2008年7月21日月曜日

MBAよりもMFAか

ハーバードビジネスレビュー 2007年4月号
ダニエル・ピンク ”左脳思考と右脳思考を融合させる”

1993年時、マッキンゼー・アンド・カンパニーの新入社員のうち61%がMBAホルダーだったそうです。しかし、それから10年も経たないうちにその割合は43%に低下したとのこと。

入社後の仕事ぶりを見ても、他の学部出身者とMBAで有意な差はない。「左脳型ビジネス・エンジニア」であるMBAよりも、「MFA(master of fine arts:美学修士)」に注目が集まっているらしいです。

ただし、重要なのはMBA思考とMFA思考のコンビネーションで、どちらかひとつだけでは足りないとのこと。

「MBAが会社を滅ぼす」ではないけど、MBA的思考プロセスの人は組織の中に一定割合でよい(逆に言えば一定割合は必要)、というのは賛成です。私もMBAとろうかと思っていたけど、MFAにしようかな・・・というか自分が本当にビジネススクールに留学したいのかということ自体を考え直す、よいきっかけになりました。

これからの時代に必要な「6つの感性」が紹介されていたので、記録しておきます。

①デザイン
モノのあふれた時代においては、実用性だけでなく斬新さや美しさ、フィーリングなどの有意性が必要。実用性と有意性を両方発揮できる能力。ロンドン・ビジネススクールの調査によると、製品デザインの投資が1%増えると、売上、利益は平均3~4%増加するとのこと。

②物語
事実を感情的な要素を含んだ「文脈」に取り入れ、ひとに伝える能力。NASAや世界銀行ではナレッジマネジメントにストーリーテリングを利用していたり、ゼロックスでは語られる物語を「ユーレカ」と呼ばれるデータベースに蓄積しているとのこと。

③全体の調和
全体像を描き、一見無関係なもの同士を結びつける能力。広範な専門性と総合的知力、そして様々な経験が必要。巧みな比喩がつくれることもその能力の発露の一側面である。「システム・シンキング」などの言葉で表現されることもある。

④共感
相手の気持ちを直感的に察したり、相手の立場や状況を自分に置き換えて考えられる能力。IQテストで測られる能力がコンピュータや低賃金労働者に取って代わられる時代の中でも、人間関係の機微を深く理解することが要求される仕事は残る。スタンフォードMBAでも、この類の授業が人気となっている。

⑤遊び心
笑い、快活さ、娯楽、ユーモアなどを発揮する能力。楽しみ、喜びが人間をより生産的にし、個人の能力を最大限に発揮させるということ。Googleや3Mの導入する自由裁量時間も、この遊び心の発揮を狙ったもの。

⑥生きがい
生きがいを追求する能力。働く意義を咀嚼することは、幸福感を感じることにつながり、幸福感は生産性や創造性にも寄与する。自分の最も得意とすることを知り、それを自分以上の何かに生かすことがじゅうようだと、ペンシルバニア大学のマーティン・E・P・セリグマン教授は述べている。

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