2008年12月15日月曜日

夢の国で2時間だけ魔法にかかる

昨日は仕事だったのですが、夕方、急に思い立ったようにディズニーシーに行くことになりました。25周年だし、クリスマスだし、ということで。

ついたら20時くらいになってしまって、かなり暗い。ディズニーシーは大人向けなのかあまり明るくありません。

ファストパスも終わってたし、アトラクションに並んで待つ時間(どれも45~90分待ち)もなかったので、うろうろ一周して、クリスマス気分を味わっていたら、すぐに閉館の22時がきてしまいました。

ディズニーはランドもシーも、チケットがパスポートだけになってしまいましたが、それほどアトラクションが好きなわけではない私のような人間にとっては、アトラクション抜きで、入場だけの安いチケットを販売してくれればもっと気軽に行けるんだけど・・・

でも、パスポートチケットだけにしても異様なほどにお客さん入っていたし、今年も来場者数は絶好調のようなので、安い入場だけのチケットを復活させる必要なんて、ないんですよね。

夢の世界に行くには、それなりにお金と待ち時間がかかるのです。でも、たった2時間だけというのはさすがにもったいなかったなぁ。

がんばれトヨタ

池袋にあるトヨタのショールームは案外豪華です。

話題のi-unitや、日本カーオブザイヤーを獲得したIQなど、見どころ満載。運転席にも乗りまくってみました。ただ、しょうがないのかもしれないけど、ちょっと面白みのない車ばっかりかもなぁ・・・。

自動車業界、大逆風ですが、がんばってほしいものです。

2008年11月30日日曜日

集客に燃える公立図書館

千代田区中央図書館が日経の夕刊で紹介されていたので、行ってみました。

九段下の近くでアクセスはまあまあ。「キャレル席」と呼ばれる自習用の机がいくつかあって、そこの予約をとるのがなかなか大変。ただキャレル席はパーティションで仕切られていて集中するにはよさそう。

叢書数もまずまずで整理されていてわかりやすく、映像などのコンテンツもあり、困ったことがあれば対応してくれるコンシェルジュが常駐しています。フロアは明るく清潔で、かなり居心地のよい空間です。小泉八雲特集とか、独自の企画もしていておもしろい。図書館を表彰するランキングで1位をとっていましたが、それも理解できます。

それにしても、公立の図書館がここまで集客に注力する理由はなんなのだろう・・・ユーザ数が少ないと、次年度の予算取りなどに不都合が出るのでしょうか?

また、これはどこの図書館でもありますが、処分する本を「リサイクルコーナー」として自由に持って帰れるようにしていて、私は今日は3冊もらって帰ってきました。

ただ、最近はほしい書籍を買うくらいの余裕はあるし、カフェとかくつろぐ場所も身近にたくさんあるので、正直言って図書館に行く積極的な理由はありません。またヒマがあれば行ってもいいかな。

紅葉狩り

そろそろ紅葉の季節かと、昨日汐留にある浜離宮に行ってみました。

もう12月にもかかわらず、意外と紅葉していません。イチョウは比較的黄色く色づいていてきれいでしたが。モミジは朱色ではなく、濃い赤になっていて、こんな色だっけ?と思ってしまいました。あとはまだ緑の葉の木が多かったです。

浜離宮は海岸のため風があり、結構寒いんです。こんなに寒いのに、なんで紅葉してないんだろう?地球温暖化の影響か?とか思ってしまいました。とはいえ、心静かに散歩できてそれはそれでよかったです。

東京で星空を見る

11/24(月)は、なんとなく池袋周辺をうろうろしていました。

初めて知ったのですが、池袋のサンシャインシティにプラネタリウムがあるのです。プラネタリウムなんて何年も(あるいは何十年も)行った記憶がないので、どんなもんかと見に行ってみました。

オーソドックスな星座紹介とかでした。まあ、悪くはないけど・・・せっかくの球状スクリーンなのだから、その立体感ある映像を生かして、もっとスピード感だしたアトラクションにするとかあるのではと思いましたが、それだとプラネタリウムにならないのかな。

あとは、前のほうに座るとかなりつらいです。早めに行って、後ろのほうの席を取らないと、首が著しく疲れます。

そのまま帰るのももの足りないので、同じくサンシャインの中にあるナンジャタウンに行ってみました。いろんな地方の変わったアイスクリームがあって、私はわさびアイスを食べてみました。変な味・・・でも辛味があっておもしろかったですね。

ピカソはもっとゆっくり観たい

11/23(日)は、時間があったので六本木の新美術館にピカソを見に行きました。

いろんな時代のピカソの作品がありましたが、やはりカラフルでリズム感のあるキュビズム、あるいはモデルを抽象化して無機物みたいにした作品がおもしろいですね。初期の作品や、ブラックのモノマネみたいな作品、それと彫刻はあまりおもしろくない。

それにしても新美術館にピカソとか呼ぶのはよくないかも。三連休ということもあり、観光客が来過ぎていて作品を落ち着いて見られない。まあ、美術館の経営上はお客さんがたくさん来てくれるのはいいことなのだろうけど・・・

それにしても人がちょっと多すぎて、最後のほうは疲れてしまいました。展示スペースをもっと広く取り、展示作品数をもっともっと多くしないとゆっくり楽しめません。

小さいラケットは使いにくい

バタバタしていてなかなかBlogの更新ができません。というわけで最近の話をまとめて。

まずは11/22(土)。テニス部の練習に行く。いつも使っているラケットよりも、一回りフェースの小さいのを試してみたところ、振り抜きがよくサーブやフォアハンドストロークの調子が非常によい。ですが、ラケットが軽すぎてバックハンドストロークに力が乗らないのと、ボレーがスイートスポットに当たらない。やはり、もう少しうまくなるまではフェース面の大きい、重めのラケットを使うことにします。

帰りは同期の友達と、新横浜にできたキュービックプラザというモール内のレストランで、だらだらとすごしました。

2008年11月21日金曜日

商工会議所とプライベートブランド

この前の日曜、あるカンファレンスへの出席のため、商工会議所のセミナールームに行ってきました。そこで出されたのがこのお茶。一見何の変哲もないお茶ですが、よく見ると「東京商工会議所・オリジナル」の文字。どこかの飲料メーカーのお茶に、パッケージだけつけたのかなとも思いましたが、製造者欄にも、東京商工会議所、とあります。もちろん中身まで商工会議所が作っていることはないと思いますが、プライベートブランド的にお茶を作っているわけです。

でも、なぜ?東京商工会議所は日本にひとつしかないし、たいして人も来ないし、独自にお茶なんか作って採算とれるのかな・・・なんて思います。

おそらく経済的な理由ではなく、商工会議所という立場の中立性から、表立って特定のメーカ名を記載できないのでしょう。

いずれにしても、このお茶は東京商工会議所でしか飲めません(と思う)。味は普通ですけど(伊藤園系かな)。ちょっと面白かったので写真に撮っておきました。

2008年11月15日土曜日

歌舞伎にはまる

今日はなんとなく朝から海鮮が食べたくて築地市場に行ってみました。豊洲に移るという話もあるし、最後の築地を見るという意味もあって。
まぐろ丼を食べて場外市場をうろうろしたあと、腹ごなしに銀座のほうに歩いていくと、歌舞伎座なるものがあります。何度か前を通ったことはあったのですが特段興味を持ったこともありませんでした。
ふと看板のようなものがあったので見てみると、「一幕900円」の文字。最低1万円以上はかかるようなイメージを持っていましたが(実際通常の席は値が張るのですが)、歌舞伎座には一番後ろの席で一幕、1.5時間程度だけ、飛び入りで観るというシステムがあるらしく、安いし時間も短いし、ちょうど二幕目が始まるタイミングだったので観てみました。私にとっては、初めての歌舞伎です。

演目名は覚えていませんが、歌舞伎といっても連獅子などのようないわゆる「歌舞伎」というタイプのものではなく、江戸時代ころの下町の人情物語でした。一番後ろの席だったためよく見えなかったのと、歌舞伎口調なので、何を言っているのか完全には理解できないところもありましたが、物語としては以下のような話だったのかなと思います。

あるお武家さんを騙して大金をせしめた女とその旦那の夫婦が、その武家から逃げるためにある屋敷に引っ越してきたところから物語が始まります。その屋敷は幽霊が出るとして有名だったり、屋敷の家主が女の兄だったりとドタバタ劇がありながら、ある日武家がその屋敷に訪ねてきます。
何とか命だけは助けてもらおうとする夫婦を武家は許し、退去します。そこまでしてお金がほしかったのは、実は旦那の父親が仕えていた、今は破産してしまったご主人様を救うため。
いろいろありながら、旦那が屋敷を不在にしているときに、武家は再度屋敷を訪れ、怒りに任せて女を切り捨ててしまう。
舞台は移って武家のあばら家。そこに現れたのが旦那の親父。親父は息子から預かった大金をその武家に渡そうとする・・・つまり、旦那の親父のご主人様こそが、武家その人だったのである。その事実に気づいた旦那と旦那の父親、そして武家は悲嘆にくれ、幕が閉じる。

カラッとした江戸っ子の性格や、ユーモアのある言い回しに渋い声、悠々としながらも繊細な役者の立ち回りに引き込まれつつ、舞台装置や照明、プリミティブな効果音に緊張したり驚いたりで、はっきり言っておもしろすぎ。ミュージカルより歌舞伎のほうが、断然おもしろい。といっても、ミュージカルも歌舞伎も一回ずつしか観たことないけど・・・。
親族関係や事象の因果が絡み合っていて、ストーリーとしてのエンターテイメント性も十分だし、喜怒哀楽の情緒たっぷりで、時々観客席から飛ぶ「紀伊国屋!」「万屋!」なんていう掛け声までが場の雰囲気を形作っています。昔の人はこうやって楽しんでいたんだなぁ・・・と感動してしまいました。これを900円で楽しめるとは。銀座の楽しみ方がひとつ増えました。

2008年11月11日火曜日

いまさらながら

今さらではありますが、ちょっときっかけがあったので、手にとって読んでみました。といっても私は読むのは初めてでしたが。

大前研一 ”企業参謀”

MBAの入学生や、新入社員のビジネスマンがよく読む本らしく、確かに基礎的なことが書かれてあります。ただし、かなり昔に書かれた本にもかかわらず、とても体系だっていてわかりやすい。具体的ですぐに使える考え方も掲載されています。気になった点をいくつか要約しておきます。

・問題発見のコツは、問題点の絞り方を現象追随的に行うこと。現象の洗い出し、グルーピング、抽象化を通じて課題を抽出する。

・中期経営計画の策定は、以下の8つのプロセスですすめる。
①目標値の設定
②既存事業をあるがままに行った場合の基本ケースの確立
③原価低減改善ケースの算定
④市場・販売改善ケースの算定
⑤戦略的ギャップの算定
⑥戦略的代替案の摘出
⑦代替案の評価選定
⑧中期経営戦略の実行計画策定

・⑤戦略的ギャップとは、オペレーショナルな努力の限界値と目標値のとの差であり、戦略によってこれを埋めることを狭義の企業戦略と呼ぶ人もいる。

・事業ポートフォリオ管理は「自社の強みを表す変数」を横軸に、「業界の魅力度を表す変数」を縦軸にとったマトリクスで評価する。PPMはその一例。

・マーケティングは「製品・市場戦略」と呼ぶべき。すべての経営課題は製品・市場戦略にその根源と解決の緒を見出すことができる。製品・市場戦略策定のプロセスは、以下の7つのプロセスを、ひとつずつの製品、市場について丹念に実施することが必要。
①市場性の動的把握
②内部経済の分析
③競合状態の把握
④KFSに照らした自社の強さ、弱さの客観的理解
⑤改善機会について仮説の抽出、評価
⑥改善実施計画作成、実施
⑦モニタリング、軌道修正

・参謀が戦略思考家たることを妨げる五戒とは以下のとおり。
①「if」という言葉に対する本能的恐れを捨てよ。代替案を考えることに不精するな。最悪のケースも常に想定せよ。
②完全主義を捨てよ。相手よりもほんの一枚上をゆく市場戦略を、タイミングよく実施することが勝負のカギだ。
③KFSについては徹底的に挑戦せよ。常に何がKFSであるかという認識を忘れず、全面戦争ではなくKFSに関する限定戦争に、徹底的に挑め。
④制約条件に制約されるな。一足飛びでも理想的な状態を思い描ければ、制約条件を構成する障害物が特定される。
⑤記憶に頼らず分析を。常識や疑問の余地のない対象に対しても分析を怠らないこと。

・企業戦略とは「競争相手との相対的な力関係の変化を計画すること」であり、収益性の改善や組織改革、人材育成などのオペレーショナルな改善とは区別するべき。頭の働かせ方も全く異なる。その方法には3つある。
①経営資源の配分の面で、相手よりも濃淡をつけ、KFSに集中的に資源を注入して優位に立つ方法
②直接競合していない製品における技術や販売網などをうまく当該製品に反映させる方法
③相手のやらないことをこちらが積極的に開拓して市場を切り開く方法

・KFSを見つけるためには企業活動を上流から下流へ分解する。そして、硬直状態に陥った場合には、常識的な意味でのKFSから離れることを考える。

・成功した事業には、次の四つの要件が必ず見られる。
①事業領域の定義が、明確になされている。
②将来の予言ではなく、現状の分析から将来の方向を推察し、因果関係について極めて簡潔な論旨の仮説が述べられている。
③自分のとるべき方向について、いくつかの可能な選択肢のうち、比較的少数のもののみが採択されている。また、選択された案の実行に当たっては、かなり強引に人、もの、金を総動員して、たとえ同じようなことを行っている競争相手がいても時間軸で差が出ている。
④基本仮定を覚え続けており、状況が全く変化した場合を除いて原則から外れない。

さすが、考え方をすぐにでも応用できそうなレベルにまで具体化されていて、海外で教科書として使われているのもよくわかります。なかなか勉強になりました。こういう本を30代で書いたという能力と経験は恐るべきだと思います。


2008年11月2日日曜日

週末返上でテニス

10/25-26は、会社のテニス部の合宿で千葉の白子という場所へ行っていました。久々に大学のサークル気分を味わいました。

今回の合宿では、やはりグリップワークにてこずりました。久々にラケットを握るときは、少し短めに握るのがよいということ、私の使っているラケットは上級者用で、重く、遊びでテニスをやる人には向かないということ、がわかりました。でもラケット買い換えるのもなぁ・・・ということで、しばらくは同じラケットを使うつもりです。

テニスの練習以外にも、会社の他本部の動向を聞けたり、あまり話したことがなかった方と仲良くなれたりしたのがよかったです。千葉はヨウ素の産出地として有名らしく、ヨウ素温泉も楽しみました。同期につれられて、一晩で3回も入ってしまいましたが・・・

写真は、帰りに海ほたるを通過するところです。真っ暗で見えないですね。

氷の女王の椅子

10/18(土)に、六本木21_21ミュージアムに行ってきました。NYでアート熱にやられてしまったようです。

21_21は安藤忠雄氏がデザインしたコンクリ打ちっぱなしを貴重とした建物です。ここの特徴は、無名で新進気鋭のアーティストをとりあげるというところにあります。美術的価値はよくわかりませんが、企画は毎回非常におもしろいです。

今回のモチーフは「結晶」。自然現象が勝手にアートを作り上げるという趣旨でしょうか。非常に濃度の高い、ミョウバンか何かの溶液の中にソファ(の形をした型紙)や、フェンスなどを浸して、その周りに巨大な結晶を生成するというもの。ソファはその周りを透明な結晶にびっしりと覆われて、氷の世界の椅子のようになります。

結晶のでき方が非常に美しく、一辺が3センチくらいの巨大な正八面体を生成していて驚き。「これって何の溶液なんですか?」と聞いてみたところ、「それはお教えできないことになっています」とのこと。そりゃそうかな。

大学めぐり



仕事の都合で、大学を周っていました。

上から、阪大、京大、一橋、東大です。やっぱり学食はいいなぁ。

エレクトロニクスの祭典

10月に入り多忙になり、更新するのをサボっていました。過去にさかのぼって更新します。

まずは10/4(土)に、エレクトロニクスの祭典であるCEATECに行ってみました。0.3ミリの厚さの有機ELディスプレイ、楽器になる携帯電話など、おもしろいものがたくさん出ていました。Sonyが出展していた9.9ミリ厚保の有機ELテレビは、市販にこぎつけたようですね。

やはり見栄えがするのはハードウェアですが、ハードウエア面で革新的なのはコンセプトメイキングであって、技術的な革新性を感じたのは、主にソフトウエアでした。

縦型巨大ディスプレイで、テレビ電話のようにコミュニケーションをするとか、手で触るとディスプレイ上の画像が変形するなど、バーチャル・リアリティの実現に向けて技術は進化しているなぁと感じる一方で、その進化のスピードは、実際のおころ驚くような速さでもない、というのも率直な感想です。AppleのiPhoneのような破壊的イノベーションを感じさせる技術は見当たりません。やはり日本人はコンセプトメイキングが苦手なんでしょうか・・・

帰りは月島で、もんじゃを食べました。この「もん吉」というお店は、来日したブラッド・ピットも訪れたという有名店だそう。店内には著名人のサイン、写真だらけでした。おいしかったです。


NYはアートの中心地

引き続きNY。出張なんだけど、せっかくきたので遊びまくりです。

NYにはアートサイトもたくさんあります。中でもメジャーなのが、メトロポリタン、MOMA、グッゲンハイムの3つでしょう。というわけで
3つとも行ってみました。ただ、金曜日以外は閉館も早いため、ほとんど見て回れませんでしたが。

MOMA
ミッドタウンの真ん中にあるのでアクセスしやすいですね。仕事を終
えて向かったため、閉館15分前に駆け込んだのでほとんど見て回れませんでした。
比較的理解しやすいアートが多かったように思います。世界のモダンアートの牽引車として、「何だコレ?」というような、より先鋭的な作品に期待したいですね。ところで、エントランスにあった、巨大なオベリスクが撤去されていましたね。あれはどこに行ったのでしょう。?

グッゲンハイム美術館
ここは初めて行きました。フランク・ロイド・ライトが設計した渦巻状の概観で、非常に楽しみにしていたのですが、なんと、所蔵作品が海外での展示のためにすべて搬出されている!ぐるぐる巻き部は改装中で入ることすらできませんでした。

狭い場所で、アメリカ人の写真家の特別展をやっているだけ・・・私は写真はあまり興味がないので、本当にがっかりです。入館するときに、チケットの販売員が、何かよくわからないことを言ってたなぁと思いながら、英語についていけず購入してしまいましたが、こういうことだったのですね・・・せめて入館料を下げてくれればいいのに。残念でした。

メトロポリタン美術館
アートの中心地でもあるNYのなかでも、やっぱりメトロポリタンが圧倒的にすばらしいですね。MOMA、グッゲンハイムに行くよりも、メトロポリタンに3回行った方がいいかもしれないと言えるくらい。太古の彫像から、中世のフレスコ画、最新のモダンアートまで、何でも揃っています。一つ一つの作品もすばらしいです。メトロポリタンはゆっくりまわりたかったので、金曜に行きました。20時くらいまで開いてます。

今回はいろいろ発見がありました。

・これまであまり好きじゃなかったPicassoが好きになった
・あまり古い作品は好きじゃなかったが、Vermeerは別格だった
・イギリス人版画家のCyril Powerという人の作品は最高におもしろい
・巨大なモダンアートはちょっと疲れる
などなど

美術館めぐりをするたびに、自分でも絵とか描こうかな・・・とか思うのですが、なかなか手が出ないですね。スケッチブックやスケッチ用鉛筆などは、大量に買い込んでいるのですが。水彩画セットでも買ってみるかな・・・

とにかく楽しいNY出張でした。私の会社にはNY拠点があるのですが、先日そこから研修で社員が来日し、私がお世話して仲良くなりました。「NYに来たら声をかけて」と言ってくれたので、近いうちにまた行きたいですね。


金融危機の震源地

10/8~10/12、ニューヨークに行っていました。仕事で行きましたがウォール街やミッドタウンの雰囲気を見てきました。まあ、NYはアメリカの実情を表さない、なんて言われるとおり、金融不安など全く関係なく、観光客で活気のある雰囲気でしたが。

ウォール街は平日ながら、観光客だらけ。みんな金融危機の震源地を一目見ようと、お祭り騒ぎです。スーツ姿の人はほとんどいません。建物の中はきっと全く違う雰囲気なのでしょう。

偶然ですが、共和党のペイリンさんのそっくりさんが颯爽と歩いているのとすれ違いました(写真参照)。選挙に向けたパフォーマンスでしょう。周りの人々
に手を振っています。でも、彼らは観光客なので、選挙権ないんだけどね・・・。米国の占拠は一大フェスティバルで、楽しそうですね。

五番街にあるアップルストアも大盛況。店内は芋を洗うよう。あちらのアップルストアは、店内にあるiPhoneで普通に電話できたりもするので、携帯の電池が切れた人が、ただ電話をかけるためだけに立ち寄ったりもしているみたい。おもしろい。

ミュージカルも盛況。さすが本場のブロードウェイですね。まあ、こちらもおそらくは観光客ばかりなのでしょうが。

あいかわらず街のあちこちで工事ばかりしていて、タバコと香水のにおいが充満する、世界で一番おもしろい場所のひとつ。やっぱり好きだなぁ・・・

2008年9月28日日曜日

テニスはグリップワークが重要

金曜に引きつづき今日もテニス。もう少しちゃんとやろうと、気持ちを改め昨日ガットを張り替えました。その具合を確かめたいという気持ちもあり、朝からはりきってテニスコートへ。が、金曜の筋肉痛が全く抜けない中、やはり足が回らない。まあ、のんびりやります。

