え方をする企業だ」。 

②「官僚主義」
各人の責任の所在が明確で、他人の担当領域については一切口出しをしない。
「目の前のゴミはきれいにするが、他人のゴミは絶対に片付けない。
”組織の三菱”とはセクショナリズムのことだ」。 

③「減点主義」
過去五回の行政処分のうち、旧UFJの不祥事は一回。発注漏れや誤発注は
減点対象であったため、トラブルに対して一部の社員が謝罪だけで
すませたこともあったとのこと。

④「リスク回避による成功体験」
バブル期に積極投資を行わなかった旧東京三菱は、不良債権の傷が浅く、
健全経営をできたことで、リスクを嫌う企業風土ができあがってしまったとのこと。

記事の表現はかなり刺激的です。危機感を持てと檄を飛ばしているのでしょう。

MUFG永易副社長はインタビューで、次のように述べています。
「我々はグローバルの一角を占める”ナショナルフラッグ”という
名誉ある存在になりたいのだ。
そのためには、ダボハゼのように儲けばかりを考えるのではなく、
”品格ある会社”にならねばならない」

このインタビューに対しても、
「今のままでは、果ては強みのない、品格だけの金融機関にもなりかねない」
と手厳しいです。

この記事では、全体を通じてMUFGの未来が危ないという論調で、
確かに私も共感できるところもあります。

ですが、MUFGのシステム統合が、来年無事完了するころには、
サブプライム問題も一息つき、景気回復とともに円金利が上がっているかもしれません。
日本一、円預金を保有するMUFGは、金利上昇の恩恵を最大限に享受し
「ほら、やっぱり大丈夫だったじゃないか」となったりするような気もしています。
そして、ますます危機感は薄まり、リスクをとれない組織になってしまうかもしれませんね。

最近Blogの文章が長文化してきてしまっていますので、
もうひとつの記事は、また明日紹介することにします。

2008年3月6日木曜日

2008年度株価有望企業

日経新聞にて、2008/1/5~1/24で、会社研究の記事が連載されていました。

経営者21人による、「今年の株価有望銘柄アンケート」での上位企業の
強みと課題についての特集です。

ここで挙げられた各企業の強みと課題を、それぞれ1項目ずつとりあげ
簡単にまとめてみました。

1位:コマツ
○:製造手法の世界統一化により、世界のどの工場から、世界のどこにでも供給ができる。
  個別のエリアの情勢に影響を受けない。
×:商品の燃費性能の向上。原油高騰のインパクトは人件費増加よりも大きいようだ。

2位:トヨタ自動車
○:ロシア、中国での製造、販売戦略。
×:インド、ブラジルでは弱い。北米脱皮に向けての成長シナリオの実現が期待される。

3位:三菱商事
○:近年、資源メジャーに権益を囲われてしまっている。
  そんな中で、中堅資源会社へのハイリスク投資を積極的に行っている。
×:資源分野以外の収益力底上げが不十分。
  総合力は三菱の武器であり、アイデンティティである。

4位:東レ
○:炭素繊維による収益が絶好調。
×:伝統事業である繊維やプラスチック、ケミカルへのてこ入れ。
  よりいっそうの多角化が必要。

5位:日本ガイシ
○:環境問題というトレンドを捉えて、新規事業である、
  DPF(ディーゼル自動車用排ガス浄化装置)が好調。
×:主力事業であるDPF事業への依存度が高まっており、「一本足打法」への懸念がある。

6位:ダイキン工業
○:海外企業への積極的なM&Aに加え、技術をスムーズに移転できており、
  グローバル化がうまくいっている。
×:米国では、温度調整した空気を建物全体に送り出す方式がメジャーであり、
  日本とは異なる。米国市場での成長が課題。

7位:シャープ
○:液晶テレビメーカから脱却し、「パネルメーカ」、つまり他家電メーカへの
  パネル外販を強化し、収益をあげている。
×:テレビ以外の事業が弱い。完全に一本足打法になってしまっている。

8位:商船三井
○:詳細な海外調査に基づき、海運不況時に超大型船の建造に踏み切る、といった
  先行投資の手腕。
×:米国景気、新興国景気に大きく影響を受ける。

9位:オリンパス
○:好調な内視鏡に加えて、外科分野の手術器具メーカを買収するなど、
  コア分野である医療機器を強化している。
×:デジカメや投資会社など、多角化しているわりに事業間のシナジーが弱い。
  選択と集中が必要。

こう見ると、強みも課題も、「事業ポートフォリオ」あるいは「エリアポートフォリオ」と
いう表現で整理できそうです。ポートフォリオといえば
ボストン・コンサルティング・グループの「プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス」や
GEとマッキンゼーの「ビジネス・スクリーン」が有名ですね。

以前私も、「そういうのをつくってみたいなぁ」と、考えたことがあります。
ですが、結局できませんでした。いくつかの企業を例題にしてマトリクスをつくったり
したのですが、どんな企業にも当てはまりそうなポートフォリオ評価ツールは、
結局現状評価にしか使えず、「理想のポートフォリオ」を教えてくれるものには
ならなかったのです。そんな都合のいいもの、簡単につくれるわけないのですが。

