2008年6月29日日曜日

モダンアートの歴史に触れる

今週火曜は休日出勤した分の振替休日でした。突然休日になったので予定もなく、六本木の森美術館に行ってみました。

森美術館では、いま「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」というイベントをやっています。ターナー賞というのは、英国人、40歳以下のアーティストのみを対象としたモダンアートの賞です。日本ではあまり耳にしませんが、世界的には有名かつ権威ある賞で、本国では毎年の盛大なイベントとして認知されているようです。

ロンドンは、昨年旅行に行ったときもモダンアート好きな街だなと思いました。アートカレッジもたくさんあるし、テートなど世界有数の美術館がすべて無料で、美大生だけでなく普通の人が普通にアートを楽しんでいます。アーティストが育つには絶好の場所です。

だけど、英国からは偉大なアーティストがあまり出ておらず、「英国人はアートを目利きし、蒐集する能力は高いけど、自分で生み出す能力は・・・」なんて言われているようです。最近はそうでもないのかな。

いくつかの作品に刺激は受けたのですが、私はいまいちピンとこなかった。ターナー賞作品は奇抜なものが多く、それは良いのですが、パフォーマンス・アートのような作品は私はあまり好きではないです。特に美術館では動画でしか見られない、その再現性のない作品からは、時間を超えて存在し続ける感覚を私が抱けないからだと思います。こういう賞味期限の短そうな作品が多いように感じました。極めて主観的かつ感覚的な意見ですが。

そんな中でもいいなと思ったのは、ライトが点滅を繰り返す部屋です。部屋には何もなくて、ただライトが定期的に点滅している、その空間がアートであるという作品。これのどこがアート?という感じもしますが、こういうの結構好きだな。私の後からきた海外からの観光客の方が、この部屋に入った瞬間ニヤっとしていましたが、普通の人にそういうリアクションをさせるモダンアートは基本良い作品なんです。音声ガイドを聞くとこの作品の良さがもっとしっくりきます。

音声ガイドといえば、今回のこの展示では音声ガイドが無料で借りられます。ブルームバーグがスポンサーしているそうです。素晴らしい。入館料が1,500円と高いのですが、500円分は音声ガイドだと思えば普通です。

もっとも、美術館で入館料をとっているようでは、日本から次世代のアーティストが出てこないんじゃないかと危惧してしまいます。常備展を増やしてキュレーションの負荷を下げれば、入館料をもっと安くできるし、本当にこういう作品を見るべきは、必ずしもお金を持っていないアーティストのタマゴたちなのではないかと思います。が、森美術館は民間企業があくまで収益目的で運営しているので、そうもいかないのでしょうね。

森美術館
http://www.mori.art.museum/jp/index.html

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