2008年3月11日火曜日

CSR人事で会社を変える

日経産業新聞 2008/01/08
労働新聞第2670号 2008/2/25

二つの情報リソースで、三井化学の”CSR人事”に関する記事を読みました。

三井化学では、部長クラス以上に環境(温室効果ガスの削減量)や
社会(労働災害、コンプライアンス)の側面から目標を設定させ、
その達成状況を賞与や昇給に反映する人事制度を導入したそうです。

化学メーカーなので、温室効果ガスの排出量は、そのまま企業としてのコストになりますし、
労働災害やコンプライアンスの問題は、訴訟リスクや賠償責任など、
やはりこれも直接コストに効いてきます。そういう意味では

「コストを削減した社員を高く評価しているだけで、どこの企業でもやっていることを、
三井化学はPRのためにCSR人事だと言っているだけではないのか?」

とも思えるかもしれません。

ですが、制度の中身を見ると、やはり三井化学の制度は
極めて先進的であることがわかります。

 ①年度の経営計画で「経済」「環境」「社会」それぞれの全社目標を設定する。
 ②全社目標に従い、部長クラス以上が自らの事業部門の目標を設定する。
 ③目標達成に向け部下に各業務を分担していく。
 こうして経営理念と業務活動の方向性を一致させる。 

 各目標の達成度は五段階で評価され、翌年度の給与や賞与の評価に反映される。
 賞与は業績評価で±10%変動し、経済活動が好調でも
 環境軸や社会軸の取り組みがおろそかになると、評価が伸びない仕組みとなっている。 

 ただし、部門によって3軸の重みは異なる。
 例えば総務や経理といった部門での環境対策は限定される。
 法務部門だと経済や環境の目標は掲げにくい。
 石化製品などを生産する事業部門だと環境のウエートが一段と増し、
 工場だと地域貢献のような社会目標も加わってくる。

三井化学の藤吉社長は、

「経済活動と環境対策は時として相反する結果になる。
そのバランスを考える姿勢を定着させたい。」

とまでおっしゃっています。わかっていてもこういうことはなかな実行にうつせません。
スローガン的にCSRを唱えても、社員の行動が変わらなければ、何も変わりません。

スローガンだけでなく、人事制度に手を入れてまで
社員の行動、意識を変革しようとする三井化学は、尊敬に値すると思います。

今後は「廃棄物削減量」「非化石原料活用率」「人材育成」「地域・産学会への貢献」なども
人事評価に反映することを検討しているそうです。引き続き注目したい企業です。

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