なお、これは株価に関するアンケートなので、もちろん自社株買いや
無借金経営、資本効率なども重要な評価の対象となっています。
ただ、私の興味は事業の成長性にあったので、ここでは事業の話のみ取り上げました。

2008年3月5日水曜日

SRIセミナーに行ってきました

SRIセミナーに行ってきました。なかなかおもしろかったです。

講演・討論会 「持続可能な社会と金融業」
http://www.sntt.or.jp/jizokukinyuu/sympo20080303.html

2/27のBlogにて立てた仮説をいくつか検証できました。

今回のセミナーは「SRIの観点からの企業評価」というところにフォーカスしていて、
いくつかの切り口が提案されました。
挙げられた企業評価の方法は、例えば以下のようなものがあります。

①各種環境負荷の削減状況の目標達成率
プロセスとプロダクト、つまりライフサイクルで排出する環境負荷に目標値を設定しておき、
その達成率で見る方法。これはオーソドックスな考え方ですね。

②「環境効率指標」=(付加価値額)/(環境負荷量)
環境負荷物質排出1単位当たり、どれだけの付加価値(ここでは営業利益+人件費と
定義されていました)を出しているか。これはおもしろい指標ですね。
プレゼンターは、「この指標は一企業でも計算できるし、特定の産業全体でも、
国全体でも計算できる。例えば国全体だと、環境効率指標=(GDP)/(国家の排出CO2)、
のようになる。競合他社だけでなく、産業や国家をベンチマークできる指標だ。」
とおっしゃっていました。なるほど。応用が利きそうです。

③「EOE」=(CO2排出量)/(株主資本)、「EOA」=(CO2排出量)/(総資産)
ROEやROAの考え方を、CO2排出量にあてはめたんですね。
このEOEやEOAはROEやROAと違って、値が小さいほどよい、という指標なのは
ちょっと美しくないですが、ROEを横軸、EOEを縦軸にして、いろいろな企業の
時系列変化を見せてくれたのはおもしろかったです。
ある企業は、ROE低、EOE高、つまりこのこの2軸からなる表の左上部分から、
変動しながら右下部分に向かっているので、順調に成長してきたと言えるということです。

また、SRIファンドの運用者(このセミナーでは非常に希少な実務者)のプレゼンで、
「企業を非財務指標で評価する場合でも、その情報リソースとして、
最終的に行き着くのは結局 ”有価証券報告書”である。」とおっしゃっていたのが
心に残りました。
2/27のBlogに書いたように、私もそう思っていたからです。

その他、「現在のエコファンド銘柄は、環境への取り組みが評価されて
ファンドに組み入れられているにも関わらず、ファンド組み入れ以降のCO2排出効率を
時系列で追うと、一般のファンド銘柄のCO2排出効率とそれほど変わらない」という
プレゼンがあったり、そのプレゼンに対してグッドバンカーの方が、
「CO2排出量だけを見て、環境負荷を評価しているわけではないので、
そういう分析結果だけで評価結果を議論するのはよくない」と応酬するなど、
非常におもしろかったです。

こういう議論を経て、いろいろなSRI指標が開発され、淘汰され、
企業の情報開示、情報開示方法の標準化が進み、より指標の信頼性が増す、
というサイクルが回っていけばいいなと思います。

そうすれば、投資対象評価というプロセスの中に、
SRIの考え方が自然に入り込んでいくでしょう。

ですが、気になった点もあります。

セミナーはかなり盛況でしたが、会場入室時に名刺回収はなく、出席者は企業人が半分、
大学・研究機関・NPO関係者など企業に属していない方が半分くらいでした。
また、金融機関の関係者はほとんどいなかった様子。
そのため、学会のような雰囲気がありました。

質疑応答で質問していたのも、大学関係者ばかり。
こういうセミナーに金融の実務を担っている方を集めないのはもったいないと思います。

参加は無料でしたし、情報提供以外のねらいがあるはずですが、わかりかねました。
もしかすると主催団体へのリクルーティングなのかもしれません。
それならば、研究機関などの方々を集める意図は理解できます。

個人的には情報収集ができて、大変役に立ちましたが、社会変革の実現を
本気で考えるなら、セミナーを「金融機関や投資家への提案、啓蒙の場」と位置づけ、
実務者をもっと勧誘し、出席者の名刺を集めてデータベース化し、
次につなげる人脈の土台づくりをしたらいいんじゃないかな、と思いました。

セミナーに参加するのは久々でしたが、よい刺激になりました。

2008年3月3日月曜日

ダーツに挑戦

ダーツバーに行ってきました。

私はダーツは何度かやったことがあります。ただ、これまでは
「矢を3度ずつ交代で投げて、累計した点数が特定の点数に
ぴったりあえば勝ち」というゲームしか、したことがありませんでした。