テニスの練習にはプロのコーチが来ていて、知らなかったことをいくつか教えてもらったので記録しておきます。なかなか科学的なコーチで非常に勉強になりました。

ボレー
①ストロークよりも短めに、中指と親指で柔らかく握る。すると、小指を軽く握るだけでラケットをグラグラ動かせる。ストロークのようにグリップエンドぎりぎりを握ると、小指の握りでラケットをコントロールできない。
②手首の角度はデフォルトで90度で構えておく。剣道で刀を構えるように。ボールが来たら、手首をゆるめながらボールをとらえる。ボールの側面をなぞるようにとらえると、自然とバックスピンがかかる。
③肘を引いたり、伸ばしたりすることで、アングルを狙う。肘と手首をうまく使い、ラケット面をコントロールすることが重要。よく言われているような、体全体を使ってボレーすることは必ずしも意識する必要はない。
④オープンスペースをつぶすように体を位置させる。ボールが浮いたら後ろへ下がり、沈められれば前につめる。

サービス
①フラットサービスはストロークのように長めに握ればよいが、スヒンサービスはボレーのように短めに握る。これによって握りでラケット面をコントロールできる。
②スピンサービスは頭の上にトスし、強めにヒットする。フラットサービスはコントロールできないので、極力打たない。
③サービスを落としたい場所だけでなく、ネット上のどこを通過させたいかを意識する。
④ヒット時まで手首を伸ばしきらず、ラケットが地面に垂直にならないようにする。ラケットエンドを握っていると力が入らないので、ラケットが地面に垂直になってしまう。

このコーチは非常に理論を大事にする方のようで、ひとつひとつのアドバイスがすごく頭に入ってきました。根性系でとにかく走らせるコーチもいますが、部活じゃないのでさすがにそういうのはつらい。若くて爽やかながら理知的ですばらしい方でした。奥さんもいらっしゃっていましたが、爽やかでいい方でした。テニスは爽やかな人が集まるのでしょうか。

このコーチの言うことを聞いているとちょっと上達したような気がしました。テニススクール通うとか、もっとしっかりやるかな。

エンジニアの楽園

東洋経済 2008年9月27日号 Google特集

最近のビジネス誌はネタに困るとGoogleを取り上げているような気がしますが、私はGoogle大好きなので、全然OK。毎号Google特集にしてしまえばいいのに。最近全然興味をそそられない日経ビジネスに比べ、東洋経済は面白い。

技術者の楽園・Google。これだけの規模になりながら、なぜそんな自由な経営を維持できるのかは本当に興味を惹かれます。エンジニアがもっともリスペクトされる会社で、収益をせかされることなく、「とにかく試し、ダメだったら別の方法を探すか、直す」という企業風土・・・

自己資本比率約90%、8,000億円のキャッシュ、いまだに2ケタ成長を続ける広告収入という経営状態を見れば、誰も文句は言えません。売上高の97%を占める広告ビジネスが絶好調だからこその企業風土でしょうが、その結果ストリートビューやアンドロイド、そしてクロームなど、次々と世の中に対して技術で仕掛けることができるのも、こういう風土があるからでしょう。広告の一本足打法への危機感から、絶好調な今こそ、多事業展開、積極買収を仕掛けているのだともいえます。

記事からは、以下のようなGoogleの考え方が伺えました。

・「ユーザにとっての快適さ、有用さ」を第一に考える。収益化を考えるのはその後でよい。
・アイデアを思いついたら、「とりあえず試す」。そして膨大なデータを分析して検証する。
・開発したら不完全でもまず社員が使う。登録ユーザに使ってもらい改善を繰り返す。「まずは市場に出す」というスピードが重要。出遅れたらアウト。
・アイデアを事業化する選定基準は、「他の人がやっていて、うまくいっていないことであること」。
・グローバル展開については、「その土地その土地で最高の人材を集めること」が何よりも大事。採用、待遇などでコストを度外視しても企業家精神あふれる最高の頭脳を集める。
・会社はグローバルでも、「行動はローカル」に。サービスのローカル化がユーザをつかみ、独立した組織が起業家精神を維持する。
・成長する過程で、「小さな会社の雰囲気」をいかに維持していくかに注力する。
・負の競争が行われないよう、「データを全社員が共有」し、透明性を維持する。
・多様な業態、特に「業界トップ企業とパートナーシップ」を組む。

いろいろ問題はあるのでしょうし、面白い仕事ばかりではないとわかってはいながらも、Googleという会社は外から見るとやはり魅力的に映りますね。

この号の東洋経済の第2特集は、「三国志ビジネスの秘密」このあたりのチョイスも面白い。記事の内容はそれほどでもないのですが。

久々のテニス

金曜の夜に会社の人たちとテニスをしました。ラケットを握ったのはいつ以来だろう・・・

久しぶりなのでボールがまっすぐ飛ばない。全然ダメでした。あと、テニスはストップ&ゴーの多いスポーツですが、瞬時のダッシュができなかったり、ストップに体が耐えられなかったりでショックでした。運動不足なだけか、それとも歳か・・?

特に背走しようとすると全然体がついてこない。普通に走るのは大丈夫でも、背走というのは体感覚の衰えが顕著に出ますね。参りました。

運動をしたあとはやっぱり焼肉。住吉の猿江公園でテニスをしていたので、錦糸町に出てマルイの上にある焼肉屋に行きました。ここは安いのにおいしくて驚き。焼肉はもちろん、チヂミもおいしかった。テニスで消費したカロリーの何倍の焼肉を食べたかな・・・。

タイトルが素敵

久々に推理小説を読んでみました。本屋でかなりお勧めされていたので。 

歌野晶牛 ”葉桜の季節に君を想うということ”

ある裕福な老人が被害にあい、そのバックにある組織の存在を感づいた家族が、探偵事務所でのバイト経験を持つ主人公に調査を依頼する・・・

内容はもちろん書きませんが、ハードボイルド・アクションや恋愛の要素も入ったいい物語。トリックも驚きます。ただ、そこまでお勧め図書になる理由はわからなかったな・・・
もしかすると、この本で一番ぐっと来るのはタイトルかも。タイトルはかなり素敵ですね。つい手にとって読みたくなります。

そういえばずっと昔にも彼の作品”白い家の殺人”を読んだことがあるのですが、全く記憶に残っていない。相性悪いのかな。

2008年9月22日月曜日

黒船H&M

日曜はオープンしてからずっと気になっていた、銀座のH&Mに行ってみました。

銀座駅から地上に出る出口周辺から、もうすごい人の量。これは行列だな・・・と思ったら、案の定。しかも1時間半待ち。中は非常に気になったものの、そこまでは待てません。中央通りを挟んだ対面にUNIQLOあるし、そこまで変わらないんじゃないの・・・?とも思い、今日は諦めました。

日経ビジネスに掲載されていたH&Mの記事で仕入れた、デザインから出荷までのスパンはZARAに及ばないが、新商品の高頻度投入、全世界同じ商品でのオペレーション、ZARAには及ばない流通スピード、デザインに優れ低価格、縫製はそこそこの品質、などの話を検証したいなぁと思ったのですが、あの混っぷりではまだかかるかな・・・。

気配り下手

土曜は先輩の自宅にてホームパーティ。マンションのパーティスペースを借り切って20人くらいで騒ぎました。昼からアルコールなんて贅沢。だんだん参加者の子連れ率が高まってきていることが気になります。

ひとつだけ反省。帰り際、友人が車で先輩の自宅から最寄駅まで送ってくれました。助手席に私、後部座席には参加メンバーのご夫婦。で、駅につき、送ってくれた友人にお礼を言い、車を降りて駅に向かおうとしたところ、参加メンバーご夫婦が降りた場所から動きません。
私から、「帰らないんですか?」と問おうとしたところ、駅まで送ってくれた友人がその場から去るまで見送っています。さっさと帰ろうとするなんて、なんと感謝の気持ちのない薄情な人間だと反省してしまいました。

経営者になった先輩

金曜に会社の元先輩と昼食をご一緒しました。彼は私の会社を退職し、父親の家業を継ぎ会社経営に携わっています。新しい事業を立ち上げるとかで、非常にエネルギッシュでした。
その中で言っていたことは3つ。

①周辺部隊がイノベーションを生む
会社ではみな主流部隊に自分を位置づけたがるが、イノベーションは往々にして周辺部隊から生まれる。なぜなら周辺部隊の方が危機意識、ハングリー精神が強く、また周辺は外界との境界にいて外の情報に敏感だから。 

②世の中にはいろいろな職種があるが、意識しないほうがよい。個として何をやるかが先にあり、職種を使ってその実現にいかに近づくかが重要である。

③変革を成し遂げるには7つの能力を育てる必要がある(七育)。その7つとは、徳育(人間的魅力)・知育(スキル・知識)・体育(健康)・美育(感性)・遊育(遊び心)・家育(家庭環境)・財育(資産)である。これらすべてに超長期的+短期的な目標を設定し、それを実現させることが必要。

どれかひとつだけ鍛えても伸びない。 やはり生きるか死ぬかの世界でがんばっている人の言葉は重いです。「土日なんてあるわけがない」という言葉も心に刺さりました。

2008年9月16日火曜日

ジェントルマンは絶滅危惧種

先週のNikkei Weeklyで、伊勢丹の広告のページがありました。そこでは自称「ジェントルマン研究家」の林信朗氏が書いていた記事が面白かったです。

英国The Times誌に、ジェントルマンが絶滅の危惧にあるという警鐘とともに、「モダン・ジェントルマンになる方法」として、10のアドバイスが掲載されていたそうです。

①常に「サンキュー」と「プリーズ」を忘れるな。また自分のことばかりを語るのではなく、相手に敬意のある質問を発するというのが不滅の会話原則である。
②時間厳守。自分のほうが重要人物なのだから約束に遅れてもいいなどというのはとんでもない思い上がりである。
③環境に対する意識は大切だが、ヒステリックになってはいけない。
④後続のためにドアを開けて待つこと。男女を問わず入室してくる人は立って迎えること。女性だけを瀬戸物のように大切に扱うのは今やアナクロニズムといえる。
⑤自慢話くらい非紳士的なものはない。
⑥良き父親であれ。子育てを女性にまかせきりにするのは最低の部類である。
⑦自分の出自は正直に語るべし。
⑧適度なお世辞は礼儀の一環である。
⑨人前でむやみにブラックベリーをいじってはならない。
⑩きちっとした身なりをすること。どんなスタイルであれ、紳士にとってだらしない服装は許されるものではない。

なんでこの10箇条なのか?とかそれぞれのアドバイスの粒の大きさがバラバラじゃないの?とかそういう意味でも興味をそそられたので、記録しておきます。

2008年9月15日月曜日

電気羊の夢

以前ドワンゴの夏野剛氏のインタビューで、「SFからインスピレーションを得ることがある」と言っていたのを聞いて以来、SFに興味を持っています。というわけで、さっそく読んでみました。

山本弘 ”アイの物語”

SFらしく宇宙空間やAIの話がいっぱい出てきます。物語の構成としては、アイビスというアンドロイドが、いくつかの物語(作中作)をフィクションとして語りながら、ヒトとはどういう存在なのかをAIの視点から捉えていく、というもの。オムニバス形式で進むひとつひとつの作中作のおもしろさもさることながら、そういう作中作がひとつにつながっていく感じがぐっときます。

映像をイメージさせる具体的な描写も秀逸。いつか映画化されることでしょう。実写になるかアニメーションになるかはわかりませんが。2時間モノとかにまとめるのはおそらく無理なので、CSとかでドラマ仕立てになるかもしれません。

AIを持つアイビスが、作中作の主人公に自分(I)を投影し、ヒトにはわからない(虚数i)視座から語る、愛の物語。ヒトの夢、フィクションの海がつくる未来に生まれたアンドロイドたちの言葉は、振り返って「ヒト」に思いを馳せる機会を与えてくれます。

シルク・ドゥ・ソレイユはすごい

土曜日に、ディズニーリゾート内にあるシルク・ドゥ・ソレイユを見に行きました。

ZEDというサーカスで、サルティンバンコやキダムのようなツアーで回るのではなく、ここの会場だけで行う演目です。会場もZEDのためだけに作られています。ラスベガスをはじめとして、シルクはこのような専用会場をいくつか持っているようです。

内容は感動の一言。さすが専用会場で、一度見ればわかりますが、開始5分で心を奪われてしまいました。サーカスがすごいのはもちろんですが、そのシナリオ、緊張感と開放感のバランス、そして何といっても会場設備と驚くべき作りこみようです。

「5年かけて会場をつくったのに、演目はZEDのみ」というのを聞いて、採算とれるのか?と疑問に思いましたが、よく考えればディズニーランドの各種アトラクションも常設で変更がないのに、新規顧客とたくさんのリピーターを生み出しているわけだし、大丈夫なのでしょう。確かに周りの人に薦めたくなるし、もう一度行ってみたい気もします。

会話も説明もなく、解釈が観客に一任されているのもすごいですが、これによってどの国でも同一のオペレーションが可能になります。会話がない分、音楽には相当こだわっていますが。

とにかく絶賛、せっかく日本に常設会場ができたのだから、一度は行かないと絶対もったいない!

決定論的思考からの脱却

週間東洋経済 2008年9月6日号 不確実性の経済学入門
最近の日経ビジネスの特集がいまひとつなのに対して、東洋経済はおもしろいですね。
平均値を中心とした正規分布を確率分布の中心においた従来の経済学、金融工学がいかに現実離れしているか、実際の経済現象はべき分布(ロングテールのイメージ)に従い、平均に意味はないという示唆はとても興味深い。

自然科学至上主義の私は決定論的世界観に美的感覚をそそられますが、実際の経済は非合理的で不確実。その不確実性に心理学が融合して、最近行動経済学が大流行ですね。ノーベル経済学賞を受賞したハイエクは、市場機能を重視した自由主義、個人主義を唱え、解析的な決定論を否定したそうです。

厳密な予測はできないとし、断片的な情報、知識をむしろ自由に流通させ、個々人の自由意志によって分散して解決したほうがよい、新しい発想や製品が将来どれほど成功するかは事前にはわからないのだから、個々人の自由な活動を通じて、湯着せぬ新しい発展を醸成する社会のほうが望ましい、という考え方は、なんとなくは理解していたながらも、目からウロコでした。

相対性理論しか知らない頭で量子論をはじめて勉強するようなもので、受け入れがたいですが理解しなければなりません。将来をどこまで科学的に予測するか、そしてどこから決定論的思考を放棄するか、そのバランス感覚を身につけたいものだと強く感じます。

別の記事ですが、押井守監督へのインタビューも面白かったです。
アニメーションの世界の巨匠である押井監督は、すべてを自分で作り上げる宮崎駿監督と違い、部下に任せて自分は監督業に専念するというやり方だそうです。おそらく彼はビジネスマンとしても超一流。いくつか気になる発言を記録しておきます。

・スタッフのみんながやりたいことをやり、それをまとまった映画にするのが監督である自分の仕事。監督が自ら乗り出さないといけない現場は、スタッフが機能していない現場。
・一度任せたら、もうとやかく言わない。「試されている」と感じているスタッフは、自分で考え、なかなかの答えを出してくる。
・優れたアニメーターは、分担を引き受けるだけではなく、演出家として自分の仕事の向こう側まで想像できなければダメ。完成品を見てから全体像に気づくのでは遅すぎる。
・最近の若手アニメーターは可能な限り一人でやりたがる。彼らは仕事の成果ではなく達成感を求めているが、それは間違いだ。結果を出すためにはわずらわしくても協力し合い、他人に任せられることは任せなければならない。
・経済産業省がアニメ産業の育成に力を入れているが、それは不可能。アニメーションのスタッフとは宮大工のようなもので、そういう世界で一流の人は狙って増やせるものではない。韓国ではあらゆる大学にアニメ学科、漫画学科を作ったが、何一つ生まれていない。
・そういう人を生むには優れた人間をいかにサポートするかを考えたほうがよい。一部の優秀な現場に集中的に助成金を投入するべき。

アニメーターが独自の世界観を語るようなインタビューを想定していたのですが、実際はマネジメント論、産業論であり非常に勉強になりました。すべての作品を見てみたいですね。

本号の最後のページには大塚商会を立ち上げた大塚実会長のインタビューが連載されています。

過去に業績不振の際、給与カットを言い渡し幹部から猛反発を受け、折れた経験から、いっそうの対話を重視するようになったという話をしています。「今振り返ってもあのとき給与カットを言い出したことが間違っていたとは思いません」に続く、以下のコメントが響きました。

「しかし、経営者は裁判官ではなく、よい結果を出すのが仕事です。理屈の成否ではなく実利を得る、それが経営者の役割であると考えています」

この号の東洋経済を通読し、「決定論的思考からの脱却」と「理屈の正しさや達成感ではなく、実利の追求」の重要性をあらためて感じました。

大統一理論

9/7の日経に気になる記事が。欧州合同原子核研究機関(CERN)が、スイス・ジュネーブにて世界最大の素粒子加速器(LHC)を動かし、物質が質量を持つ本当の理由を実験で検証するという。

物質を構成する陽子や電子自体に質量はなく、陽子などの周りに「ヒッグス粒子」という物質が充満することで動きにくくなり、質量が生まれるのだそう。全然イメージがつきません。これが発見できれば、以下の自然界にある4つの力のうち、①を除く3つの力を統一できるそうです。

①重力
②電磁気力
③強い力(素粒子を引き寄せる力)
④弱い力(中性子が崩壊して陽子になるときに働く力)

ちなみに②と④は統一されているそう。スティーブン・ホーキング博士は、この実験でヒッグス粒子が発見されることは間違いないということに加え、ブラックホールが誕生する可能性についても指摘しています。実験にはある程度の危険が伴うのでしょうが、歴史の目撃者になれるかもしれないと思うと、楽しみですね。

新型うつは9時から5時まで

日経ビジネス 2008年9月8日号 職場に蔓延する「9時5時うつ」

特集記事はあまりピンとこなかったのですが、オマケ記事に面白いものがありました。若い人を中心とした「新型うつ」の紹介です。仕事中は不調な一方、退社すると元気で活動的になる「9時5時うつ」というべき社員が急増しているそう。

気軽に精神科を訪れ、「休職したいんで、診断書書いてくれません?」と言い放ち、休職の機会に教習所に通ったり、留学準備をしたりするのだそうです。それって鬱なの?という疑問に対する精神科医の回答は、「これまでうつ病と診断されていた病気とは異なるが、過食や過眠などの症状は表れ、健康でないことは確か」とのこと。「9時5時うつ」になる部下に振り回され、「従来型うつ」に陥るマネジャー層も増えているとのこと。悪循環です。

ちなみに「9時5時うつ」になる人の特徴は以下のとおりです。

世代:20~30代
性格:自己愛が強い、人づき合いが苦手、他人を責める、寂しがりや
症状:過眠、過食、自分の好きなことは楽しめる

セクハラやパワハラが認知され、被害者が裁判で勝つようになるとともに、被害者を装い上司や会社を訴えるという話も増えてきています。「うつ病=怠けたいだけ」といった偏見がまかり通っていた時代が終わるとともに、「うつ病は深刻な病気なんだ」という認知が広まる中、このような新型うつの発生は、必然とも言えるでしょう。

うつ病にどう配慮するか、そのバランスのとり方が難しくなってきています。私がうつ病にかかるとしたら、性格的にはおそらく従来型なので、私の場合は仕事に一生懸命取り組みながらも、幅広い趣味を持ち、精神的には適度に鈍感でいられればいいのかな、なんて思っています。

Chromeの衝撃

Google Chromeをインストールしてみました。

インストールするとブックマークのインポートが自動的に行われ、非常にスムーズ。立ち上げてみると、ウインドウズのツールバーが一切ない。右上の最小化・最大化・ウインドウを閉じるの3つのアイコンすら、ウインドウズのフォーマットではない。驚きです。そんなことできるんですね。

インターフェイスはすさまじくシンプル。タブしかない。URLと検索窓が一体化されていて、余計なものは一切ない。おかげで画面を広く使えてありがたいです。Google社員の方もおっしゃっていましたが、シンプルに見えるからといって、中身までシンプルなわけではない、という典型のソフトウェアでしょう。動作も軽快で問題ないのですが、appleのサイトのCMムービーなど、一部のウェブコンテンツは見えないようでした。もう少し使ってみないとわからないですね。

ある程度使うと、タブを開いたときに「よく見るサイト」がアイコン状に並ぶようで、いわば自動iGoogle作成、みたいな感じになるのでしょう。すばらしいです。新バージョンのFirefoxに全く不満はないのですが、とりあえず面白そうなのでしばらくChromeを使おうと思います。

そういえばこっそりBloggerのユーザビリティもアップしているみたいですね。ただBloggerはもうちょっとがんばってもよい気がします・・・。

2008年9月9日火曜日

Google社員10ヵ条

今日はGoogleの社員の講演を聞く機会がありました。Google社員を見るのは、たぶん初めてです。

自分の経歴を振り返りながら、そこで学んだことを教訓的に紹介するという形式の話でした。気に入ったポイントをいくつか記録しておきます。

・その場で一番下手なプレイヤーであること。つまり自分よりも上の人たちばかりの環境で仕事をすること。
・あれこれ考える前にとにかくやってみること。
・恵まれた環境がよいとは限らない。制約がある方がイノベーションを生むプレッシャーを得られるということ。
・怠惰は美徳。機械的にできることに手間をかけないこと。
・「Yak Shaving(ある問題を解くために必要な条件をクリアするために、別の問題を解く必要がある、を何段階も繰り返すこと)」を回避すること。そのために普段からいろいろな細々としたことに幅広く手をつけておくこと。
・ソフトウェアやるなら設計だけではダメ。実装技術が重要である、つまり自分でプログラムを書くこと。
・おもしろさは自分で見つけるものであると自覚すること。Googleにだって地味な仕事は山ほどある。
・英語はソフトウェア業界では避けて通れない。原著を読み専門用語や表現を知っておくこと。
・毎日必ずやる仕事(ルーティンワークのことではなく、「プログラミング」など仕事のテーマの意味)のスピードを常に高めようと意識すること。それが時間の節約、ひいては新しいことへのチャレンジの時間を生み出す。

