2008年4月7日月曜日

キャリアの節目

最近キャリアについてよく考えます。以前読んだキャリアの本を再度読み返したところ、発見が多くて驚きました。 

金井壽宏
”働く人のためのキャリア・デザイン”

「キャリアの節目」で立ち止まり、しっかりデザインすることが重要だという内容です。キャリアの節目では「トランジション」というという心理的危機が発生しており、臨床心理学者のウィリアム・ブリッジズ氏はこれを以下のようにモデル化しました。

①「終焉」 何かが終わる時期
②「中立圏」 混乱や苦悩の日々
③「開始」 新しい始まりの時期

サーカスの空中ブランコで、前のブランコを手放し、新しいブランコに手が届いていない状態を、「中立圏」と定義しているところが慧眼ですね。

トランジションのプロセスは、ネガティブな変化(例えば失恋して、自己を振り返り、立ち直って強くなる、など)に伴って発生するだけでなく、自分自身が変化を望んでいるときでさえ生じる(例えば、結婚や子供の誕生、昇進、待望の海外転勤など)とのことです。このときに大事なことは、トランジションが「終焉」から始まることを認識することです。終焉をくぐらなかった場合に限って、過ぎてしまった過去を振り返ってしまうのだそうです。

ロンドン・ビジネス・スクールのナイジェル・ニコルソン氏は、

①新しい世界に入る準備をする
②実際にその世界に入り、新たなことに遭遇する
③新しい世界に順応していく
④慣れて、安定化する

というサイクルでモデル化しています。私はブリッジズのモデルの方が好きかな。

このようなキャリア・トランジション論に基づいて、キャリアの節目だけは見逃さず、ちゃんとデザインしよう。そして、それ以外のときはキャリアのことばかり考えて頭を抱えていないで、ドリフト、つまり流れに身を任せようというのがこの本の主旨です。そして、キャリアをデザインできたら、夢を描けたら、信じて行動することが大事。信じて行動すると成果が出て、自分の方針をもっと信じることができる。行動力や無力感は学習され、循環されるということです。

著者は最後に、自信の自身のトランジション・モデルを提唱しています。

①キャリアに方向感覚を持つ
②節目だけはキャリア・デザインする
③アクションをとる
④ドリフトも偶然も楽しみながら取り込む

「じゃあどうすれば自分が今節目にあるということを自覚できるのか?」という問に対しては、「節目かなと思ったら、まずその可能性があると思って立ち止まってみるのがよい」とのこと。

節目を捉え、よいキャリアを描いていくのが目的ですが、その「よいキャリア」について、著者は多数の定義を紹介しています。私が一番気に入った定義は、「物語の多いキャリア」です。著者はこう言っています。

「千夜一夜物語ではないが、自分が意味のある話をすれば、さらに一日命乞いができるとしたとき、あなたは、作り話ではなく自分のキャリアを語ることによって、何日生き延びることができるか。」

そういうキャリアを歩むため、キャリアの節目をしっかりと認識して、次の一歩デザインし、それができたら自分の判断を信じて行動を起こしたいと思います。

今週は土日フルタイム出勤でした。今はゆっくりと将来について考えるべき、節目の時期だと自覚しているのですが、そういうときに限って忙しかったりするのです。

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