ですが、ダーツにはいろいろなゲームがあるようです。

今日やったのは、上記のゲーム以外には以下の通り。
3回ずつ交代で矢を投げるのは共通です。

・特定の回数で、とにかくたくさん点数をとる
・指定された数種類の得点のみ有効で、3回同じ得点に当てれば、
 以降は当てただけその得点がカウントされる(クリケット)
・ビンゴボードに9種類の得点が表示され、一列そろわせる
・毎回ねらう点数を1つ指定され、3回ともはずせば得点が半減される
・累計して特定の点数にぴったりあえば勝ちだが、その過程でもし
 ぴったり相手の得点に追いついたら、相手の得点が半減される

いろいろゲームはありますが、本質的には、

狙った得点部分に矢を当てる

に尽きます。何度かやるうちに、すぐにうまくなります。

ダーツ的の12時部分が最高得点の20点で、トリプル(20×3=60点)が
かなり出しやすく、何でここに20点をレイアウトするの?と思いました。

集中力はもちろん使いますが、意外に足の筋肉も使っていたみたい。
ちょっとだけ疲れました。

狙ったところに矢を投げるだけ、と、操作は単純ですが、
各種ゲームにエンターテイメント性があって、おもしろかったです。
また行きたいな。

2008年3月2日日曜日

7年ぶりのバーガーキング

もともとハンバーガーはあまり食べませんが、バーガーキングは別で
学生の頃、頻繁に通っていました。学生には値段が高かったですけど。

しかし、マクドナルドの超低価格戦略に破れ、日本撤退を
余儀なくされ、残念だなと思っていました。

そして昨年、日本に再上陸しました。これには驚きました。
仕掛人は再生コンサルのリヴァンプです。クリスピー・クリーム・ドーナツに続き、
バーガーキングを仕掛けてくるとは、感服します。

学生の時よりも、いっそうハンバーガーとか食べなくなった私ですが、
日本再上陸祝いをかねて、バーガーキングに行ってみました。
おそらく、7年ぶりくらいです。

久しぶりにみる”ワッパー”の文字。相変わらずビッグサイズで
素材もフレッシュ。おいしそうです。ただ、ワッパーコンボで740円って
昔よりも高くなってる気がする。690円くらいだったと思うんだけど。
あと、全面禁煙になったことも変化のひとつかな。

私と同じようなことを考えている人もいるみたいで、
ハンバーガーの写真をしきりに撮っている方もいたり。
やっぱり懐かしいよね・・・。

店舗の内装も、素材や調理法にこだわっていることをアピールしていて
確かに味もおいしい。でも、フレッシュネスとバッティングするような
ハンバーガーでした。バーガーキングの方がボリュームあるけど。

コーヒーもおいしかった。ただこれも、いまはマクドナルドも
「スタバよりおいしい100円コーヒー」を出しているみたいだし、
差別化にはならないかもしれない。

バーガーキングの一ファンとして、あえて厳しいことを言うと、
このままではまた日本撤退になりかねないと感じました。何より、
「もう一度行きたくなる何か」を感じられなかったのです。
過去の「バーガーキングファン」しか、取り込めていないかもしれない。

思いつきですが、まだまだいろいろできるんじゃないかな。

・テイクアウトのお客さんを増やす
 店舗の広さは限られていて、高価格戦略をとっている以上
 マクドナルドよりも人口密度が高くなるような内装にはできません。
 テイクアウトがどれだけ伸びるかが鍵です。
 テイクアウト客用のソファを設置するとか、待ち時間を楽しめる企画を
 導入するとか、歩きながらでも簡単に食べられるようにするとか、
 努力が必要です。マクドナルドと同じように、お客さんを立ちっぱなしにして
 待たせるのはよくないと思います。

・ファーストフードのイメージから脱却する
 メニューは少ないですし、メニューの表示方法、食事を乗せているプレートも
 マクドナルドと大差ありません。思いきりファーストフードのイメージです。
 素材のフレッシュ感、味の良さに基づいて、高価格戦略をとっていますが
 やっぱりハンバーガーはファーストフード。それだけでは厳しいですね。
 モスバーガーやサブウェイ以上にヘルシー路線をとるとか、
 いっそDean & Delucaみたいに、食材を売る横でそれをハンバーガーにして
 食べられるようにするとか、個性を出していかないといけないですね。
 
「バーガーキング」は大変なブランドです。このブランドを生かさないのは
もったいないです。きっと、リヴァンプがまた何か仕掛けてくれると思います。
期待したいですね。

2008年3月1日土曜日

SNSに初投稿

最近はやっているようで、私の会社にも
社内SNSなるものができました。

私はバーチャルコミュニケーションがあまり得意ではないので、
社内SNSがたちあがったことは知りつつも、
これまでは積極的には関わってきませんでした。

今日、ある事情があって、その社内SNSにはじめて書き込みをしました。
書き込みしたというより、トピックを立てました。

トピックを立てると、あるコンテンツに関するオーナーになります。
定期的にそのトピックのページを確認し、
書き込んでくれた方々の反応を見ながら、
対応をしていく必要があります。

盛り上がってくれるといいな・・・

Blogをはじめてひと月が経ちました。
つぎはSNSです。会社内SNSですけど。
少しずつ自分をWeb2.0化していきたいと思います。