なるほど、当たり前のことかもしれませんが、なるほどなぁと思います。

こういう教訓よりも面白かったのは、その講演者のパーソナリティで、システムエンジニアにありがちな、斜に構えたり理知的ぶったりシニカルなところが全くなくて驚きました。社員一人を見て会社を語るのもおこがましいことこの上なしなのですが、今日の観察の結果から、Google社員ってこんな人が多いんじゃないか10箇条をつくってみました。

①一見して素朴で普通なエンジニア。プレゼンは全くうまくない。
②面倒そうなことでもコツコツと、粘り強く継続する。
③とりあえず手を動かす。何でもいいから毎日プログラムを書く。
④人のしていないことをしたがる。一番乗りにこだわる。
⑤やりたいことをやりたいときにするエピキュリアン。
⑥手を抜くためなら莫大なエネルギーをかけても自動化しようとする。
⑦一人ですべてやりたいわけじゃなく、いろんな人と一緒に仕事したい。
⑧服装へのこだわりは全くない。
⑨過去の経歴、受賞歴が華やか。
⑩Googleのことを話したがらない。

他の方にも会ってみて検証したいです。

2008年9月8日月曜日

初秋に桜を楽しむ

今日はお昼から「桜なべ」を食べました。要するに、馬肉のすき焼きです。

割と有名なお店だったらしく、観光客がたくさんいました。
昔ながらの雰囲気で、庭には小さな池と大きな鯉がいて、ウーロン茶が瓶で出てきたりして、明治風情たっぷり、という感じです。

馬は牛や豚よりキメの粗い感じですが、すき焼きにはなかなか合います。昼からちょっと贅沢をしてしまいました。たまにはいいですね。

フットサルにみる多様性

昨日は横浜でフットサルをやりました。ショッピングモールの屋上に、フットサルコートがあるのです。私は親知らずの抜歯後で、運動を禁止されていて、基本的には見るばかりでしたが、休日にこんなところでフットサルやっている人がいるんだなぁとちょっと発見でした。しかも、かなり盛況です。

フットサルはサッカーのように激しく当たらず、ボールを浮かしたりすることもない、ライトでスタイリッシュなイメージを持っていたのですが、全然ハードでびっくりしました。ほとんどサッカーと同じです。みんな超本気です。キーパー役とかでちょこっと参加したのですが、うかうかしていると怪我してしまいそうでした。

フットサル、もしくはサッカーはうまい下手にかかわらず、どんな人でもいっしょにできるというのはよいですね。うまい人と初心者が同じフィールドに立っていても、それなりに楽しめる。

私はサッカーよりは野球のほうが好きですが、サッカーが世界中でもっともメジャーなスポーツであるのは、こういう多様性を受け入れられるスポーツだからなのかな、と妙に感心してしまいました。

親不知にさよなら

金曜に、歯医者で親知らずを抜歯しました。右の上下を抜きました。

施術が始まり、麻酔を受けるとまず、上の親知らずから取り掛かります。と思ったら、10分くらいであっさり抜歯。痛みもまったくなく、「抜けましたよ」と先生に言われたときに、思わず「えっ!?」と聞き返してしまいました。

こんなもんかと安心して下の歯に取り掛かってからが、もう想像もしない地獄。
歯の根元部分がちょうどあごにひっかかるような変な形をしていて、単純には抜けなくなってしまっていました。それを力で引き抜こうとして、親知らずの上半分だけが折れて取れてしまいました。

麻酔を何本も打ちながら残りを取ろうとしていたのですが、がっちりはまっていて取れません。担当の若い先生ではどうにもならず、院長登場。

歯茎を傷だらけにしながら、2時間くらいかけて何とかとれました。大人になると、プレッシャーやストレスなどで「苦しい」というシチュエーションはあっても、「痛い」という感覚はなかなか味わうことがありません。耐え難いものがありました。あまりの痛みに目を開けると、ペンチみたいなものやヘラみたいなものが見えて怖いので、また目をしっかり閉じる。

要は、若い先生の最初の処置があまりうまくなかったために、歯が折れてしまって、根元部分をつかめなくなってしまっていたのです。そのため、歯をいくつかに分断して、時間をかけて引き抜くしかありませんでした。

若い先生は院長先生の叱責を受けていて、「ちゃんと脱臼はさせたのか」「力いっぱいやってもダメだ」などなど言われています。その叱責が私にも聞こえてくるので、私からクレームを言うこともできません。一種のクレーム封じなのかなとも思いつつ、気の毒だしちゃんと抜いてくれさえすればよいのでひたすら我慢。それにしても痛かった。

金曜は飲み会が2箇所であり、両方参加したのですがもちろんアルコールは禁止。飲みたい気持ちも起きません。痛くて食欲も減りました。

左側も両方抜くように言われていますが、歯医者にはしばらく行きたくないな・・・。

2008年8月31日日曜日

経営者となる人材

Think! 2008 No.26

本号は面白い記事がたくさんありました。経営者のヘッドハンティングを生業としている岡島氏の記事では、McKinsey社で言われている、

・Don't boil the ocean!(仮説思考で情報収集をせよ)
・空・雨・傘(現象・解釈・行動をちゃんと噛み砕いて説明すること、解釈を抜いて行動を説明しても、聞き手にはぴんとこない)

などの話が紹介されていました。いまさら感はあるものの、目からウロコが落ちる感じがします。

また、ヘッドハンターが求める人材として、

・自分の成果を事例ベースでなく、客観的、相対的にいかに優れた結果であるかを説明できること
・情報や知識を知っているだけでなく、使えること、実際に人に動いてもらって成果を出すこと
・相手(人、会社)の志向、能力、文脈、背景を徹底的に理解すること
・相手が行動しやすい大義名分をつくり、win-win関係を築くこと

などが紹介されていて、これらもやはり当たり前のことではありながら、気づかされることが多いです。 

もうひとつ、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブのCOOに外部から大抜擢された柴田励司氏のインタビュー。

「コンサルタントから経営者になったが、コンサルタント的な仕事の仕方、つまり目の前の課題に対してちゃんと咀嚼し、判断するという仕事の進め方ではとても間に合わない。15分、30分おきにまったく異なった領域の経営課題に対して意思決定をしなければならない」

「仕事には人間関係が必須であり、人間関係を築くには、真面目に下らない話をすることも大切。競馬や飲み屋の話ばかりを繰り返す同僚に対し、どうして仕事の話題を口にしないのか不満に感じることもあったが、改めるべきは自分自身だと気づいた」

といったコメントには、身につまされる思いがします。

憧れのシリコンバレー

人事関係の雑誌ですが、シリコンバレーを取り上げていて面白かったです。

Works 89号 ASTD・シリコンバレー特集

ASTDは相変わらずの奇抜だけど面白そうなカンファレンスですが、人材開発の世界的な潮流がよくわかります。

トレンドとしてはやはり「ポジティブ・アプローチ」「ストーリーテリング」それから「即興」もブームになりつつあるみたいですね。 

シリコンバレー特集では、「イノベーション・コンサルティング」を手がけるSYパートナーズという面白そうな会社が紹介されています。

要はコーチング+アイデア出し、というようなビジネスモデルのようですが、面白いのは、ここの社員のバックグラウンドが、アート、生物学、心理学、歴史、、、とばらばらで、元戦略コンサルタントもいれば元詩人もいて、そんな多様性がもたらす「カオスチーム」がイノベーションの必要条件になっているという発想。さらに職場としてガツガツした雰囲気がなく、ヒエラルキーがなく、安全であることを大事にしているというところ。

オフィスに共同キッチンがあって、みんなで料理をつくったり食べながら会議したり、という雰囲気もいいですね。シリコンバレーの小さな会社では普通のカルチャーなのかもしれません。

特集ではいろいろな小さな会社が紹介されているのですが、それにしてもスタンフォード大学出身者の多いこと。やっぱり面白そうな大学です。

特集とは関係ないですが、巻末にキッザニアを紹介する記事があって、キッザニア内の写真がいくつか掲載されていました。驚くべきリアリティです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンがスポンサードする病院では、医師の研修用に開発された本物の手術用機器を使用するため、年間経費が数億円に上るそう。すごい。一度行ってみたいですね・・・子供がいないと入れないのだけど(泣)

傍流でも腐らないこと

日経ビジネスの記事を記録しておきます。

2008/4/28,5/5 社長革命 傍流リーダーが現場を変える

島耕作が社長になったのを取り上げ、彼のように出向や転籍などで主流から外れた人間が経営トップになっている事例を紹介しています。

要は、傍流を経験してきた人は、いろいろな現場を経験しており、多様なステークホルダーの調整が得意だという強みを買われて社長に抜擢されているという話。今は調整型リーダーが求められている時代なのかな・・・

2008/7/28 アフターサービス特集

シャープではアフターサービスの要であるコールセンターのコストを、商品別に各事業部に振り分ける体制を構築しているそう。

「商品の使い方がわからないのは、お客様にとって故障と同じ。その商品を開発した事業部が対応コストを負担すべき」という思想のもとでこのような方法をとっているそうです。

アフターサービス部隊の社内的地位を高める、アフターサービスに本気になるためのインセンティブを設ける一案として参考になります。

第2特集 財務指標の活用

財務指標をモニタリングして改革を持続的に断行している会社の紹介。EVA、ROE、ROA、ROIC、FCF、それに加えて聞きなれない指標としては、

・松下電気産業「CCM(キャピタル・コスト・マネジメント):事業利益-投下資産費用」
・丸紅「PATRAC:当該事業の連結純利益-(リスク資産×10%)」

などが紹介されています。勉強せねば・・・。

強い会社は無駄がない

日経BIZ PLUSの連載記事に、おもしろい情報が載っていました。

8/28 中島孝志 「社長の愛した数式」

日本電産の永守社長が23番目にM&Aした三協精機に関する記事の中の一節。

日本でいちばん経費の安い企業はトヨタ自動車です。トヨタでは1億円の売上高をあげるのに410万円の経費しか使っていません。日本電産は447万円。三協精機は1000万円、カルロス・ゴーン就任前の日産自動車は1500万円(現在は620万円)。

とのこと。こういう経営の見方があるんですね。

2008年8月24日日曜日

SFはインスピレーションの源泉

またもや頭の使い方の特集。最近大流行です。

東洋経済 2008/8/16-23
でもあまり参考になったものはないかな。以下のポイントくらいかな
・アウトプットの前提がない情報収集は頭に残らない
・一週間の時間割をつくり、まず自己投資の時間を確保する
・仕事とは解決すべき問題に答えを出すことであり、作業は仕事をするうえでの手段であると明確に区別する
・仮説とは当たりをつけることであり、間違えてもよいから仮設思考をし続けることや、2階層上の立場から考える訓練をすることで鍛えられる

東レ経営研究所の佐々木常夫社長のインタビューは強烈でした。
肝臓病とうつ病を併発し、2度の自殺未遂をした妻、自閉症で精神病院に入院する長男、長女も自殺未遂、と壮絶な家庭環境の中、同期トップで東レ取締役に就任したというのは想像を絶します。いまや佐々木氏はワークライフバランスの第一人者的存在となっているようです。

彼のタイムマネジメントの極意は以下のとおり。
・年間、月次、週次、日次の徹底的なスケジューリング
・飛び込みの仕事で自分の時間の7割は飛ぶという覚悟
・議事録は何をおいても当日中に・完璧を求めず、8割りの出来でよしとする
など。勉強になるところは大きいですが、私ならこういう家庭環境になったら、ある程度仕事を諦めるだろうなと思ってしまいました。

 「フィンランド式対話」という特集も面白かったです。ディスカッション、ディベートではなく対話です。直感とは逆の意見を正当化したり、対立する意見の両方を正当化したりなど、「絶対」という発想を捨てることを出発点としています。

夏野剛氏のインタビューも面白かったですね。もしかすると時の人?かもしれません。
ペンシルバニア大学ウォートンスクールでMBAをとり、ハイパーネット社の経営で失敗。その後NTTドコモでiモードやおサイフケータイを開拓し、若くして執行役員となった業界のキーパーソン。

今では慶応大学の教授をしていたり、ドワンゴでニコニコ動画の黒字化に取り組んでいたり。最近さまざまなメディアでニコニコ動画というフレーズをよく目にするのも、夏野氏の仕業だと思います。ほかにもトランスコスモスやセガサミー、SBI、ぴあなど、いろいろな会社で役員をやっている。

合議制ではイノベーションは起こらず、強烈なリーダーシップのあるアップルでiPhoneが生まれたのは必然という考え方には大変共感します。

物理の法則にちゃんと準拠したSFが大好きで、SF小説やSF映画に未来を描くためのインスピレーションを得ているというのもおもしろい。確かにSF映画は未来志向のテクノロジーギークにとって、アイデアの源泉になると思います。マネしよう。

彼は日本におけるITの牽引役の一人のようですね。だからいろいろな会社から引っ張りだこなのでしょう。引き続き要チェックな人物です。

リーダー育成の8つのポイント

日系ビジネス 2008/8/4-11合併号
この号はオバマ特集でした。彼の経歴はすごいですね。

ハワイに生まれ、6歳から10歳までをインドネシアで過ごした後ハワイに戻り、ロサンゼルスのカレッジからニューヨークのコロンビア大学に進んだ。卒業後はシカゴの黒人街で地域活動家として苦労した。その後ハーバード大学ロースクールで学んだ後シカゴに戻り、弁護士事務所で働く傍らシカゴ大で教鞭をとり、憲法の講義を続けた。そしてイリノイ州議会の上院議員に立候補し、オバマブームを巻き起こして圧勝して政治の世界に入り、今に至るとのこと。

人種や貧困などのバックグラウンドに加え、「憲法への理解」が彼の根幹にあるのだろうと思います。憲法は理論ではなく、対話で作り上げられたコンセンサスであり、憲法を理解するということは、歴史を理解し、国家を理解するということです。多様性への理解があるだけでなく、恐ろしいほど知性の高い人なのだろうと思います。

その他の記事としても面白いものがいくつか。

天満屋女子陸上競技部 武冨豊監督
彼は3大会連続で、オリンピックに天満屋の違う選手を出場させています。驚くべき実績です。彼は多大なコストがかかっても、部員全員をオリンピックに連れて行き、大舞台の雰囲気を感じさせたり、朝5時起床、練習後8時に朝食、仕事をして午後の練習をし、18時に夕食、22時就寝という生活のリズムを徹底させるため、トップ選手と若手を同じ寮に住まわせて管理しているなど、選手をチームで育てています。まったく感心します。

対談スペシャル ジェイ・ライトハーバード大学経営大学院学長×竹中平蔵慶応大教授
リーダー育成機関として世界最高峰のHBSのトップが、リーダーに必要な5つの資質を定義していました。

①判断力 複雑なシステムを見て根本的な問題が何なのかを理解する力。問題を正しく設定する力。
②起業家の視点 目標達成を妨げる問題や制約は常に存在するが、他人と違う視点を持つことで、制約を制約でなくしてしまうように、ゲームの仕方を変えてしまう力。
③意思疎通の能力 他人の言うことをよく聞く力。異なる文化を背景とする人の言おうとしている真意をつかむ力。
④ビジョン構想力 個人や起業の価値観を理解して、それらを長期的な目標に置き換える力。
⑤実行する勇気 周囲と意思疎通を図りつつ、自分にとって本当に価値のあるものを求め、実践する力。 

そのようなリーダーを育成するために、竹中氏は、
①リーダーを育成できる強い大学
②社会人を再教育するシステム
③知識の伝授ではなく創造性の鍛錬を目的とした教育プログラム
が必要だと説きます。金曜日に大学時代の先生と話していたときも、教育システムに関してはいろいろと議論しました。

個人的には日本の博士課程のシステム、教育プログラムに最近注目しています。問題はここではないかと。

3つの時間感覚

Think!という雑誌があります。この雑誌は、ビジネス書の中で最もスキルアップの方法論に特化している雑誌だと思います。すぐに役に立つことばかり書かれてありますが、方法論に毒されてしまいそうになるので、あまり読み込むのは控えたほうがよいかもしれません。

Think! 2008年 No.25
この号で面白かったインタビューを記録しておきます。

・経済評論家 勝間和代氏
この方、もはやあらゆる雑誌で目にしますね。今回は4つのビジネス思考が大事だとおっしゃています。
①会計思考 ビジネスの言語でありすべての基礎となる。
②統計思考 シナリオをゼロイチではなく、確率分布で捉えることで、成功や失敗をまぐれで終わらせないようにできる。
③経済思考 付加価値を生むために、資本や労働力などの資源をどう配分するかを考えられるようになる。 
④マーケティング思考 顧客をいかに見つけ、いかに獲得していくかを考えられるようになる。

これらの4つの思考力をいかに獲得するかをそれぞれについて「空・雨・傘」フレームワークにのっとって説明しています。簡単に言えば、
空:学習参考書レベルで基礎知識を身につける
雨:専門家の分析手法を真似たり、ソフトウエアを使いこなす
傘:分析結果を実務に組み込み、意思決定を繰り返す

・リヴァンプ 玉塚元一氏 
キャリアアップに関する彼の持論としては、「キャリアアップにプランはいらない」ということだそう。「今これをやらなきゃだめだ」と思うことをひたすら実行する。そうすると次にやりたいことが見えてくる。それの繰り返しだということ。

シンガポール転勤、MBA留学、ユニクロ、いずれをとってもそのとき自分が必要だと思い、思い込んだらひたすら行動というのは感心します。私もGMATやTOEFLの勉強、そろそろやらなきゃな・・・と思いながら、結局ぜんぜんやってないなぁ。

・マッキンゼー 金田修氏
全然知らない人ですが参考になることをいろいろとおっしゃっていました。

・成長度合いを定点観測する
成長を毎年確認し、昨年と比べて今年の自分が成長していないと感じたら、その取り組みや役割とは決別する。

・苦手な人を恩師とする
自分の苦手な人の強みは、自分にないものであることが多く、直感的に苦手だと思う人と出会ったら、むしろ成長の絶好のチャンスと捉える。

・人になるべく会わない
自分の経験の浅さを自覚し、まず勉強し、考えることを優先し、人と合う時間があまり多くならないよう留意する。たとえ相手がどんなに好きな人や尊敬できる人でも、前回と同じ話をしているなと感じたら、それは会う頻度が高すぎるというサイン。

・自分の存在意義を見出すための行動を毎年実施する
時間軸や通常業務を超えて成し遂げたい目的に対して、何らかの行動をする。彼は昨年は、国連開発計画のアドバイザーを無償で引き受けたり、一昨年は7週間の休暇をとり、社会起業家支援を行うNPOのベンチャーファンドを手伝ったりしている。

・目の前の仕事も一歩引いて考える
数ヶ月から1年単位で取り組むことは、自分の存在意義の見出したり、最終的に実現したいこととは一致しないことを自覚する。その上で、目の前の仕事を一歩引いて考える時間を持ち、その仕事の将来を設計する。

・やるしかないと決まったら、とにかく没頭
しっくり来ない仕事に真剣になれないことはよくあるが、それは結局自分の成長スピードを緩める。 20代から30代前半にかけては、キャリアの最適解がジェットコースターのように変わる。だからこそ、キャリア戦略で一番大事なのは、自分の思ったことができない現状に言い訳をせず、今ある課題に対していかに最大限の価値を提供できるかを日々徹底的に考え、実行すること。

どんな方向でもいいから成長してしまえば、必ず次の地平が見えてくる、というのは、常々玉塚さんがおっしゃっていることとまったく同じ言葉です。この号で参考になったことをまとめると、

①人生をかけて成し遂げたいことに対して具体的な手を打つこと
②今抱えている案件について一歩引いて考える癖をつけること
③やると決めたら没頭すること

この3つの時間感覚をうまく使いこなすことだと思います。

2008年8月23日土曜日

雨のバーベキュー

今日は友人とバーベキューをしました。夏っぽくていいですね。昼間からビール飲んで贅沢な時間を過ごしました。昼間のアルコールはまわりが早いです。

JR西立川駅を出てすぐにある、国立昭和記念公園というところでやっていたのですが、ここは公園の中にバーベキュースペースがあって、器材やテーブル、椅子にいたるまで、全部レンタルできる。それで一人2,000円とかだったかな。
食材と什器(ナイフとか紙皿とか箸とか)さえ持っていけばOKという非常に便利なところ。また使いたいなぁ。都心からはちょっと遠いけど。

雨の中でもバーベキューをしている人はたくさんいました。大学のサークルらしき団体や、家族連れ、外国人の集団など、客層はばらばら。

あいにくの雨で、肌寒い中でしたが、バーベキューなんて久しぶりなので面白かったです。

飲み歩きとゆとり

今週は飲んでばかりの一週間でした。火曜は仕事仲間と19時頃から飲み始め、何次会かのダーツバーを後にしたのが朝の4時。これで一週間のエネルギーを使い果たしてしまいました。
次の日先輩がダーツの矢をプレゼントしてくれました。バーにあるものより金属っぽくて、ちょっと重いです。ツウっぽくてうれしいですね。

水曜は大学の学部時代に所属していた研究室のOBが集まりました。私は海洋関係の研究をしていたので、OBは海運会社や造船会社、研究機関勤め、大学に残って先生になってる人、みたいな方が多いです。
「なんとか号がいまノルウェーにきてる」とか、「シンガポールから1年ぶりに帰ってきた」とか、「最近の船乗りはクロアチア人が多い」とか、もう訳のわからない話ばかりですがそれでも面白かった。
今後も定期的に集まるようなので、船関係のこと、ちょっとは勉強しておこうかな。

木曜は飲み会の分を取り返すべく働き、金曜は大学院時代にお世話になった先生と赤坂サカスで飲みました。一対一で飲むことはあまりないので、いろいろと聞けてよかった。なぜか卒業してから信頼関係がいっそう深まっているような気がします。

私の先生は、大学を卒業してから会社を立ち上げ、一度は成功したものの、立ち行かなくなり、民間企業に移り、独立してフリーランスになり、過去の研究を評価してくれた人から声がかかって半官半民の研究機関に移り、それから大学に戻ってきたという紆余曲折のある珍しいキャリアの持ち主。
そんなお話を伺いながら、キャリアを形成するのは「周りの人」と「偶然性」だなぁと感じずにはいられませんでした。困っているときに、寝耳に水で著名な先生に呼び出されたり、過去に学説の違いからやりあった人が、窮地のときに助けてくれたり、ハプニングとすら思えることが人生の節目を形成していらっしゃるのだなぁと素直に驚いてしまいました。
ただ、それができたのも先生がその場その場で成果を挙げ、そしてそれを論文や発表の形で記録に残しておいたからだと思います。それが人との出会いやハプニングを引き寄せたのだと思います。

それから、日本の大学、特に理系学部の将来について大いに憂いました。今週の日経ビジネスでも、「さらば工学部」として理系の凋落を取り上げているように、どうやら日本の大学の理系学部は危険な状況になってきているようです。優秀な学生が、技術に関心を示さなくなってきている模様。大学は技術への関心を高めようと努力しつつも、逆に理系の技術離れを助長している面もあるように感じました。
学生に人気がない研究室は力を持てません。いまや学生の関心は大学での研究内容ではなくどこに就職するかに向かっており、研究室はそういう学生の関心をひくのに必死です。教授たちはポピュリストにならざるを得ないのです。

ちょっと面白かったのは、学生の質の話。今の大学3年生は、「ゆとり教育の第1世代」です。そのゆとり世代の学生が、信じられないほど優秀だということ。先生の仮説は以下のとおり。
「ゆとり教育は子供たちの学力を低下させたが、より詳細に見れば、二極化を促進し、一部の優秀層を超優秀層に仕立てた。なぜなら、優秀層はゆとり教育によって余った時間を、勉学や多様な経験など、能力を高めることに費やしたから。そして、その超優秀層は一部の大学に固まった。理系にもたくさんきている」

一部の大学が抱える、ゆとり世代の超優秀層の理系学生は、日本が技術立国として再度世界の舞台に立つためのエンジンとなる可能性を秘めています。アメリカが凋落しつつある今、日本は自立しなければなりません。金融とか貿易とか、そういうのもいいけど、やっぱり技術で立国したいと思う私は、この層にどういう教育をすべきかということに多大な興味と危惧を覚えます。

何か仕掛けられないかな・・・

コミュニケーション力の定義

先日オフィスで隣に座っている先輩と、コミュニケーション力の話をしていたときのこと。コミュニケーション力の定義のひとつとして彼が言っていたことがちょっとおもしろかった。

「どんな人とも分け隔てなく、上手に話ができることをしてコミュニケーション力があるとは言わない。それは人間として当たり前のこと。
コミュニケーション力とは、相手が言葉にしていないこと、あるいはごまかそうとしていること、隠そうとしていることを、表情やしぐさ、身振り手振りから推察する能力のことだ」

なるほど・・・と思ってしまいました。私は何でも効率的に伝達したいと思うタイプで、できるだけ論理立てて言語化することが習慣になっています。それはそれでよいのですが、それが当たり前になってしまっているために、以心伝心する力や気配を読む力が十分に身につかなかったところもあったかも。

きっと、ウソをつかれたり、だまされたり、隠し事をされたり、ごまかされたり、裏切られたりという経験をたくさん積まないと、彼の定義するコミュニケーション力は養えないのかもしれないなと思いました。

2008年8月18日月曜日

流通業は合理化経営ブームか

日系ビジネスをまとめ読みしました。時間がなくて、なかなか最新刊まで目を通せない・・・

2008年7月21号 無印良品特集

無印良品事業は西部グループの西友に端を発しており、感性やセンス、文化性を重んじる「セゾン文化」という特異な企業風土を持っていたそうです。現社長の松井氏は、そういう無印に合理性を持ち込み、店舗作りの作業基準書、要するにマニュアルを作って感性に頼るやり方を一掃しま した。

「スポーツと同じで、基本がなくて最初から自己流だと、進歩はいずれ止まる」という経営哲学は学ぶべきところが大きいと思います。

セゾン文化信奉者 からの強烈な抵抗に対して、「煩悩スルナカレ」の言葉を胸に、ひたすら雑念を振り払って大なたを振るい続けたとのこと。自宅では原因不明の鼻血を何度も出 すほど悩み抜いたそうです。経営者の苦しみが伝わってきます。


同号 トヨタストラテジー

このシリーズは大変おもしろいのですが、今回はトヨタ自動車第3代社長石田退三氏が豊田英二氏を賞 賛した言葉だけ記録しておきます。

「彼はいつも気軽に作業服を着て、工場を見て歩いとる。
革靴のそこを見てみい。いつも金属の切り子が付着しとるで。
工場 に立っておる樹木の一本一本が、いつ植樹されたのかまで知っとる。
トヨタの役員でそんなに詳しいのは他にはおらんわ。」

トヨタの「現地現物」の精神がよく 表れています。他にも、「カンとコツ」つまり暗黙知を現場から次々と生み出さない限り形式知は豊かにならない、人員整理をして株価が持ち直したことを喜ん でいるようでは、経営者失格である、などなど、トヨタの哲学をかいま見るのにとてもよいシリーズです。 次回も楽しみですね。

インフレ時代の安売りビジネス

ちょっと前の日経ビジネスの記事で流通業の情報収集。

2008年7月14日号 ベイシア特集

ベイシアというのは小売店のグループです。それほど知名度が高いわけではありませんが、首都圏郊外地区で非常に業績を上げているディスカウントショップです。傘下にカインズホームなども持っています。

経営哲学をわかりやすく6つのフレーズにしていたので、それだけ記録しておきます。

①「在庫は氷水」
在庫は氷が溶けるように急速に価値が劣化する。在庫回転率を常に気にかけるべし。

②「流通業界にもカンバン方式を」
理想は無在庫経営であり、なるべく仕入れないことを追求する。

③「流通業に発明なし」
突飛な独創より、先進事例から学ぶ。そのために毎年社員が米国の流通業界を視察している。

④「安く売って倒産した会社はない」
価格を下げる仕組みを磨き続ければ、必ず生き残れる。

⑤「fast,good,cheap」
欧米の事例から学んだ、強いチェーンの3原則。

⑥「商業の工業化」
製造業の生産性に追いつけるよう、徹底的に合理化する。 

インフレの時代に低価格戦略、どこまでがんばれるのかわかりませんが、要チェックな企業です。郊外にあるのでなかなか見る機会はないのですが、今度実際に行ってみてその経営の秘訣を見てこようと思います。

やっぱり残業は必要?

「残業はするな」というトリンプ元社長、吉越浩一郎氏の記事を目にする一方で、こんな記事も。 

日経ビジネス 2008年7月14日号
吉野屋ホールディングス社長 安部修仁氏 「労働時間を限る弊害」

マクドナルドの訴訟をきっかけに、店長にも残業代を払うべきだという一連の騒動がありましたが、吉野家では30年前にすでに店長に残業代を払うようになっていたそうです。

ですが、残業代を払うようになって、店長のモチベーションは下がってしまったそうです。店長は「店舗の責任者」というプライドで仕事をしていたのに、アルバイトと同じような扱いになってしまったからだとのこと。

ちょっと経営者に都合のよい理屈ですが、まあそれはよいとして、安部社長が言いたいことは「未来のリーダーを目指す人材は、集中的なハードワークが必要な時期がある」ということ。

過剰労働ややらされ感はもちろんよくないので、労使の信頼感は重要だが、自己啓発意欲の強い人材は仕事に費やす時間が長く、同じ能力であれば長時間の仕事をこなした人が成果を出していると言い切っています。そして、こういう経験の差は時間が経つほど、明快に表出してくるとも。

やっぱり、睡眠時間を削ってでも仕事をしなければならない時期というのがあるだろうというのは、とても共感できるところです。マネジメントクラスになったら、もちろん時間や量ではなく、質だけが問われることになるのだろうと思いますが。

暗黙知を積んでもっと遊べ

BiZNEXTというフリーペーパーをぱらぱら見ていたら、トリンプ元社長の吉越浩一郎氏のインタビューが掲載されていました。最近ちょっと気になる人です。

彼の持論は「全ての仕事に締め切りを設け、生産性を上げて残業をせず、オフをしっかり楽しむ」ということ。今回の記事もそういう主張がされていたのですが、おもしろかったのは「いかに生産性をあげるか」ということについてです。

彼の答えは、「方法論を学ぶのではなく、仕事ができる人から技を盗み、それを暗黙知として積み上げる」でした。生産性の話になるととかく形式知化、ナレッジマネジメントの話が出ますが、それとは逆のことをおっしゃっていて大変興味深い。

その結果たっぷりできたオフの時間を「遊び」に使えとのこと。日本人は仕事の対極に「休み」をおいていて、休暇は体力を回復させるものと考えているが、欧米人は「遊び」をおいていて、体力を常に維持しているのは前提でありリフレッシュこそがモチベーションを高めるものだと考えている、というお話は大変参考になります。

私は今週末も土日ともにフルで遊んでいたので、「明日から仕事なんだから、ちょっと休めば良かったかな・・・」なんて思ったりしましたが、休息は平日からしっかりとり、土日はフルで遊ぶ生活を続けたいと思います。そのためにも、平日の仕事の生産性を上げなければ・・・

2008年8月11日月曜日

ソウル・フレンド

韓国の友人が東京に遊びに来てくれました。
彼はこの秋から留学することになっており、日本の知人への挨拶がてら、各地を観光して楽しんでいるとのこと。
お昼をいっしょに食べながら、久々にいろいろ話しました(彼は日本人より日本語が上手なのです)。

彼は歴史に造形が深く、三国志や朝鮮半島の歴史、そして日本の歴史にも明るく、話していて非常に刺激を受けます。
現在の日本のものづくりの強さ、技術へのこだわりの強さを、世界最古の会社の会社である「金剛組(法隆寺などを建立した宮大工集団)」に由来する日本の歴史的価値観に絡めて語る彼を見ていると、「金剛組」という言葉を耳にすらしたことのない私は何と自分の国を知らないことかと思い知らされます。
日本人よりもずっと日本に敬意を持っていて、松下幸之助や本田宗一郎の手記を買いたいとメモ帳にリストしていました。

彼の影響からか、最近は私も歴史に興味を持ち司馬遼太郎など読んでいます。日本の歴史を知ることは、日本人である自分への理解を深める一助になるとつくづく感じます。

いろいろ世間話もしましたが、メインはやっぱりキャリアの話。
彼は彼が将来的にやりたいと考えていることをすでに実現している人を探し、次々と会い、今何をすべきかについてアドバイスを受け、そしてその結果、留学という形で一歩を踏み出しました。

身近な友人が自分の道を切り開く姿に勇気をもらう一方で、「自分は何をやっているんだ」と、焦りや不安が強烈に募ります。
彼は「自分が本当にしたいことが何なのか、悩む気持ちはわかるけど、小さいことでもいいから、興味のあることをいろいろと試していった方がいい」と言っていました。
「今年中に何かしらの行動を起こすことを、自分と約束してほしい」とまで言ってくれました。そこまで言われたら、私も行動を起こすしかありません。

彼の留学先に私は次の冬休みに遊びに行こうと思っています。そのときに土産話をたくさん持って行くためにも、ぼんやり過ごしている場合じゃないですね。

2008年8月10日日曜日

家電量販店で暇つぶし

会社で必要な備品を購入するために、家電量販店に行きました。久々に行きましたがやっぱりおもしろいとこですね。

私は家電量販店が大好きなので、全くモノを買わなくてもしばらく楽しめるのですが、家電量販店を楽しむコツを3つほど記録しておきます。 

①各企業の戦略を空想する
家電量販店においてあるモノは機能商品なので、差別化についての各社のポリシーを読み取りやすいし、比較も容易です。例えばテレビ。まあ、私は買う予定は全くないのですが。薄型テレビ各社の取り組みについて感じたことを書いておきます。

・パナソニック 中型以下は液晶、大型はプラズマで合理的。どちらが主流になっても大丈夫なように、両方に軸足をおいているのはガリバーにしかできない戦略ですが、こういうリスクヘッジしてると時代に取り残されるんだよな・・・。

・シャープ 液晶一筋。いかにコストをあげず大型化するかに努力している様子が見て取れます。画面はとてもきれいでモノはよさそう。だけど「亀山モデル」がもはやあまりブランドになっていないように見えました。お客さんも他のモデルと同じように見ていました。亀山ブランドで高価格路線取りたいなら、お客さんの動線を想定して商品陳列を考えるべきです。

・ソニー 同じく液晶。だけどシャープとの区別は感じません。これはブルーレイとの抱き合わせ戦略だけだなと思ってしまいました。ですが、ソニーはもしかすると液晶とプラズマの時代はもう見切りをつけていて、有機ELの時代を虎視眈々と狙っているのかもしれません。液晶はそこそこでよいのかも。ただ、日立に勝てるかな・・・。

・日立 プラズマ陣営ですが、プラズマテレビについては正直言って何の印象もありません。誰が買うんだ・・・?ですが、日立はそれでいいんです。彼らは薄さ3.5cmの有機ELでちゃんとしたテレビをつくっています。ソニーの有機ELがまだおもちゃみたいなのに比べるとすごい。長瀬くんがテレビを小脇に抱えているポップも印象に残ります。さすがは技術の日立と感心しました。

・東芝 液晶・・・だったかな?あまり商品自体は記憶に残っていませんが、値段が安い。そこそこの大きさの液晶を10万円以下で買える。価格競争仕掛けているのは東芝だけだったように見えました。これはこれですばらしい戦略。

・パイオニア 東芝と真逆の高価格路線。パイオニアだけ売り場がブース状になっていて、椅子に座って独立スピーカで音声を流しています。他の店でもパイオニアだけはこういう売り方してますね。これもこれで正しい差別化戦略なのだと思いますが、それが許されるのは圧倒的なスペックとか、デザインとかがあればの話。パイオニアは画質を売りにしていますが、いまやどの会社のテレビももはやそこそこ画質がきれいですし、ぱっと見で他社を圧倒するのは難しい。よく見ると確かにきれいなのですが。ブース状に陳列しているのがパイオニアだけなので、他のテレビと横に並べて比較できない点も、お客さんから見て商品力の差を感じにくい一因となっています。

・三菱 商品は全く普通なのですが、画面にツヤツヤのガラスを貼って、ぱっと見画質がよいような印象を受けます。以前、パソコンのディスプレイにもツヤツヤガラスを貼るのが流行りましたよね。そのほかにもリモコンが着せ替えできるとか、テレビの本質ではないところで差別化を図っているように見えました。これはエンジニアの発想ではないな・・・テレビ事業にはあまり注力していなくて、できるだけ低コストでインパクト出したいという思惑がにじみ出ているように感じました。ただ、パイオニアのような差別化よりもこんな些末なことの方が購買行動にはつながるのかもしれません。

②技術水準と価格水準の感覚を養う
家電は機能向上と価格低下の著しい商品なので、トレンドにキャッチアップするだけでも知的好奇心が満たされるし、相場観が養われて消費者の消費動向を感覚的につかめます。

例えば薄型テレビだと、民生品の最大サイズは65インチで、価格は100万円を切ってきています。個人的には、超大型テレビの技術革新のスピードは遅めだなぁと感じています。

また、デジカメは普通に持ち歩くようなのだと、1,000万ピクセルで3万円台程度で売られていて、これは思っていたよりも安い。

一方掃除機や洗濯乾燥機は高価格にシフトしていて、定価は例えば掃除機は12万円台、洗濯乾燥機は20万円を超えるなんてものも普通にある。ただ、販売価格は12万円台のモノが6万円台、20万円を超えるモノが14万円台くらいと、新製品にもかかわらず登場早々価格破壊を起こしています。それぞれの製品の機能は向上しているのですが、やっぱり機能向上の延長線上にある製品の大幅な価格アップは消費者には受け入れにくいですよね。洗濯機が洗濯乾燥機になるくらいのユーザ視点での大きな変革が必要なのでしょう。言うは易く行うは難し、ですが。

あと、コンピュータのソフトウェアはそれほど急速に変化しているわけではないように感じましたが、バンドリングに工夫が見られました。パンフレットには、ソフトウェアの説明というよりも、やりたい仕事の流れに沿って、どのソフトをどう使うかというような紹介の仕方をしていて、技術が進まないなら売り方を変える、という工夫が見られたことはとても参考になりました。

③顧客属性を観察する
夏休みだからと言うのもあるのでしょうが、今日は外国人が多かったです。日本の大型家電量販店というのはそもそも外国人の訪れるショッピングスポットの一つなのでしょうが。

デジカメなどは、陳列しているモックアップに「made in Japan」のシールがベタベタ貼られていて、外国人にアピールしています。カメラは特に人気でした。英語を話せない店員さんのレジに外国人が商品を持って行ったシーンに出くわしたのですが、それほど混乱せずに対応していました。慣れています。

うろうろ見回っていたら、結局2時間くらい店内で過ごしてしまっていました。

家電量販店に来るお客さんの多くは、「テレビを買う」「エアコンを買う」のように、商品名で目的感をある程度持って来店しますが、私のように目的を持たないお客さんを店に呼び込む、また目的を持たずに来たお客さんに何か買わせる、という努力が必要だと思います。具体的には、サービス業的な要素を内包すべきだと私は考えています。

親知らず

先週に引き続き歯医者に行ってきました。

あらためてひととおり検査をしてもらったところ、親知らずが虫歯になりかけていることがわかりました。

私はどうやら親知らずが4本ともしっかり生えているようなのですが、4本とも微かに虫歯の兆しが見えるとのこと。まあ、痛くなければ4本とも抜いてしまっても全然かまわないのだけど・・・

親知らずって抜いても大丈夫なものなのだろうか。歯並びとか崩れてしまわないのだろうか。先生は全く問題ないと言っていたけど。

いずれにしろ、まだしばらく歯医者通いをすることになりそうです。

2008年8月2日土曜日

歯科医院運営に学ぶ

歯の詰めものがとれてしまったので、今日は歯医者に行ってきました。歯医者に行くなんて何年ぶりだろう・・・もしかすると10年ぶりくらいかもしれない。

久々の歯医者は新鮮な発見がいくつかあって大変刺激になりました。

①技術の進歩
まず、いきなり歯のレントゲンを撮られました。昔からレントゲンくらいはあったのでしょうが、歯の詰め物がとれた程度の患者でもレントゲンを撮るというのは驚きでした。
すごく小さな歯医者なのですが、その一角に顔の周りをカメラがぐるりと回る形式の、変わったレントゲンを整備した小部屋がありました。

あと、銀の詰め物をしていて、それがとれてしまったのですが、銀の代わりに白い粘土のような物質を埋め込まれました。その粘土は即座に固まり、すぐに食事、歯磨きできるとのこと。見栄えもいいし便利です。

また、それぞれのシートに小さなテレビがついていて、患者は施術中もテレビが見られます。ワンセグだったらもっと良かったのですが。

②患者への配慮
コミュニケーションにも配慮が見られました。口の中を照らすためのライトに鏡がついていて、患者が自分の歯を見られるようになっています。いろいろ説明を受けるより一目瞭然でわかりやすい。

それと、今回の施術は簡単なので、本当はアシスタントにもできたと思います。ですが、わずかな時間でもオーナーの先生が必ず少しは手を出すのです。これは安心感を生みます。
おそらくこの先生は、初診であれば歯石除去のような簡単な仕事でも、すべてをアシスタント任せにせず、少しは自らが対応するだろうと思います。

③効率的なオペレーション
施術時間が思ったより短くて驚きました。今日は、歯の詰め物部分を治しただけで虫歯の懸念がある歯への対応や歯石除去はしませんでした。
つまりこの歯医者では、一回の診察で悪いところを全て治すのではなく、最低限の対応のみにとどめ、患者に定期的な通院をさせるのです。うまいなぁと思いました。
一回の診察時間を短めにコントロールしているので、待ち時間も短かかったです。病院は待たされるイメージがあるので、非常に快適でした。

施術の腕もコミュニケーションも、オペレーションもよくできた歯医者で、定期的に通ってもいいなと思いました。いろいろと工夫しているなぁと勉強にもなります。

2008年7月28日月曜日

今年初花火

昨日は浦安の大会を見てきました。去年も私は隅田川花火大会ではなく、こちらの浦安のを見に行っていたのですが、今年はひょんなことから新浦安に住む方のホームパーティにお呼ばれし、そのマンションのベランダという特等席から、花火大会を楽しみました。見上げずに、真横から花火を鑑賞するというのははじめての体験で、なかなか楽しかったです。

新浦安は景観にかなり気を配っている街のようで、道ばたにはソテツなどの熱帯植物が植わっていたり、どのマンションもリゾートホテルのような形をしていたりしてます。マンション内が極めてバリアフリーな造りであったことを鑑みても、おそらくリタイア後の高齢富裕層向けの住宅街なのだろうと思います。ヨーカドーやケーズデンキなど一通りそろっていて住むのにも良さそうです。

花火大会はこれからが本番。関東圏では毎週末くらいやっているようなので、浦安を皮切りに、いくつか見に行ってみようと思っています。

2008年7月21日月曜日

勉強法の勉強はもうやめます

帯の「もっと若いときに読んでいれば・・・そう思わずにはいられませんでした」の文言に惹かれ、本を買ってみました。

外山滋比古
”思考の整理学”

最近本当に多く出回っている、勉強、情報の取り扱いの方法論の本です。1986年の本なのですが、勉強法ブームに乗って本屋でも平積みされています。売れているみたいですね。

内容としては、学校教育で育て上げられた、受動的にしか知識を得ることができない「グライダー人間」から脱却し、自分で主体的に知識を得ていく「飛行機人間」になるための心がけやノウハウを紹介しています。

いくつかいいなと思った考え方を記録しておきます。

①昔の武術の世界では、秘術は教えなかった。師匠の教えようとしないものを奪い取ろうとする弟子だけが、いつしか飛行機人間となっていき、免許皆伝を受けた。

②朝の脳は活発で楽天的。簡単な仕事を「朝飯前」と言うが、朝飯前の時間が最も成果のあがる時間で、「難しいことも朝飯前なら処理できる」という意味だったのでは、と著者は想像する。生活を朝型にしなさい。(著者はさらに、朝飯前の時間を作るために朝飯を抜け、そうすれば午前中いっぱい仕事の効率があがる、とすら言っている)

③(著者は大学の先生なので)学生から論文のテーマについて相談があったときには、1つではなく2,3のテーマを持って研究を始めるように指導する。そうすると、独善に陥らず、独創的なものができる。

④講義や講演を聞いても、めったにメモをとらないこと。メモをとると、人は安心して忘れてしまう。つまらないことこそメモをとり、早く忘れてしまいなさい。

⑤思考の整理に最も有効なことは「忘却」である。自然忘却の何倍ものテンポで忘れることができれば、歴史が何十年もかけて行う古典化という整理を、数年でできるようになる。古典的になった興味、着想なら、簡単に消えるはずがない。

⑥誰が発案したによらず、アイデアには必ず良いところがある。とにかく誉めること。ピグマリオン効果として実証されているように、根拠がなくてもほめることが、成果につながることもある。

⑦創作へのエネルギーはとにかく代償行動で肩代わりされやすい。詩人になりたい人が出版社に勤めるなら、編集よりも発送係の方がいい。編集業務によって満たされてしまっては、詩人になれないからである。同じように、口八丁の人は考えをしゃべることで満足して、実際の行動がおろそかになりがちだ。本当に成し遂げたいことはみだりにしゃべってはいけない。

それなりに参考にはなる本なのですが、絶賛されている理由はよくわかりませんでした。勉強法の本は山ほど出版されているけど、本当に参考になる本は見たことがないな。というより、勉強法を勉強しているうちは何も成し遂げることはできないんだろうな、と反省してしまいました。

会計の入門書

グロービスで会計のイロハを学んだところで、以前買ったまま本棚に眠っていた会計の本を再度取り出してみました。

國貞克則
”財務3表一体理解法”

具体的な会計処理をした際の、PL、BSへの計上の仕方と、CS(直接法・間接法)の動きを追った説明で、非常にわかりやすかったです。会計を理解するという意味ではとても良い本。さおだけ屋の本よりずっとわかりやすいし役に立つと私は感じました。

淡々と説明が続くので、演習+回答形式にしたほうがもっと身になったかなとも思います。例えば、「資本金300万円で会社を設立すると、財務3表はどうなる?」などとしてブランクのシートに読者に書き込ませた上で、その説明に入る、とか。

会計をざっくり理解するための読み物的な本なので、リファレンス的には使えませんが、会計の入門書としては良書だと思いました。

MBAよりもMFAか

ハーバードビジネスレビュー 2007年4月号
ダニエル・ピンク ”左脳思考と右脳思考を融合させる”

1993年時、マッキンゼー・アンド・カンパニーの新入社員のうち61%がMBAホルダーだったそうです。しかし、それから10年も経たないうちにその割合は43%に低下したとのこと。

入社後の仕事ぶりを見ても、他の学部出身者とMBAで有意な差はない。「左脳型ビジネス・エンジニア」であるMBAよりも、「MFA(master of fine arts:美学修士)」に注目が集まっているらしいです。

ただし、重要なのはMBA思考とMFA思考のコンビネーションで、どちらかひとつだけでは足りないとのこと。

「MBAが会社を滅ぼす」ではないけど、MBA的思考プロセスの人は組織の中に一定割合でよい(逆に言えば一定割合は必要)、というのは賛成です。私もMBAとろうかと思っていたけど、MFAにしようかな・・・というか自分が本当にビジネススクールに留学したいのかということ自体を考え直す、よいきっかけになりました。

これからの時代に必要な「6つの感性」が紹介されていたので、記録しておきます。

①デザイン
モノのあふれた時代においては、実用性だけでなく斬新さや美しさ、フィーリングなどの有意性が必要。実用性と有意性を両方発揮できる能力。ロンドン・ビジネススクールの調査によると、製品デザインの投資が1%増えると、売上、利益は平均3~4%増加するとのこと。

②物語
事実を感情的な要素を含んだ「文脈」に取り入れ、ひとに伝える能力。NASAや世界銀行ではナレッジマネジメントにストーリーテリングを利用していたり、ゼロックスでは語られる物語を「ユーレカ」と呼ばれるデータベースに蓄積しているとのこと。

③全体の調和
全体像を描き、一見無関係なもの同士を結びつける能力。広範な専門性と総合的知力、そして様々な経験が必要。巧みな比喩がつくれることもその能力の発露の一側面である。「システム・シンキング」などの言葉で表現されることもある。

④共感
相手の気持ちを直感的に察したり、相手の立場や状況を自分に置き換えて考えられる能力。IQテストで測られる能力がコンピュータや低賃金労働者に取って代わられる時代の中でも、人間関係の機微を深く理解することが要求される仕事は残る。スタンフォードMBAでも、この類の授業が人気となっている。

⑤遊び心
笑い、快活さ、娯楽、ユーモアなどを発揮する能力。楽しみ、喜びが人間をより生産的にし、個人の能力を最大限に発揮させるということ。Googleや3Mの導入する自由裁量時間も、この遊び心の発揮を狙ったもの。

⑥生きがい
生きがいを追求する能力。働く意義を咀嚼することは、幸福感を感じることにつながり、幸福感は生産性や創造性にも寄与する。自分の最も得意とすることを知り、それを自分以上の何かに生かすことがじゅうようだと、ペンシルバニア大学のマーティン・E・P・セリグマン教授は述べている。

世界企業に学ぶ

ハーバードビジネスレビュー 2007年11月号
いろいろな企業の経営スタイルの特集をしていました。気になった企業をいくつか。

①モトローラ:技術者のマネジメント方法
技術部門と営業部門の人材交流、ローテーションは正しいと思わない。経営陣にも技術者にも顧客訪問を促す。顧客訪問状況を緻密に調査したところ、経営陣と技術者の顧客訪問回数が全く不足していた。会社を挙げて、顧客と一体になるべく努力している。
技術者の問題は「when」を考えないところ。例えば「テレビ電話」とか、ある商品を、「売れるはずだ」と思っても顧客に受け入れられないことは多い。ただ、5年10年するとそれが飛ぶように売れる。技術者のマネジャーは、自分のはやる心を絶えず静め、自らを律する必要がある。

②グルッポ・セムコ:自由すぎる人材マネジメント
経営陣を示す「カウンセラー」、事業部長で構成される「パートナー」、その他の社員全員を「アソシエート」、プロジェクトチーム、タスクフォースチームの時限的なリーダーを「コーディネーター」とし、社員の肩書きを4つにした。一般社員のアソシエートがパートナーより高給取りの場合もあり、マネジメントは自由奔放である。他のアソシエート全員による面談と承認がない限り、採用や昇進を実施しないなど、「階層組織」「官僚主義」と徹底的に戦うための信じられないような制度が整備されている。

③LVMH:ブランド確立の条件
スター・ブランドの条件は、「タイムレス」「モダン」「急成長」「高収益」という四つの相矛盾する特性を同時に実現させること。その中でも「高収益」はアトリエ、すなわち工場で上げる。工場のどのプロセスのどの動作、ステップも、最新のエンジニアリング技術で整備されており、徹底的な低コスト高品質の調達を行う。最先端の自動車工場とほとんど変わらない。ハンドメイドプロセスが多くても、効率は高い。

④ザラ:高速サプライチェーンマネジメント
デザイナーが製品のデザインをしてから、流通までをわずか15日で行う。「片手は工場に、もう一方の手は顧客に触れていなければならない」という徹底的な商品管理、超高速サプライチェーンを構築している。

オリックスに学ぶ

日経ビジネス6/23日号 オリックス特集

アメリカのフィナンシャルスキームなどを積極的に導入して拡大してきたオリックスが、曲がり角に来ているという記事。個人的におもしろかったコメントだけピックアップしておきます。

①危機意識
会議ですぐ居眠りする宮内会長を眠らせないための社内セミナーで、「人材育成にもっと投資すべき」「社員交流のために本社にカフェを設ける」など施策を社員がプレゼンした。宮内さんは眠るどころか、怒りで噴火。

②人材獲得手法
世界銀行グループで新興国融資をする国際金融公社と長く付き合ってきた。調査や事務手続きなどを全て引き受け、苦楽をともにし信頼を得た。その結果として、ピカピカのグローバル人材を紹介してくれる。

2008年7月13日日曜日

東京脱出

友人が車を買い換えました。ずっと乗ってきた車の下取り日が明日と言うことで、名残を惜しむべく最後のドライブをすることにしました。

「とにかく東京は暑すぎる。なんでもいいから涼しいとこに行きたい」という安直な理由で、軽井沢まで行くことにしました。軽井沢って行ったことなかったし。

軽井沢に着いたのは16:30くらいだったのですが、軽井沢の観光施設(庭園や美術館など)は、どこも閉館が17時のようで、時すでに遅し。それくらい調べていけば良かったのだけど・・・。

とりあえず巨大なショッピングモールがあったので、うろうろして、それから「旧軽井沢」というところに移り、ソフトクリーム食べながらまたそのあたりをうろうろして、帰りました。まったく何しに行ったんだろう・・・。

帰りに横川のサービスエリアで、「峠の釜めし」を食べました。定番ですね。はじめて食べましたが、わりと普通。「峠の釜めし」のすばらしさは、「駅弁で食べてもおいしい」というポータビリティにあるわけで、ちゃんとお店で座って食べたのでは価値が半減してしまうのかも。まあ、観光気分を少し味わえたのでよかったです。

軽井沢はとても涼しくて過ごしやすいのですが、別荘とかでのんびりしたりする方がいいのでしょうね。また、ゴルフやる人とか、ショッピング好きな人とかなら楽しめると思いますが。私は海が好きなので、リゾートは高原よりも海岸がいいかな。

2008年7月2日水曜日

エレベータテストの本質

あまり興味が湧かなかったのですが、先輩から渡されたので読みました。 

細谷功
”地頭力を鍛える”

最近「地頭」って言葉がはやっているみたいですが、言語・計数・図形の能力、とかもっとわかりやすく表現した方が良いと思います。

著者は冒頭で地頭力を定義しようとしていますが、未知の領域で問題解決をしていける能力だとか、地頭がいいと形容されるだとか、漢字一文字で表現すると「理」だとか、定義になっておらず、著者自身の地頭はどうなんだ?と思ってしまってあんまり精読はしませんでした。

簡単に言えばフェルミ推定の紹介本です。それなら「フェルミ推定のやりかた」とかそういうタイトルにすればよいのに・・・

この本の主張は以下の3点。

①結論から考える
②フレームワークで全体をとらえる
③抽象化・単純化する

当たり前のように言われていることなので意識もしていないですが、最近仕事で、「報告・連絡・相談」のタイミングを逸するという失態を犯してしまって、①の重要性をあらためて感じました。その理由は以下の通り。

「結論から考える」というのは、仮説思考をが必要なビジネスマンには日常的な行為ですが、それが「報・連・相」を行うのに決定的に重要だと思います。自分の抱える全ての仕事の結論を、常に意識していれば、とっさに上司とあったときに、すぐに状況を報告できるということです。

「報告資料を今作っているので、できたらお伺いします」ではスピードが遅すぎます。報告しなければならないということは、判断を仰がなければならないということであり、いつそういうタイミングが来ても、報告、相談ができるように、結論を頭に置いておく必要があります。つまり、「エレベータテスト」の本質は「抱える全ての案件の結論を常に頭においているか」なのだなと思います。「冒険だと思っても、大胆な仮説をおいてとにかく結論を出す」という著者の主張にも共感するところがありました。

あと、地頭力だけでは人は動かない、つまり人は大嫌いな人からの理にかなった依頼よりも、大好きな人からの理にかなわない依頼を承諾するということも著者は指摘しています。それもそうだよなぁと思ってしまいました。

2008年6月30日月曜日

セールスマンのノウハウ

昨年度面倒を見てくれたマネジャーから本を薦められました。分厚くて時間がかかりましたが、読み終わりました。

ロバート・B・チャルディーニ
”影響力の武器”

交渉術の古典的な本で、人間の自動反応のパターンの例とその反応を引き起こすスイッチの入れ方を取り上げてた本です。人を自動的な反応に駆り立てるものとして7種類あるそうです。

①コントラスト
アパレルのセールスは、スーツとセーターとネクタイを購入しようとするお客には、まずスーツを買わせるのだそうです。セーターやネクタイはスーツほど値が張らないため、コントラストで、お客に高価なセーター、高価なネクタイを買わせることができるという方法です。

②返報性
他の本では互恵性(レシプロシティ)なんて言われたりもしていますが、例えば高価なプレゼントをもらったら、何かお返しをしなければならないという義務感を発生させると言うことです。
この発展型で「ドア・イン・ザ・フェイス」という手法があるそうですが、これは譲歩をすることで相手の譲歩を引き出す手法です。「1万円貸してほしい」と言われ、拒絶した場合に、「じゃあ千円でいいから貸して」と言われると貸してしまうことを利用したセールス手法です。

③一貫性
何らかの悩みで困っている人が、自分を救ってくれそうな研修を見つけたとする。研修の説明会に参加した後、信憑性に確信を持てないにもかかわらず、研修費用を振り込んでしまう現象です。説明会に参加する、つまりその研修に対して何らかのコミットメントをしてしまった以上、その人にとってはその研修こそが自分を問題から解放してくれるものでならなければならないのです。
この発展型としては「フット・イン・ザ・ドア」という手法があり、訪問のセールスマンがドアに足を挟んで玄関に入ってくることを許したら、そのセールスマンと契約を交わすことも許してしまうのだそうです。
他にも、「ローボール・テクニック」といって、嘘でも良いからとにかく先に小さな承認を取り付け、それから本当の依頼をする方法もあるそう。

④社会的証明
どこにでもいそうな普通の人が商品を推奨するテレビコマーシャルがありますが、これは消費者自身に、自分と近い人が商品を気に入っていると思わせる方法だそうです。つまり、ひとはどう振る舞えばよいのか確信が持てないとき、他社の行動を参考にして、それも類似性の高い他社の行動を参考にして自分の行動を決めるそうです。

⑤好意
セールスマンのことを好きになってしまったら、ものを買ってしまうという単純な主張です。では、人はどういう人を好むかというと、外見が良い人、自分に似ている人、お世辞を言ってくれる人、よく知っている人、だそうです。
モーターショーなどに女性のモデルがたくさんいるのは、車に関心が高いのは多くは男性であり、女性への好意が車への好意に伝染するからという理屈だからだそう。

⑥権威
例えば健康食品を、セールスマンが紹介するのと医者や学者が紹介するのとでは影響がまるで違います。権威を発揮するものとして、著者は肩書き、服装、装飾品の3つを挙げています。身なりの大事さは知り合いの金融機関のセールスマンも強く主張していました。

⑦希少性
よくあるパターンですが、「限定」や「本日限り」の文字に踊らされてしまうということです。人には心理的リアクタンスというものがあり、機会が喪失してしまいそうになると自動的に反発するのだそうです。

判断を保留している状態、不安や緊張を強いられている状態、思い悩んでいる状態など、人は一刻も早く思考から待避したい状態になると、そこから解放されるために自動反応をする習性を持っていて、そのパターンを利用したセールステクニックは強力だということです。

膨大な事例が紹介されているのですが、小粒で具体的すぎて、著者の主張を裏づけるには不十分ではとも思ったのですが、書籍が高価であり、また大量の文章を読ませることで読者に達成感を味わわせる(「③一貫性」の利用)ことと、実証実験を紹介することで多くの学者が自分の主張の裏付けを行っている(「④社会的証明」と「⑥権威」の利用)ことにより、自分の意見の正当性を読者に納得させようとしていて、まさに自分の主張をこの書籍自身で実践しているところがおもしろかったです。

九徳と人望

仕事でおつきあいのある方から本を紹介されたのですが、本屋に無かったので同じ作者の本を買って読んでみました。

山本七平
”人間集団における人望の研究”

文化、宗教を問わず、平等社会であれば、どんな集団においても人望のある人がリーダーとなる、いやリーダーにさせられる、という現象から紹介し、人望こそが人間評価の最大の条件であるという主張を基盤に著者の見解を述べています。

古今東西の古典を分析し、人望ある人の条件について考察しています。その結果、朱子学の入門書である近思録における「九徳」を心得ることが人望の条件と述べています。九徳とは以下の通り。

①寛にして栗(寛大だが、しまりがある)
②柔にして立(柔和だが、ことを処理できる)
③愿にして恭(まじめだが、ていねいでつっけんどんでない)
④乱にして敬(事を治める能力があるが、慎み深い)
⑤擾にして毅(おとなしいが、内が強い)
⑥直にして温(正直で率直だが、温和)
⑦簡にして廉(大まかだが、しっかりしている)
⑧剛にして塞(剛健だが、内も充実)
⑨彊にして義(強勇だが、ただしい)

「克伐怨欲(他人に打ち勝とう、自己主張をしよう、それを妨害する人をおとしめよう、どん欲になろうという感情)」を捨て、「七情(喜・怒・哀・懼(おそれ)・愛・悪・欲)」を抑制して中庸を保ち、「プライド」から脱し、「九徳」を会得することが、人望の用件であるということです。

 人望は「異質の超能力」だが、天性の能力ではない。
 自分の心を抑え、行動を常に九徳に照らし合わせて検証し、
 訓練を経て身につけるものである。

というのが著者の主張のまとめであり、一見当たり前ながら意識していないと忘れがちのことでもあります。

また著者は、機能集団(軍隊や企業など)のリーダーには、人望の前提として能力が必要だと現実的な主張も述べています。徳だけではリーダーたりえず、実務能力が必要だということです。上に行けば行くほど、能力よりも徳の比率が高まっていくということです。

日本におけるリーダーシップの基盤には朱子学があるという発想をベースにおいた著書であったため、朱子学も勉強してみたくなりました。

2008年6月29日日曜日

モダンアートの歴史に触れる

今週火曜は休日出勤した分の振替休日でした。突然休日になったので予定もなく、六本木の森美術館に行ってみました。

森美術館では、いま「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」というイベントをやっています。ターナー賞というのは、英国人、40歳以下のアーティストのみを対象としたモダンアートの賞です。日本ではあまり耳にしませんが、世界的には有名かつ権威ある賞で、本国では毎年の盛大なイベントとして認知されているようです。

ロンドンは、昨年旅行に行ったときもモダンアート好きな街だなと思いました。アートカレッジもたくさんあるし、テートなど世界有数の美術館がすべて無料で、美大生だけでなく普通の人が普通にアートを楽しんでいます。アーティストが育つには絶好の場所です。

だけど、英国からは偉大なアーティストがあまり出ておらず、「英国人はアートを目利きし、蒐集する能力は高いけど、自分で生み出す能力は・・・」なんて言われているようです。最近はそうでもないのかな。

いくつかの作品に刺激は受けたのですが、私はいまいちピンとこなかった。ターナー賞作品は奇抜なものが多く、それは良いのですが、パフォーマンス・アートのような作品は私はあまり好きではないです。特に美術館では動画でしか見られない、その再現性のない作品からは、時間を超えて存在し続ける感覚を私が抱けないからだと思います。こういう賞味期限の短そうな作品が多いように感じました。極めて主観的かつ感覚的な意見ですが。

そんな中でもいいなと思ったのは、ライトが点滅を繰り返す部屋です。部屋には何もなくて、ただライトが定期的に点滅している、その空間がアートであるという作品。これのどこがアート?という感じもしますが、こういうの結構好きだな。私の後からきた海外からの観光客の方が、この部屋に入った瞬間ニヤっとしていましたが、普通の人にそういうリアクションをさせるモダンアートは基本良い作品なんです。音声ガイドを聞くとこの作品の良さがもっとしっくりきます。

音声ガイドといえば、今回のこの展示では音声ガイドが無料で借りられます。ブルームバーグがスポンサーしているそうです。素晴らしい。入館料が1,500円と高いのですが、500円分は音声ガイドだと思えば普通です。

もっとも、美術館で入館料をとっているようでは、日本から次世代のアーティストが出てこないんじゃないかと危惧してしまいます。常備展を増やしてキュレーションの負荷を下げれば、入館料をもっと安くできるし、本当にこういう作品を見るべきは、必ずしもお金を持っていないアーティストのタマゴたちなのではないかと思います。が、森美術館は民間企業があくまで収益目的で運営しているので、そうもいかないのでしょうね。

森美術館
http://www.mori.art.museum/jp/index.html

2008年6月22日日曜日

研修という名のコミュニティビジネス

今日はグロービス最終日。グロービスでは最終日にはレポートがあり、これがかなり重い。なかなか勉強する時間もとれない中で、何とか書き上げて提出しました。出席者の何名かは徹夜でレポートを作成していたようで、講義開始時に早くも疲労困ぱいムード。とはいえ議論がはじまるといつもと同じく盛り上がり、最終日を終えました。

グロービスの会計コースは、最終日がボストン・ビア社というアメリカの実在のビール会社をテーマにしたケースなのですが、打ち上げの際に幹事がボストン・ビア社の代名詞「サム・アダムス・ラガー」を用意していて、なかなか粋なはからい。打ち上げのお店では普段そんな輸入ビールは仕入れていないのですが、幹事の方がわざわざ手配して用意したとのこと。うーん素敵。味もおいしかったです。

グロービスのケース形式での講義は、出席者間のバラつきが大きな影響を及ぼすので、初日受講した感覚では私は非常にネガティブでした。ですが、何度か議論を経験するうちに、予習しなければ出席する意味がないと皆が強く意識したり、議論に慣れたりで、よい議論ができるようになり、大変意義ある時間となりました。

今回のグロービスを経験して非常に感心したのは、「ラーニングコミュニティの形成」に大変なエネルギーを投入しているということです。どうやらこれは講師によっても熱意に差があるようで、私が今回受けた講師は毎回の授業の後の飲み会に必ず出席したり、メーリングリストへの積極的な介入したりと、かなり熱心でした。

こういう講師にはどうやら固定の生徒がつくようで、コミュニティの質が高かった。そうするとお互いが感情的なレベルで仲良くなるので、必然的に議論が活性化します。その結果、いくら予習が大変でも、サボることができなくなります。今回は講師、メンバーに恵まれ、非常に運が良かったと思います。

「ラーニング・コミュニティへの帰属意識」が「勉強することへのプレッシャー」をもたらし、「勉強する喜び、快感」につながる。この快感が「他のテーマももっと勉強しなければならないという危機意識」とあいまって、次の講座を受講させるというサイクルは、はまると抜けられそうにないですね。お金と人間関係に問題がない限りは、抜けられなくてもよいのですが。

さて、打ち上げではもちろん昼から浴びるほど飲むのですが、その中で薬関係の卸業をされている方と話し込みました。薬剤師でもあるその方は、いまは薬局に卸す商品のバイイングをしていて、仕事は商社みたい。シャンプーのTSUBAKIや、化粧品のコフレ・ドール、携帯食のソイジョイなどのバイイングを仕掛けたりしていて、ハイリスクハイリターンなお仕事の話を聞かせていただきました。人間関係構築力や感性が極めて重要な仕事にもかかわらず、グロービスで科学的なアプローチも勉強されているのは尊敬に値します。

総じて、グロービスの受講者はよく勉強していますね。週末や夜中にも勉強しすぎて、夫婦関係、友人関係に影響を及ぼす人もいらっしゃるそう。とはいえ何歳になっても勉強し続ける姿勢は見習いたいです。勉強を習慣化させる必要があります。

メンバーの中でお父さん役みたいな方がいらっしゃるのですが、自社が最近ダラスの会社を買収したそうで、その方はそこの社長になるそうです。なんと明日渡米とのこと。ものづくりの会社なのですが、「部下一人ひとりのプライドを大事にすることが技術者のマネジメントでは重要」という言葉は心に残りました。その方が帰り際に、「うちに24歳の娘がいるのだけど、どうだ?(笑)」とおっしゃってくださりました。もちろん冗談ですが、講義を通じて私のことを評価していただいているようでうれしかったです。

お昼から18時くらいまで飲み続け、メンバーが次の店に行こうとする中、私は次の予定があるので別れました。いったん帰宅して荷物を置き、会社の別本部の同期である友人と食事に行きました。

その友人の本部ではいろいろな変革が起きていて、私は同じ会社なのに全く知らず、刺激的でした。彼は最近読書にハマっていて、おすすめ本をたずねたところ、「ローマ人の物語(塩野七生)」を紹介してくれました。おもしろそうではあるけど、これ読み終わるのに何年かかるんだ?

2008年6月17日火曜日

引き続き京都を味わう

京都から帰ってきました。今日は午前中、少し時間があったので二条城に行ってみました。もう仕事で出張しているのか観光しに来ているのかわかりません。まあ、いいか。

小学校の修学旅行で一度訪れたことがあるのですが、ウグイス張りとか狩野一派の描いたふすまなどディテールの一部だけ覚えていて、城って名前がついている割に地味なイメージがありました。

ですが、大人になるとその味わいがわかるものです。想像以上に広い二の丸(本丸は入れません)内に圧倒されたり、絢爛豪華ではないが意匠を凝らした書院造に風流を感じたり、大政奉還をした広間を目の前に歴史に想いを馳せたり、雄大な庭園を散歩しながら将軍気分を味わったり、と、気に入りました。二条城はかなりいいね。

徳川家の別荘みたいなものかなと思いますが、時代が時代なら敷地に近づくことすら一生かなわなかったわけで、そんなところを気軽に散策できるなんてある意味ラッキーですね。

先輩と昼から仕事をこなして、東京に帰ろうとタクシーで京都駅に向かっていたら、鴨川沿いの飲み屋が座敷を外に張り出して、みんなオープンエアで飲んでる。タクシーの運転手に聞くとそのあたりは先斗町(ぽんとちょう)と言うらしく、夏の風物詩らしい。

というわけで先斗町に潜入。
ここも京都らしさ全開の風流な場所です。酔ってしまい帰りの新幹線は爆睡でしたが、京都を存分に楽しめた出張でした。

2008年6月15日日曜日

京都出張

京都に来ています。最近仕事で京都によく来ていますね。

仕事の合間に、京都大学を訪れてみました。京都大学は単に大学であるだけでなく、地域住民の憩いの場であり、観光客の立ち寄る一大名所でもあるようです。食堂でかるく食事をしていたのですが、修学旅行中と思われる学生服の中学生や、お年寄り夫婦、観光ガイドを手にした女の子たち、と、京大と関係ないひとばかり。が、何となくいい雰囲気ですね。緑も多くて安らぎます。

ただ、京都駅からアクセスが悪いのが難点ですね。京大生は自転車や原付で通う人が多いようです。最寄りの駅から歩くひとももちろんいるけど、ちょっと距離がある。さらに京都の電車は乗り換えが多くて、待ち時間も多いので電車通学は厳しそう。京阪電鉄がJR京都駅と連結していないのは何のメリットもないと思うのだけど・・・。

今夜泊まっている「ホテルモントレ京都」はなかなか気に入りました。まだ新しいホテルで、英国調の雰囲気でサービスもよく、こじんまりとしていてなかなか落ち着く。なにより最上階に温泉があるのがすばらしい。サウナもあって、サウナの中にテレビがあるので長時間いられます。別料金ですがこんなところで温泉に入れるなんてかなりうれしい。バスローブとかパジャマ(しかも上下がセパレートのパジャマ)もあってこの辺も英国風でいい感じ。部屋も清潔で、加湿器つき空気清浄機も完備していて、有線LANもある。烏丸御池からすぐでアクセスもよいし、これからも京都に出張に来る時には利用しようと思いました。

2008年6月11日水曜日

CSOが会社を救う

久々にハーバードビジネスレビューを読んだところ、おもしろい記事が掲載されていました。

ハーバードビジネスレビュー 2008年4月号
”CSO:最高戦略責任者の役割”

CEOの役割が多様化、複雑化する中で、企業が「戦略」の最高責任者を置くようになった、という話。なかなかおもしろい。

CSOとは何か、どういう役割を担うのかを、この記事では「CSO候補の見つけ方」という形でまとめているので、そのページを記録しておくことにします。

新たな戦略を開発し、これを職能部門と事業部門にもわかるように翻訳し、組織変革を推し進められるスキルと経験を備えた人物に欠かせない、9つの個人特性・行動特性を、相対的に重要度の高いものから並べています。

①CEOの信頼が厚い
CEOから全権をゆだねられるほど信頼されていないと戦略担当はできませんね。

②複数の仕事を同時にこなせる
CSOたちには、M&A、市場調査、長期計画策定など難易度の高い役割を、最低でも同時に10以上課せられるそうです。

③何でもできる
CSOはそのキャリアを戦略プランニングで築いているわけではありません。大多数は現場や職能部門で経験を積んでいるとのこと。

④社内の花形である
CSOはキャリアの早い段階で大きな成果を収めているそうです。

⑤考える人ではなく、行動する人
これはおもしろいですね。CSOというのは戦略そのものに磨きをかける人ではなく、それを実行するリーダーだとのこと。実行が重要なのです。

⑥ホライゾン2(中期)を守護する者
経営者が注力するのは短期と長期の問題。戦略を実行するに当たっては「ホライゾン2」と呼ばれる1~4年の中期の問題が重要で、CSOはここに社内の関心を集める必要があります。

⑦影響力が大きいが、独裁者ではない
まあ、それはそうですよね。

⑧白黒はっきりしない状態でも苦にならない
不確実な未来を受け入れる能力がCSOだけでなく、すべてのリーダーに必須とのこと。私はちょっと弱い部分だな。

⑨客観的である
CEOは多少情熱的なくらいが良いでしょうが、戦略担当は冷静で客観的だと思われないといけないですね。

ちなみに、CSOに就任するまでの平均勤続年数は8年とのこと。海外企業のリサーチであり日本では事情が異なるところもあるとは思いますが、組織の戦略実行を推進する責任者となるまでに8年というのは、私にはあまりに短いように思えました。

プロフェッショナルCEOというのは戦略を立案する人だから、それは比較的短期間でも可能かもしれないと思えます。ただ、CSOとなるとわけが違います。組織を知り尽くし、人脈を組織の中に張り巡らし、組織を動かさなければなりません。そういう状態を8年でつくりあげられるものなのか?というのは、感心するというより圧倒されますね。

2008年6月9日月曜日

青春に浸る

最近ビジネス書ばかり読んでいる私を心配した方から、小説を貸していただきました。第2回の本屋大賞を受賞した、青春小説です。

恩田陸 ”夜のピクニック”

とある田舎の高校で毎年「歩行祭」というイベントが開催されます。それは、全校生徒が夜を徹して80キロを歩き通すという毎年の伝統行事です。主人公の西脇融(とおる)は親友の戸田忍と語らいながら歩き、もうひとりの主人公の甲田貴子もまた、親友の遊佐美和子と歩きます。ただ、融と貴子の間には、秘密があって・・・、と、友情や恋愛感情だけでなくいろいろな想いが交錯する作品です。

登場人物の感受性の豊かさ、言葉を交わさなくても通じ合っているところ、純粋な信頼関係で結びついているすがすがしさに、フィクションだとわかっていながらも心が洗われます。以下、いくつかいいなと思ったせりふ。

「だけどさ、雑音だって、おまえを作ってるんだよ。雑音はうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う」

「大体、俺らみたいなガキの優しさって、プラスの優しさじゃん。何かしてあげるとか、文字通り何かあげるとかさ。でも、君らの場合は、何もしないでくれる優しさなんだよな。それって、大人だと思うんだ」

「母親や、友人や、女の子たちから無償の愛を与えられているし、それを当たり前だと思っている。なのに、恐らく、彼自身だけは自分が幸せだとは思っていないのだ。まだ自分は何も手に入れていないと思っている」

と一応メモっておくけど、小説読んで文脈の中で捉えないと、せりふだけ書いても意味わからないな。

ひとを思いやる感受性の豊かさと、純度の高い信頼関係の大切さに触れた一冊でした。たまにはこういう作品を読んで、心に潤いを与えないと、と思ってしまいました。

2008年6月8日日曜日

先生おめでとうございます

私が大学の学部時代にお世話になった指導教官が、先日大学で新専攻を立ち上げ、その初代専攻長になりました。

私が学生時代には助教授でしたが、あっという間に教授になり、専攻長なんてなかなかやるなぁと感心しました。昨日はその専攻立ち上げ記念式典+パーティで、仕事を早めに切り上げて大学に行ってきました。

大学に着くと指導教官の先生や、専攻の他の先生、研究室時代の先輩とか、大学で研究している同窓など、久々に盛り上がりました。研究設備や部屋などを見せてもらったり、大学内をうろうろして、学生気分に浸りました。

ついでに大学院時代の研究室にも遊びに行ってみました。部屋には博士課程の後輩と、修士課程の後輩の2人しか来ていないという不真面目な研究室ですが、2人とも今年が学生生活最後の年、つまり来年から社会人で、今後チャレンジしていきたいことや取り組んでみたい研究テーマについて話に花が咲き、3時間くらい話し込んでしまいました。私も刺激を受けて、もっとアカデミックなことに取り組みたくなってしまいました。論文とか書いてみようかな。

みんなで研究室を後にして帰路につこうとしたところ、博士課程の後輩が、大枚はたいてイタリアのバイク(DUCATI)を買っていて、ちょっと乗らせてもらいました。スーツにネクタイ、革靴のフォーマルスタイルで、ノーヘルのまま大学内をDUCATIで爆走するなんて、ちょっと節操がないですが、大学に戻ると気持ちまで若くなってしまいましたね。それにしてもDUCATIはエンジン音が刺激的。ほしいなぁ。

2008年6月4日水曜日

金井先生の慧眼

キャリアに関するすばらしい本を読みました。

ハーミニア・イバーラ ”ハーバード流 キャリア・チェンジ術”

表題だけ見ると転職あっせん本みたいでいまいちですが、その実は非常にしっかりとしたリサーチに裏づけられた、実践的なキャリア論で、「アイデンティティの確立」を目的としています。

キャリア論のほとんどは、「自分を深く見つめて自分が本当にしたいこと、望むものを発見すること」を重要視していますが、この本はまるで逆。自分の将来像を複数持ち、それを行動に移して次々と試すことが重要、という主張です。簡単に言えば、「内省して自分自身を見つける」のではなく、「行動して自分自身になる」のです。

著者は終盤にまとめとして、「新しいキャリアを見つけるための型破りな9つの戦略」をあげています。

①行動してから考える。行動することで新しい考え方が生まれ、変化できる。自分を見つめても新しい可能性は見つけられない。

②本当の自分を見つけようとするのはやめる。「将来の自己像」を数多く考え出し、その中で試して学びたいいくつかに焦点を合わせる。

③「過渡期」を受け入れる。執着したり手放したりして、一貫性がなくてもいいことにする。早まった結論をだすよりは、矛盾を残しておいたほうがいい。

④「小さな勝利」を積み重ねる。それによって、仕事や人生の基本的な判断基準がやがて大きく変わっていく。一気にすべてが変わるような大きな決断をしたくなるが、その誘惑に耐える。曲がりくねった道を受け入れることだ。

⑤まずは試してみる。新しい仕事の内容や手法について、感触をつかむ方法を見つけよう。今の仕事と並行して実行に移せば、結論を出す前に試すことができる。

⑥人間関係を変える。仕事以外にも目を向けた方がいい。あんなふうになりたいと思う人や、キャリア・チェンジを手助けしてくれそうな人を見つけだす。だが、そうした人をこれまでの人間関係から探そうと考えてはいけない。

⑦きっかけを待っていてはいけない。真実が明らかになる決定的瞬間を待ち受けてはいけない。毎日のできごとのなかに、いま経験している変化の意味を見いだすようにする。人に自分の「物語」を実際に何度も話してみる。時間が経つにつれ、物語は説得力を増していく。

⑧距離をおいて考える。だがその時間が長すぎてはいけない。

⑨チャンスの扉をつかむ。変化は急激にはじまるものだ。大きな変化を受け入れやすいときもあれば、そうでないときもあるから、好機をのがさない。

いつも手元に置いて、悩んだときに開きたくなる本です。この本は神戸大学の金井壽宏先生(日本のキャリア論の第一人者)が監修しているのですが、それにしても金井先生が監修する本はいい本ばっかりだなぁと感心してしまいます。もちろん金井先生ご自身の著書も私はたくさん読んで勉強させていただいています。

2008年6月2日月曜日

表参道を歩く

今日は特に用もなかったのですが、久々に表参道をうろうろしていました。すると箸の専門店がありました。非常に狭い店内に膨大な箸と箸置きがあって、ものはとても良さそう。プラスチックのは安いのですが、木製のは想像以上に高価でした。一膳3万円を超える箸もごろごろあります。たかが箸、されど箸という感じでしょうか。

父の日ギフトということで母の分もあわせて購入し、実家に送りました。その後もピエール・エルメでホットチョコレートやマカロンを味わったり、雑貨屋をのぞいたり、住宅街の雰囲気を楽しみました。住宅街では、市営住宅みたいな古びた建物や、戸建て住宅もたくさんあって、意外でした。ハイクラスマンションももちろんあるのですが、こんなに戸建てがあるとは思ってなかったので。

緑も多いし、オーガニックの食材スーパーとかもあって、住むにもよい場所だと感じました。。以前、表参道ヒルズに行って、表参道は遊ぶところ無いな、と思っていたのですが、裏道を歩くととてもおもしろい街だったんですね。かなり気に入りました。

2008年5月25日日曜日

日経ビジネスの記事たくさん

日経ビジネスをたくさん読んでいたのですが、まとめる時間が無くてたまってしまっていました。日経ビジネスは3月あたりから日本を、特にものづくり力から復活させたいという想いを込めた記事をたくさん特集していておもしろいですね。

日経ビジネス2008年3月31日号 ”日本の時価を上げろ”
実体経済以上に売られる日本株を取り巻く状況についての記事。おもしろかったことは、今の日本は「短期投資家は売り、長期投資家(シンガポールやノルウェーの政府系ファンド)は買う」となっているという意見。
また、日本はM&Aに否定的な企業が多いことや政府による外資締め出しは本質的な問題ではなく、「世界的に見て収益力が低いこと」が外資からは一番見られているということ。

同号 ”メキシコ 世界を揺るがすヒスパニック・パワー”
「BRICs」という言葉を生み出したゴールドマン・サックスは、2050年にメキシコが世界第5位の経済大国になると予想しているそうです。そんなメキシコの記事です。
まず、電力や水道などインフラに日本の商社が深く関わっており、今後鉄道や港湾、空港にも手を伸ばそうとしていること、東洋水産が「マルちゃん」ブランドで、カップ麺を国民食の地位にまで高めていることなどが挙げられていますが、そこまでメキシコが魅力的に見られているのは、今後米国の人口増加はヒスパニック系が牽引すると見られているため。海外企業がメキシコを中南米の拠点都市、メキシコから北米を攻めるという潮流が起きているらしい。

日経ビジネス2008年4月7日号 ”地力を信じろ”
企業買収、事業買収で技術を買うことよりも、「地力」、つまり社内に眠る力を生かせという記事です。主張としては、「ほしい技術を買収する必要はない。社員が組織への依存心を捨てて必死になればイノベーションは起きる」ということ。
技術的イノベーションを起こすためには、大きなプロジェクトを小集団ではじめること。小集団なら冒険もできるし、技術者一人ひとりが必死になる。会社がリスクを背負うのを期待するのではなく、個人がリスクをとる覚悟と決意が必要。個人が自分で「気づき」を得て、自分で育たなければならない。
ホンダはコージェネレーションシステムやディーゼルエンジンの開発を小集団で実施し、成果をあげたが、そこで招集された技術者は必ずしも精鋭ばかりではなく、それどころか素人集団だったとのこと。ディーゼルエンジン開発にディーゼル反対派を責任者としたことで、その分野で最後発だったホンダが最先端に躍り出たというのは、日本の技術者の潜在能力の高さを感じさせるエピソードです。

日経ビジネス2008年4月14日号 ”日立とニッポン 技術独善、100年目の孤独”
タイトルからしてぐっとくる記事です。まず日立を示す例として洗濯機を挙げています。
2003年に松下電器が「ななめドラム式」により、洗濯機市場首位の日立を引きずり下ろしました。シャープや東芝がななめドラム式に追随する中、日立は「ビート式(衣類を上下に振動させて洗う方法)」を世界ではじめて開発。水の使用量、洗浄力、洗濯時間全てで他方式を圧倒しながらも、消費者が選んだのは、「洗濯物の出し入れがしやすいななめドラム」でした。スペック偏重、技術の独善がシェア低下を招いたということです。
そんな中、2006年6月15日に、中部電力の浜岡原発でタービンの故障が発生し、タービンを製造している日立のブランドへの信頼は根底から揺るがされる。時価総額では売上高で4割に満たない三菱電機にも抜かれてしまう。
M&Aを仕掛けても失敗が続き、IT革命の波に乗ろうとしてもそれほどの経済効果は上げられず。私は日立のIPS液晶のファンだっただけに、液晶撤退、プリウス撤退は悲しかったな・・・。
世界初の水冷式ノートPCなど、日立のカタログには「世界初」「世界最小」「世界最速」「世界最薄」そんな言葉で埋められているのに、一向に売れない。
そんな日立はこれから原点回帰として、「社会インフラ」をコア事業として絞るとのこと。具体的には電力事業に加えて鉄道事業にも注力していくそう。
「そんなことなら日立の方がもっとうまくやれる」ではなく、「日立にしかできないことをやる」という決意にも見えます。とはいえ、スペック至上主義、超プロダクトアウトな技術者集団こそが、技術的イノベーションをもたらすような気もして、ちょっと残念な気がするのは私だけでしょうか。売れなかったけどどこにもつくれない「ビート型洗濯機」を実現してしまうところこそ、日立っぽくて私は好きなのです。

最近の日経ビジネスからは、「ニッポンは必ず復活する、復活を牽引するのはやっぱりものづくりだ」という気概が伺えて、とても好感を持っています。

友人との雑談

今週は2人の友人と久々に会い、食事しました。

一人は趣味で心理学を勉強している人で、彼が言っていたことでおもしろかったのは、「 感情は対象を持たない」ということです。例えば上司に理不尽なことを言われて不快になっているときに、全然関係ない同僚からぱっと声をかけられて、その人に怒りをぶつけてしまう、というように、感情はその原因と関係なく作用するということです。この例のように、ある感情を発生させるきっかけと、それが対象を変えて発露する時間が短いと直感的にもピンとくるのですが、彼が言うには時間は関係ないとのこと。自分でも理解できない感情の発露、例えば理由がわからないのに憂鬱な日々が続くとかという症状は、ちょうど今というタイミングで、ただ「情動の固まり」が「閾値」を越えただけで、本当の原因は違うところ、例えば遠い過去の出来事にあったりするということです。精神的な変調の原因が、自分でも全く思いもよらないような、ただ精神的に極めて近い人間関係にあるということもあるそう。これは興味深い。

もう一人の友人は経営不振の企業などを支援する仕事をしているのですが、彼が言っていた中でおもしろかったのは、企業の支援はチームを組んでやるのですが、そのチームは例えば「経営全体を見るのが得意な人」「販売の仕方を考えるのが得意な人」「組織図を描くのが得意な人」「その業界の動向に詳しい人」というように、特定の分野の専門家が集まるのではなくて、「経営に関して全部わかる、あるいは努力してわかろうとできる人」が、「すごくできるシニア」「それなりにできるミドル」「がんばっている若手」のような形でチームを組むのだそうです。ただし、業界の専門性は、チームメンバー全員がある程度持っているとのこと。専門家チームがよいのか、何でもできるメンバーを集めたチームがよいのかはわかりませんが、チームの力を最大化するには個人としてどうあればよいのか、を考えさせられる話でした。

2008年5月18日日曜日

久しぶりに映画鑑賞

今日は銀座をうろうろした後、帰宅してスピルバーグの「A.I.」を見てました。母親を愛することをプログラムされた子供のロボットが、母親からの愛を獲得するため、人間になろうとする物語です。ピノキオをモチーフにしています。

ばりばりのヒューマンタッチなのかなと思っていましたが、当時の最先端のCG技術を贅沢に使用したSFです。すごい映像です。もう少しウェットなストーリーを期待していましたが、SFとして見ればとてもおもしろい作品です。ラストはもっと違うやり方があったんじゃないかな・・・個人的にはSFの要素はほどほどでもいいから、もっともっとウェットなヒューマンドラマにしてほしかったな、とも思いましたが、スピルバーグだとこういうエンディングになるのかも。

主役を演じた子役のハーレイ・ジョエル・オスメントくんの演技がうまくてびっくりしました。かなり難しい役のはずです。うますぎてちょっと作品に入り込めなかった感じすらしました。演技にとどまらず、水の中で気泡が出ないように全く息をしてないというところとか、すごいです。

アカデミックなともだち

今日は大学時代の友人と会いました。2年ぶりくらいでしたがそんなに時間が空いたような感触はありませんでした。北千住付近の小さな飲み屋で18時すぎから24時前くらいまで話していました。

彼は今も大学に残って研究をしています。名刺には「助教」とありました。今は、助教授とか助手とかはなくて、それぞれ「準教授」「助教」と呼ばれているらしいですね。同期なのに、もう大学の先生です。

大学の世界、アカデミックな世界は実力主義そのもので、本当に自分の力だけで生きて行くようです。準教授や助教は契約社員みたいなもので、数年で次の勤め先を探して出て行きます。

短期契約であるためにその間に成し遂げたいことも明確なのですが、だからといってスケジュールをきっちりつくっているわけではないようでした。学術研究の世界では、見込み通りに成果があがることの方がむしろ珍しいし、スケジュールなど意味をなさないことも多いからです。日々納期に追われる企業勤めとは違うなと思いました。

また、案外雑務も多くて、スポットで研究とは全然関係ない仕事が舞い込むことも、スケジュール通りにはいかない一因だそうです。彼は極めて頭がよく、素晴らしい研究成果をあげているのですが、それでも研究だけに没頭できるわけではなくて、その辺は大学といっても企業と同じだなぁと思ってしまいました。

企業人である私より雇用はずっと不安定なのですが、彼はそれをリスクだとは全く思っていません。数年契約であることをむしろメリットと考えているという話は非常に参考になるとともに、勇気づけられます。

あまり中長期的なキャリアを考え込むよりも、自分の軸は持ちながら、今できることをしっかりやって成果をあげ、その努力の中で出会う人とかをきっかけに次のキャリアを考えるような方法の方が、人生楽しそうだなと思いました。

2008年5月12日月曜日

自作レシピとセルフカウンセリング

今日はお台場のビッグサイトでアパレルメーカの社販がありました。仕事の関係で入場券をもらったので行ってみました。これまで社販というのは行ったことがなかったので興味があったのですが、敷地が広すぎるのと、人混みがすごいのとで落ち着いて見て回れず、「これなら定価でいいから、お店でゆっくり買いたいな・・・」と思ってしまい早々に出てきてしまいました。

帰りに食材を買い、夜は久々に自炊しました。ピーマンと納豆をオリーブオイルで炒め、細いパスタにあえるという酷い思いつき料理ですが、なかなかおいしかった。食事しながらさらっと本を読みました。

金井壽宏 ”会社と個人を元気にするキャリア・カウンセリング”

経営学であるキャリア論の話と、心理学、特に臨床でカウンセラーをしている方のお話をまとめたもので興味を持ったのですが、それほど目新しい話はありませんでした。ちょっといいなと思った言葉は、「修破離(しゅわり)」という言葉です。意味は、「型から入り、真似をし、工夫して自分らしさを出し、最終的には型から離れる」ということです。私はスポーツでも、研究でも、仕事でも、まずは型から入るタイプなので、とても共感できる表現です。

「修破離」をもう少しかみ砕いて、以下のような提言しています。
①自分を貫くことにこだわれ
日本の会社ではつい自分を会社にあわせがち。もう少し言いたいことを言ったほうがよい。議論することが大事だ。

②仕事・愛・遊びを心にもて
フロイトは精神の健康に、「仕事」と「愛」が必要だと説いたそう。これに「遊び」(ブレーキの遊びという意味と、遊牧する、つまり自由に動けるという意味も含まれている)を加えてよい。日本人はあまりにまじめで、型にはまることは上手だが、それを破るのは苦手なので、強制的にでも遊びを重視すべきだ。

③フォロー・ユア・ハート
自分の心の声に従い、志高いレベルで、わがままになれ。

3つ挙げていますが言いたいことは同じで、「そんなに会社に自分をあわせることばかりに苦しまないで、わがままになりなさい」ということです。このほかにも、実際のキャリア・カウンセリングでの応答をカウンセラーが克明に例示していたりして、参考になります。カウンセラーの主張も、「自分の器以上のことはできない。自分の意志決定や行動、自分のいる環境、また自分に降りかかる災難も含めて、実は全てが自分にとってちょうどいいようにできている」という発想が根本にあります。確かに、こう考えると気が楽になります。

ネガティブな意味でのストレスだけでなく、将来のキャリアをどう描こうかと迷っているときのポジティブなストレスも、うまくコントロールしていないと、精神的な健康を維持するのは難しいなとあらためて気づかされました。

2008年5月11日日曜日

久々に大前研一を読む

最近休みの日にしか投稿しなくなってしまっていますが、今後は気持ちを入れ替えてちゃんと更新します。今日はグロービスで朝から研修受けて、出席メンバーと昼から飲みながら盛り上がり、そのまま英会話学校に行ってどんなサービスがあるのか、説明を聞いてパンフレットをもらってきました。そろそろやろうかな、英会話。

で、今日の本題は以前読んだ本へのコメントのとりまとめ。この本は借り物で、明日返さないといけないし。

大前研一 ”心理経済学”

大前さんの意見はいつも刺激的で、時に冗談なのか本気なのかわからないことすらありますが、問題提起に対して必ず解決策を提案するところは、さすがコンサルタントだなと感じます。誰にでもわかりやすくて、おもしろい。

今回の話は要するに、「日本人はいざというときのために貯蓄しているが、いざ、なんて死ぬまで来ない。お金は貯めないで使いなさい。日本の個人資産は1500兆円もあり、それが市場に流れ出れば日本の世界的な影響力は一気に高まる。」ということだと思います。本の中で記憶に残った部分をメモっておきます。

・日本人に対する警告について、おもしろかった意見
①国債を発行し続け(日本人にのみ買わせ続けて)、マネーサプライを増やし続けているにもかかわらず物価が上がらないのは、国民の心理が冷え切っているから。ただし、日本人の集団心理として、ひとたびインフレとなればハイパーインフレとなる可能性がある。インフレに歯止めがかからず円預金は急激に外貨に流れたりするかもしれない。日本はそういう危ない状況にある。

②「第3回AXAリタイアメントスコープ(2007年1月)」のアンケートによると、「誰に貯蓄を残しますか?」という問いに対し、日本以外の国では「使い切る」と「相続人に引き継ぐ」を合計して70~80%となっており、使途を決めているが、日本では「未定」が70%を超える。お金の使い道が狭い高齢者層に金融資産が偏在し、さらに遺言も生前贈与もしないため、その資産が消費にまわらないことが、日本の景気が回復しない一因だ。

③(大前さんが以前日本法人代表をされていた)マッキンゼーでは、世界で最も優れた運用アドバイザーがいて、幹部向けに資産マネジメントのアドバイスをしてくれるサービスがある。これからの収入格差は、仕事から得る収入以上に、運用によって生じると考えるべき。

④内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較」第5、6回調査によると、日本人は現在の経済的充足度において、「困っていない」と回答する人が85%と他国と比較して圧倒的に高い。一方で、将来の資産の充足度について「足りない」と答える人が53%と、こちらも圧倒的に高い。つまり「過度な将来不安」が、日本の個人消費が冷え込む原因の一つに挙げられる。

⑤世界で最も裕福な日本人が、老後をアクティブにエンジョイしていないように見えるのは、そういう行動パターンが頭に入っていないことも一因だが、友達がいないことも挙げられる。だから、一人でお金を使わない趣味を楽しんで過ごし、景気が上向かない。

・おもしろいと思った提案
①生前贈与した人、年金を辞退した人に特典をつける。例えば課税控除、フラットタックス(所得税に累進制を適用せず、比較的低めの比率にすること)、医療費クーポンなど。

②アクティブシニアのコミュニティをつくる。米国にある「ラグナ・ニゲル」という街は一大リタイアメント・タウンであり、この街から学べることがたくさんある。55歳以上のみ入居でき、要介護になったら退去しなければならない。子供の訪問は許されるが、同居は許されない。入り口に鍵がかかる門があり、住人以外は入れない。敷地内に270ものクラブがある。などなど。高齢者が遊ぶ街なので消費は活発、レジャー施設や店舗が多数オープンするので雇用が生まれ、若者も集まる。欧米ではこういう街がたくさんある。

③世界首都東京としての都市計画を打ち立てる。その資金として「購入すれば住民税を免除する免税債」を発行する。

④リバースモーゲージを導入する。そのために、住宅を一般的な金融商品とするべく、基本的な間取りが汎用的な設計にする。

⑤日本国民の個人資産は1500兆円あり、10兆円規模のファンドなら150本できる。カルパースで25兆円、GICで38兆円など、運用資金で10兆円を超える規模のファンドは世界でも大きな影響力を持てるが、日本ならそれを数十本作れるポテンシャルがある。世界で最も優秀なファンドマネージャの個人名がついた、あくまで政治色の無い、10兆円規模の「シグニチャー・ファンド」をつくる。

⑥日本人は総じて保守的だが、ひとたび変わる方向に向かえば一気に進むという特徴がある。一人の企業家が、日本を変える。HISで航空料金の価格破壊を起こした澤田秀雄氏、インターネット料金を世界で最安水準にした孫正義氏など、一人の天才が世界を変える時代である。松下幸之助氏、川上源一氏(ヤマハ)など、日本の革命は歴史的に見ても、一人の民間人が行ってきた。

⑦新しい時代を生きていく上での個人としてのライフプランとしては、英語力、合意形成をしていける力、リーダーシップを身につけ、30代後半までに世界のどこか、できれば複数の国で5年以上の経験を積むことが必要。時間と資金を投資する感覚を持つこと。40代、50代になったら資産運用を勉強すること。

・その他おもしろかった意見
①「ITは生産性向上に寄与した。それはITが価値の源泉だからだ」という論理は誤解。「付加価値の創造主体としてのIT」は一過性の現象であり、いわゆる先行者利益。「生産性にITが寄与する」という理論すら、日本では事情が異なる。というのも日本は米国と産業構造が異なり、低生産性産業=規制産業であり、規制の理由は雇用の保護であり、失業者対策無しに規制を緩和することはできないからだ。

②ターミナルの集約化を進めるべき。港湾の集約化をしないと中国やシンガポールにハブ港を奪われ続ける。空港についても、羽田と成田の不毛な戦いをやめて、羽田に集約して羽田をピカピカに磨き、アジアのハブの地位を目指すべき。

③中国と台湾は、経済面において相互依存関係をますます強めている。中台関係ほどではないにしても、日中関係も完全に相互依存関係となっている。よって、中国による台湾や日本への攻撃はない。中国政府が最もおそれているのは反映から取り残された農民の蜂起であり、軍隊はその平定のために存在する。そして、米国は日本よりも中国との関係を重視するようになってきている。

問題提起、提案がエネルギッシュで、読んでいて元気が出てきました。大前さんのご意見は刺激的なだけに、好き嫌いがはっきりしそうですが、私は結構好きだなと思いました。

2008年5月4日日曜日

皇居でジョギング

今日ははじめて皇居の周りをジョギングしました。いつかはやってみたいと思っていたことのひとつです。

皇居は1周5キロ強で、のんびり走れば大したことないかなと思っていたのですが、運動不足がたたってかなり疲れました。

走ってみてわかるのは、皇居周辺は景観が美しく、また信号が無く、歩道が整備されているわりに自転車があまり走っていないので、ジョギングするのに最適だということです。みんなが走る理由がわかります。ゴールデンウィークだというのに、今日もかなりのランナーがいました。

なんとか休憩せずに1周走りきれたのでちょっと達成感ありました。明日は筋肉痛になりそうだな・・・。

2008年4月30日水曜日

東山魁夷は大人気

今日は竹橋にある、近代美術館に行ってきました。東山魁夷展です。100を超える作品があり、かなりのボリュームです。一つ一つの作品が重厚なので、後半になると息切れしてしまうほどです。

私は、東山氏は頭の中で描いた構図を幻想的に描いているのだと思っていました。ですが、彼はいろいろな場所を旅し、ピンときた風景を見つけたら、そこに腰を落ち着けてデッサンを描く、要するに風景画家だそうです。はじめて知りました。

とはいえ、彼の作品は風景のデッサンから、構図の見直し、単純化、それから作品づくりに取りかかるというプロセスを踏んでいるようです。今回の展示ではそのプロセスの一端をかいま見えますが、まず風景を写実し、一部を省略したり構図を変更したりして、下書きをつくり、それからあの淡いタッチで色を付けて仕上げていきます。その最終作品はただの風景画だとは感じられません。作者の意志を主張しているように感じます。

今回の展示では東山氏本人による音声ガイドを利用することができます。私はそういうサービスはいつも利用しないので、今回も利用しませんでしたが、今日は作品の解説が欲しいなと感じました。音声ガイド(有料、500円)を利用して損はないと思います。

膨大な作品群を見ていると、やっぱりいいなぁと思ってしまいます。多くの人に人気がある理由がわかります。まず彼の作品は、やっぱり色彩がよいです。特に緑、赤、白の色合いに惹きつけられます。そして、シンプルな構図に圧倒されます。加えて、光の加減や塗料の質感など、シンプルで抽象的な絵の中に、リアリティもしっかり織り込まれていて、やっぱりデザイン画や抽象画ではない、風景画、日本画なんだという納得感があります。

近代美術館や皇居周辺は、ゴールデンウィークということもあり、非常に盛況でした。私はカレンダー通り、明日からも仕事ですが・・・。5/4からの4連休は休めそうですが、近場でのんびりすることになりそうです。

2008年4月28日月曜日

京都探索

この土日は出張で京都に行っていました。時間に余裕があったので、ホテル(ウェスティン都ホテル)の近くの南禅寺を訪れてみました。

わびさびの趣ある、おちついた雰囲気のお寺で癒されます。お堂の通路はウグイス張りになっていて、歩くときしむような音がします。昔歴史の授業で習ったな・・・なんて思い出しました。清涼な気分になりました。

そこから祇園まで地下鉄で移動しました。和装の女性が歩いていたりしておもしろかったです。京都らしいお土産屋さんが並ぶ一方で、風俗店も多く、祇園というのはそういう街なのだろうなと思いました。

古都京都らしい雰囲気を味わった後、四条大橋を渡ると今度は市街地で、鴨川を挟んだ新旧のコントラストがおもしろかったです。タクシーの運転手が、このあたりが京都の真ん中だと言っていました。夏は鴨川に足場を張り出して、オープンエアで飲むそうです。いいなぁ・・・。

八坂神社とか、銀閣寺とか行ってみたかったけど、今回は出張で一泊しただけなのでそんなに時間がありませんでした。またゆっくり来たいですね。

2008年4月21日月曜日

鉄道博物館と電子マネー

所用でうちの近くに来た友人に呼び出され、食事をしました。月島でもんじゃを食べた後、どこに行こうかと考えたところ、友人の思いつきで、埼玉の大宮にある「鉄道博物館」に行くことになりました。はじめて聞く名前でしたが、そういう施設があるのです。

行ってみると結構巨大な博物館で、昔の車両や、電車が動くメカニズムを学ぶための子供向けコーナー、屋外には縮小版の線路とミニ車両があって、小さな子供が乗れたりするなど、思ったより充実していました。まあ、親子連れや小学生の社会科見学向け博物館です。

おもしろかったのは、入館が改札になっていて、SUICA/ICOCA/PASMOが使えるということ。ただ、SUICAを改札にあてただけでは入館できません。まず、券売機コーナーが別にあって、券売機の読み取り部分にSUICAをあてます。館の入り口に行って、そのSUICAを改札にあてると入館できます。

何でわざわざこんな手順をとらせるのでしょう?電車に乗るときのように、SUICAを改札にあてたときに入館料を引き落とせばいいのに。不思議だなぁと思いながら、券売機にSUICA(私はPASMOですが)をあてると、残金が足りないという表示がでました。1,000円を入れると、OKの表示が出て、PASMOを券売機の読み取り機に再度近づけようとすると、館員の方から「お客さまのSUICAはもう大丈夫です」と言われました。つまり、

①SUICAを読み取り機にあてる
②お金を券売機にいれる
③再度読み取り機にSUICAを近づけてSUICAにお金を入れる

という手順を私はイメージしていたのですが、③の手順がなかったということです。

このハプニングから、「SUICAのカード自体に登録されているのはどういう情報なのか」と考えてしまいました。少なくともこの博物館の入館時の改札では、SUICAカードから残金情報を読み取ってはいません。なぜなら、上記の手順③を行っていないと言うことは、1,000円が入金されたことをカード自体は知らないはずだからです。

たぶん、こういうメカニズムになっているのではないでしょうか。

①SUICAを券売機に読み取らせる
②券売機はSUICAからユーザIDを読み取る
③券売機はSUICAの残金を確認する
③券売機は入館料を引き落とす
④券売機はそのユーザIDの入館許可をネットワーク上の入館管理システムに出す
⑤入館管理システムはそのIDの入館を承認する
⑥改札にSUICAをあてると改札がSUICAのIDを読み取る
⑦読み取ったSUICAのIDをネットワーク経由で入館管理システムに確認する
⑧入館管理システムはそのIDが入館承認されている旨を改札に伝える
⑨改札が開く

こういう手順なら、改札通過時にSUICAカードの残金情報は必要とされません。改札通過の可否は、ユーザIDが入館管理システムで承認されているかどうかだけで決まります。

最初の疑問に答えると、この博物館への入館は、券売機にSUICAをあてた時点で決済されているのです。入館管理システムで、そのSUICAのユーザIDが承認状態にされるだけなのです。そうしている理由はおそらく、通常SUICAが駅で使用される手続きと、博物館への入館手続きを、システム上関係ない形にしたいのだと思います。だから、券売機にSUICAを読み込ませた後、入館をしなかったり、入館した後出口からでなくても、駅に行って問題なく電車に乗ることができるのだろうと思います。

もう一つ気になったのは、上記の「③券売機はSUICAの残金を確認する」という点です。SUICAの残金をどこで確認するのか。2つの可能性が考えられます。1つは「SUICAカードの中に金額情報が入っていて、それを読み取り機が読み取っている」。もう1つは「SUICAカードの中にはユーザIDしか入っていなくて、ネットワークの向こうにある管理システムで、そのユーザIDの残金が参照されている」。どちらの可能性もあり得ますが、私は後者だと思っています。その方が情報を安全に、効率的に管理できるからです。Googleやシンクライアントと同じ発想です。

ここまで考えると、Edyなどの電子マネーも同じなんだろうなと思います。使用者が持つカードには金額情報は入ってないんです。きっと。入っていても、本質的には不要な情報だということです。

とはいえこれは驚くべきことです。Edyは読み取りから決済まで、2秒くらいはかかりますが、電車や地下鉄の改札での決済は一瞬です。結構複雑な処理だと思いますが、これだけリアルタイム処理できるというのは、コンピュータの高機能化とネットワークの高速化によるものだと思いますが、それでも驚きです。

研修メンバーと昼からビール

忙しくてなかなかブログを更新できませんでしたので、まとめて更新します。まず土曜の話。

昨日はグロービスの授業に行ってきました。前回とは違う初対面のメンバーとでしたが、すごく盛り上がりました。私もたくさん発言できました。前日は仕事とオフィス内引っ越しとグロービスの宿題でほぼ徹夜だったので、頭が働かないと覚悟していたのですが、議論が盛り上がるうちに活性化してきました。

授業の後、講師と出席メンバーとインド料理の店で昼から飲みました。いろんな会社の方と話ができておもしろかったです。みなさんフレンドリーで、仲良くなったので次回からの授業がもっと楽しみになりました。勉強会とかもやるらしいので、余力があれば参加してみようと思います。今週はちょっと仕事が大変で、疲労困ぱいだったので、授業は欠席して土曜休もうかとも思いましたが、行ってよかったです。

2008年4月15日火曜日

我が家のプランツ

部屋に置いてある植物(ミリオンバンブーとハートプランツ)の葉が黄色くなってしまいました。もしかして枯れてしまうのでしょうか。かなりショックです。

原因を調べたところ、どうやら「寒さ」だったようです。水や栄養はそれほど必要としない植物だそう。部屋の中で育てているのですが、それでもうちの部屋は寒いし、ほとんど不在にしていて暖まる機会も少ないから・・・本当にかわいそうです。花瓶ではなく、植木鉢に植え替えるとかして、暖かくしてやらないと本当に枯れてしまいます。

とりあえず、花瓶をタオルでぐるぐる巻きにして、絨毯が敷かれたところに起き、段ボールで囲いました。多少は保温になるでしょうか。やっぱり植え替えしかないかな・・・

2008年4月14日月曜日

ソファとデスクが到着

ソファとデスクが届きました。モスグリーンのキャンバス地のソファと、奥行きの狭い木目地のパソコンデスクです。どちらもいい感じですが、もう少し大きなサイズを選べばよかったかなとも思いました。広い部屋じゃないし、まあいいか。

ようやく部屋が部屋らしくなってきました。あとはローテーブルがそろえば部屋の完成です。ただ、最近買い物やら、旅行やらでずいぶんお金を使ってしまったので、しばらくは買えません。

届いたデスクで、早速来週のグロービスの予習をはじめました。ですが、どこから手をつけていいのかわからない・・・教材にヒントがなさ過ぎるんですよね。ケースがぽんと紹介されていて、「あなたがこのケースの意志決定者なら、どういう判断をとりますか?」を予習で考えてくることになっています。難しい。とはいえ難しくないと、学習にならないのだからしょうがないですね。試行錯誤の末、多少糸口がつかめてきましたが、明日に向けて寝なければ。

デスクが来たことで、久々に部屋で勉強らしきことをしたのはよい刺激になりました。大学生になって以降は、自宅で勉強なんて全くしなくなりましたが、私はもともと、デスクに向かってノートを開いて勉強するのが好きなタイプです。これからは勉強することを習慣にしようと思います。

2008年4月13日日曜日

グロービスで授業

今日はグロービス・マネジメントスクールの授業一日目に行ってきました。おもしろくて大変勉強になりました。

授業では、教室に受講者が20人程度がグループ形式で着席し、1回3時間の授業を行います。授業は、オリエンテーション、ケースの説明、グループディスカッション、ケースの解説、という流れです。

何と言ってもケースの内容と講師のレベルは素晴らしく、3時間はあっという間でした。ケースはシンプルだけど目からうろこの発見がいくつもあり、勉強になります。また、講師はおもしろくて情熱的でわかりやすく、好感が持てました。

あえて難点を言えば、グループディスカッションがいまいちでした。受講者の専門知識にばらつきがあって、実務者もいれば学生みたいな人もいる。また、予習をしっかりやっている人とやっていない人がいて、議論にならなかったり。そういう受講者のレベル感のばらつきに対して、いきなり「じゃあグループになってちょっとディスカッションしてみて」とするのは、ちょっと乱暴かなと感じました。とはいえ、グループディスカッションの設計はなかなか難しいのは理解できるんですけどね。

ケースの熟成度と講師の能力レベルを考えると、グループディスカッションはなしで、3時間講義のほうが正直言ってありがたい。だけど、講師もさすがに3時間通しで講義やるのは疲れますし、グループディスカッションの時間は講師のリフレッシュや、講師が場を読んで講義の方向性を見直すことにあてる、必要な時間なのかもしれません。ただ、その点を割り引いても十分満足できる内容だと思います。

さて、授業の内容についてですが、私もそれなりに予習をし、ケースに対して仮説を立てて挑んだのですが、全く的はずれ、大ハズレでした。本当にがっかりしました。だけど、間違えた方が学習も大きいんですよね。次回はもっと自信を持てる仮説をつくりたいと思います。

2008年4月12日土曜日

人事部を廃止した積水化学

積水化学の人材マネジメントを紹介する記事をネットで読みました。かなり刺激的ですが、人事部を廃止して、CSR部の中に人材グループとして移したそうです。

要するに、「社員の能力や適正で評価をしたり配置をしたりする機能は会社にはいらない。それは社員の可能性を狭める。重要なのは能力や適正ではなく、本人の意志だ」という思想でマネジメントが行われています。

具体的には、
・本人が手を挙げなければ昇進や異動はできない。
・人事部ではなく直属の上司や先輩がコーチとなる。
・取締役は着任したら2年間塾を開く(変革塾)。そして、自分のやりたいことをイントラネットで述べ、仲間を募って議論する。
・ビジネスリーダー向けの経営学の研修(際塾)を実施している。
・新規事業を作り出す人材として、必ずしも「評価が優秀な」社員ではなく、「とんがった」社員を集め、専任で検討させる(志塾)。

こういうことを規模の大きな、歴史ある会社でやるというのはすごいですね。チャレンジングな取り組みだと思います。が、リスクも大きいでしょう。

こういう人材マネジメントにはついていけない社員も少なからずいます。社員がついてくれば活気あふれる会社になるでしょうし、社員が新制度にアレルギー反応を示せば、組織の崩壊を招きます。しばらくウォッチし続けたい会社ですね。

2008年4月11日金曜日

ちゃんと食事をする日々

今日は他部署の方と3人でランチをしました。違う組織で違う仕事をしている先輩と話すのはとても楽しかったです。私の知らない業界の話や、違う組織での仕事の進め方などをうかがって刺激を受けました。

また、夜は異動後の新しい組織での歓送迎会でした。新しい組織は大人が多くこじんまりとした組織なので、こういう会が居酒屋ではなく、ちゃんとしたお店なのはいいことですね。シャンパンや白ワインを飲んだのは久しぶりでした。

ちょっと前までは、食事はほとんどコンビニで買ってきてパソコン画面を見ながら食べる日々が続いていましたが、最近は外に食べに行くようになりました。仕事が楽になったわけでは全くないんですけど・・・就職してしばらく経ちますが、会社の周りのレストランとか未だに全然知りません。もう少し開拓しないと。

2008年4月10日木曜日

株主に報いる企業

株価の乱高下はが続き、まだまだ不安定な環境ですね。こんな記事がありました。

日経ビジネス 2008年3月17日号
”株主に報いる会社”

ROE上昇率の高い企業の秘密を探る特集です。その根拠について、3つの方法にが説明されていました。

①利益率の向上
生産ライン構築大手のダイフクでは、原価管理の徹底によって利益率を高めました。受注産業の利益率は原価管理が肝です。

②総資産回転率の向上
(売上高)/(総資産)で定義される総資産回転率は、小さな資産でいかに大きく稼げているかを示す指標です。 ホンダ向け自動車部品メーカのエフテックでは、12年だった設備の償却年数を縮め、完成車のモデルチェンジと同じ5年としました。負担増で一時は赤字寸前まで落ち込んだそうですが、実態にあった減価償却がエフテックの総資産回転率を高めたそうです。

③財務レバレッジの拡大
(総資本)/(株主資本)で定義される財務レバレッジは、簡単に言えば「どれだけ借金できているか」です。一見無借金経営の方が望ましいようにも思えますが、この低金利の時代では、過剰資本がROEの低下を招くよりも、負債を有効活用するという判断もとりうるということです。

ROEに着目し、その根拠を財務指標で検証してきましたが、利益をいかに膨らませるかと言う意味では、根本的なことですが「商品価格の設定」という問題があります。価格決定方法についても勉強しなきゃと思いました。

2008年4月8日火曜日

NTTデータの貢献主義

ちらっと読んだ新聞記事に、NTTデータでの企業風土変革の取り組みについて書かれていました。「担当領域を超えて協力してくれた方に、感謝の意をこめて”Thank youポイント”を送りあい、累積ポイントの高い社員を会社が表彰する」という「Thank you表彰制度」です。

2006年に開設された社内SNS「Nexti」での質問への回答に、ポイントのインセンティブをつけようとしたことから始まったようです。「教えて!goo」とかの「良回答10pt」と同じ発想ですね。

これを制度化した背景には、NTTデータ山下社長の標榜する「貢献主義」の考え方があります。NTTグループ特有の、官僚的、縦割り的な風土から抜け出したい、自分だけでなく他の社員に、また会社全体に貢献する企業文化を根付かせたいという真摯な思いは素晴らしいと思います。山下社長はあの手この手で企業文化を変えようと努力されているようです。

2008年4月7日月曜日

キャリアの節目

最近キャリアについてよく考えます。以前読んだキャリアの本を再度読み返したところ、発見が多くて驚きました。 

金井壽宏
”働く人のためのキャリア・デザイン”

「キャリアの節目」で立ち止まり、しっかりデザインすることが重要だという内容です。キャリアの節目では「トランジション」というという心理的危機が発生しており、臨床心理学者のウィリアム・ブリッジズ氏はこれを以下のようにモデル化しました。

①「終焉」 何かが終わる時期
②「中立圏」 混乱や苦悩の日々
③「開始」 新しい始まりの時期

サーカスの空中ブランコで、前のブランコを手放し、新しいブランコに手が届いていない状態を、「中立圏」と定義しているところが慧眼ですね。

トランジションのプロセスは、ネガティブな変化(例えば失恋して、自己を振り返り、立ち直って強くなる、など)に伴って発生するだけでなく、自分自身が変化を望んでいるときでさえ生じる(例えば、結婚や子供の誕生、昇進、待望の海外転勤など)とのことです。このときに大事なことは、トランジションが「終焉」から始まることを認識することです。終焉をくぐらなかった場合に限って、過ぎてしまった過去を振り返ってしまうのだそうです。

ロンドン・ビジネス・スクールのナイジェル・ニコルソン氏は、

①新しい世界に入る準備をする
②実際にその世界に入り、新たなことに遭遇する
③新しい世界に順応していく
④慣れて、安定化する

というサイクルでモデル化しています。私はブリッジズのモデルの方が好きかな。

このようなキャリア・トランジション論に基づいて、キャリアの節目だけは見逃さず、ちゃんとデザインしよう。そして、それ以外のときはキャリアのことばかり考えて頭を抱えていないで、ドリフト、つまり流れに身を任せようというのがこの本の主旨です。そして、キャリアをデザインできたら、夢を描けたら、信じて行動することが大事。信じて行動すると成果が出て、自分の方針をもっと信じることができる。行動力や無力感は学習され、循環されるということです。

著者は最後に、自信の自身のトランジション・モデルを提唱しています。

①キャリアに方向感覚を持つ
②節目だけはキャリア・デザインする
③アクションをとる
④ドリフトも偶然も楽しみながら取り込む

「じゃあどうすれば自分が今節目にあるということを自覚できるのか?」という問に対しては、「節目かなと思ったら、まずその可能性があると思って立ち止まってみるのがよい」とのこと。

節目を捉え、よいキャリアを描いていくのが目的ですが、その「よいキャリア」について、著者は多数の定義を紹介しています。私が一番気に入った定義は、「物語の多いキャリア」です。著者はこう言っています。

「千夜一夜物語ではないが、自分が意味のある話をすれば、さらに一日命乞いができるとしたとき、あなたは、作り話ではなく自分のキャリアを語ることによって、何日生き延びることができるか。」

そういうキャリアを歩むため、キャリアの節目をしっかりと認識して、次の一歩デザインし、それができたら自分の判断を信じて行動を起こしたいと思います。

今週は土日フルタイム出勤でした。今はゆっくりと将来について考えるべき、節目の時期だと自覚しているのですが、そういうときに限って忙しかったりするのです。

2008年4月4日金曜日

情報収集のノウハウ本は短寿命

情報のインプットのスピードアップを図るべく読んでみました。

立花隆
”知のソフトウェア”

情報の収集、整理、出力のやり方を紹介しています。ただ、1984年の本なので、手法がかなり古い。インターネット、コンピュータをほとんど想定していない時代の手法なので今あらためて読む必要はない本かも。とはいえ、勉強になったことをメモしておきます。

読書法
・目的先行で読む。
・読むという意識を完全に捨てて印刷紙面を見れば、つい目が拾って読んでしまう活字があるので、それに逆らわずその周辺を精読する。
・専門外の専門書を読む場合は、入門書を続けて何冊か読む。
・初読時はノートはとらず、ページを折ったりラインを書き込んだりすればよい。

インタビュー法
・聞くべきことをわかっておく。
・知りたいという欲求を激しく持ち、問うべきことがわき上がるのを待つ。
・話の進行過程で思いついた新しい質問はノートの隅にメモしておく。
・想像力を働かせ、5W1Hを掘り下げてディテールを聞き出す。
・頭の中で映像を描く。

アウトプット法
・アウトプット方法は技術論に期待すべきではない。
・頭の中で勝手に発酵し、人に伝えるべき何事かが生まれるのを待つしかない。
・よいアウトプットができるようになるにはよいアウトプットを大量にインプットするしかない。
・アウトラインをつくった上でアウトプットをつくるのもよいが、対象に本当にのめりこんでいれば、「ユーレカ(アルキメデスが風呂場で浮力の原理を閃いたときの言葉)」の瞬間がくるので、フリーハンドでアウトプットを描ける。
・フリーハンドで処理できるほどインプットがシンプルでない場合には、「年表」か「チャート」に整理するとよい。

こんなところかな・・・この本を読んでいると、我々はつくづくITの力に助けられていると感じます。

2008年4月3日木曜日

ビジネススクールを味見

グロービス・マネジメントスクールというところで、全6回の短期講座を受講することにしました。そして、今日はグロービスのオリエンテーションに行ってきました。

普通の研修みたいなものを予想していたのですが、お話を伺っていると相当大変そうです。ケースを使ってばりばりディスカッションとかやるらしく、ハーバード・ビジネススクールを目指しているのかなと思いました。日本で仕事をしながらMBA的な体験ができて、ありがたいのですが、いきなりケースワークをどんどんやっていくというスタイルについて行けるかなと若干不安です。かなり予習しないといけないみたいです。そもそも苦手なテーマだからお金を払ってスクールに行こうとしているわけですから、どう予習すればよいのかも、ピンときません。でもまあがんばるしかないかな。

講師のレベルや受講者の意欲は高そうで、また受講者同士の勉強会やメーリングリストを積極的に勧めていて、人的ネットワーク作りに熱心だなと思いました。これはグロービスの世界にはまってしまう人もたくさんいるだろうなぁと思わせる仕掛けを施しています。研修機関、みたいなところではなくて、ちゃんとビジネススクールっぽくて、予想していたよりすばらしいところだなと思います。1回目の講座が楽しみになってきました。その前に、予習をやらないと。

あと、全然関係ないですが、最近うちの近くに小さな中華料理屋さんがオープンしました。テーブル3つくらいの小さな小さな店で、東北訛り?のとても人の良い老夫婦が切り盛りしています。定年退職して「退職金で、夢だった料理屋を」という感じではじめたのかな、とか思いながら野菜炒めをかじっていました。老夫婦の醸し出す雰囲気なのか、なんかいい感じでした。しばらく通って経営が安定するのを見守りたいと思います。

2008年4月2日水曜日

新しい門出にサイン本

4月1日、異動が発令され、新組織での仕事が早速はじまりました。まあ、異動前の仕事もまだ多少引っ張っていますが。何とかこなしています。早く最低限の仕事を覚えて、自分のやりたいことに着手したいですね。

異動前からのあるプロジェクトについては、4月中に後任者に引き継ぎ、私はメンバーからぬけることになりました。今夜はそのプロジェクトのオーナーとリーダーが、送別会を行ってくれました。門前仲町のこじんまりとした飲み屋でしたが、新鮮な素材をシンプルに調理していて大変おいしく、刺身や焼きタケノコに舌つづみを打ちました。話もとても盛り上がりました。

プロジェクトメンバーのひとりが最近本を出版したそうで、おみやげに一冊プレゼントしてくれました。目の前で著者自らサインしてくれました。サイン本なんてもらったのははじめてです。私のことを見ながら、「前途洋々」の言葉をサインに加えてくれました。私の新年度が、「前途洋々」であることを期待したいと思います。

2008年4月1日火曜日

新年度を迎えるにあたり

今日は年度末。明日から違う会社で働く同期を囲んで飲みました。久々に同期で飲みましたが、みんな仕事について、しっかり「語れる」ようになっていて、「みんないい仕事をしているな、仕事を通じて成長をしているな」と思いました。仕事についての価値観は様々ですが、価値観が様々であることが明確にわかるほど、それぞれが自分の仕事に、自分の成長に、そして今の自分の能力に自信を持っているのを感じました。

同期の送別の場ということを忘れて、例えば「会社は株主のものか、ステークホルダーのものか」「ファンドと事業会社の企業買収のメリット・デメリット」「我々の仕事のどこに価値があるのか」など真面目なテーマに議論を戦わせる場面もありました。

みんなそれぞれによって立つ経験があって、そこから主張する意見があって、しっかり考えているなぁと感心するとともに、同じ仕事をしている同期のみんなに比べて、私はまだまだ勉強が足りないなと深く反省しました。いや、必要なのは勉強ではないかもしれません。知識ではみんなが私より詳しいことも、私がみんなより詳しいこともありますが、仕事に対する哲学のようなものが、自分の中でまだ強固に確立されていないのかもと思います。キャリアビジョンの具体性が低いのかもしれません。

みんなからよい影響を受けつつ、それでも私は私で自分のビジョンを明確にして、今の仕事をそのビジョンの中に位置づけ、積極的に行動を起こそうと気持ちを新たにしました。新しい年度をむかえて、自己を内省するよいきっかけとなりました。

2008年3月31日月曜日

没落する日本

雑誌では日本経済の危機を示す記事ばかりです。

エコノミスト 2008年2月26日号
”没落する日本”

日本の経済がいかに没落しているかを定性的、定量的に示し、それから日本は没落などしないという記事が続きます。

おもしろかった内容としては、榊原英資早稲田大学教授のインタビューで出てきた「基礎的自治体」の話。市町村合併を繰り返し、人口30万人の自治体を300くらいつくり、分権を行うという方法です。厚生労働省、文部科学省などを国の機能から外し、政府は外交、防衛、財政に専念し、教育も完全に自由化して地方で競争すれば、次世代のリーダーが出てくるだろうとのこと。なるほど。

また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)の「国際競争力ランキング」、同じくスイスの世界経済フォーラム(WEF)の「世界競争力報告書」で、日本の国際競争力の低迷が示されているのですが、これらのランキングは「現在の国力」を評価するというよりは、経済状況、技術、法制度、治安、労働市場など、簡単に言えば「企業の活動しやすさ」を評価しているというのもおもしろいですね。つまり現在の競争力ではなく、将来の競争力を評価しているというわけです。

このように、日本経済の没落をテーマにしながらも、やはり政策論の問題に帰結してしまうのではないかと感じます。企業の努力も引き続き必要なことはもちろんですが、日本経済復活のための本当の鍵は、やはり政治の世界にあるように思えます。

話はかわりますが、この記事の日本の没落を示すデータ集の中で、「世界の億万長者番付から日本人はいなくなった」ということを示すべく、億万長者ランキングが掲載されていました。1位:ビル・ゲイツ氏、2位:ウォーレン・バフェット氏は有名として、

3位:カルロス・スリム(テレフォノス・デ・メヒコ、メキシコ)
4位:イングヴァー・カンブラッド(イケア、スウェーデン)
5位:ラクシュミ・ミタル(ミタル・スチール、インド)
7位:ベルナール・アルノー(LVMH、フランス)
8位:アマンシオ・オルテガ(ザラ、スペイン)
9位:リ・カシン(長江集団、中国)
10位:デヴィット・トムソン(トムソン、カナダ)

・・・と、非アメリカ人ばかり(6位はアメリカの方)。国籍も業界もバラバラ。このランキングはちょっとおもしろいですね。必ずしも先進国企業の経営者でもないし、B to BもB to Cもあります。いったい何が起きているのでしょう。