2008年4月21日月曜日

鉄道博物館と電子マネー

所用でうちの近くに来た友人に呼び出され、食事をしました。月島でもんじゃを食べた後、どこに行こうかと考えたところ、友人の思いつきで、埼玉の大宮にある「鉄道博物館」に行くことになりました。はじめて聞く名前でしたが、そういう施設があるのです。

行ってみると結構巨大な博物館で、昔の車両や、電車が動くメカニズムを学ぶための子供向けコーナー、屋外には縮小版の線路とミニ車両があって、小さな子供が乗れたりするなど、思ったより充実していました。まあ、親子連れや小学生の社会科見学向け博物館です。

おもしろかったのは、入館が改札になっていて、SUICA/ICOCA/PASMOが使えるということ。ただ、SUICAを改札にあてただけでは入館できません。まず、券売機コーナーが別にあって、券売機の読み取り部分にSUICAをあてます。館の入り口に行って、そのSUICAを改札にあてると入館できます。

何でわざわざこんな手順をとらせるのでしょう?電車に乗るときのように、SUICAを改札にあてたときに入館料を引き落とせばいいのに。不思議だなぁと思いながら、券売機にSUICA(私はPASMOですが)をあてると、残金が足りないという表示がでました。1,000円を入れると、OKの表示が出て、PASMOを券売機の読み取り機に再度近づけようとすると、館員の方から「お客さまのSUICAはもう大丈夫です」と言われました。つまり、

①SUICAを読み取り機にあてる
②お金を券売機にいれる
③再度読み取り機にSUICAを近づけてSUICAにお金を入れる

という手順を私はイメージしていたのですが、③の手順がなかったということです。

このハプニングから、「SUICAのカード自体に登録されているのはどういう情報なのか」と考えてしまいました。少なくともこの博物館の入館時の改札では、SUICAカードから残金情報を読み取ってはいません。なぜなら、上記の手順③を行っていないと言うことは、1,000円が入金されたことをカード自体は知らないはずだからです。

たぶん、こういうメカニズムになっているのではないでしょうか。

①SUICAを券売機に読み取らせる
②券売機はSUICAからユーザIDを読み取る
③券売機はSUICAの残金を確認する
③券売機は入館料を引き落とす
④券売機はそのユーザIDの入館許可をネットワーク上の入館管理システムに出す
⑤入館管理システムはそのIDの入館を承認する
⑥改札にSUICAをあてると改札がSUICAのIDを読み取る
⑦読み取ったSUICAのIDをネットワーク経由で入館管理システムに確認する
⑧入館管理システムはそのIDが入館承認されている旨を改札に伝える
⑨改札が開く

こういう手順なら、改札通過時にSUICAカードの残金情報は必要とされません。改札通過の可否は、ユーザIDが入館管理システムで承認されているかどうかだけで決まります。

最初の疑問に答えると、この博物館への入館は、券売機にSUICAをあてた時点で決済されているのです。入館管理システムで、そのSUICAのユーザIDが承認状態にされるだけなのです。そうしている理由はおそらく、通常SUICAが駅で使用される手続きと、博物館への入館手続きを、システム上関係ない形にしたいのだと思います。だから、券売機にSUICAを読み込ませた後、入館をしなかったり、入館した後出口からでなくても、駅に行って問題なく電車に乗ることができるのだろうと思います。

もう一つ気になったのは、上記の「③券売機はSUICAの残金を確認する」という点です。SUICAの残金をどこで確認するのか。2つの可能性が考えられます。1つは「SUICAカードの中に金額情報が入っていて、それを読み取り機が読み取っている」。もう1つは「SUICAカードの中にはユーザIDしか入っていなくて、ネットワークの向こうにある管理システムで、そのユーザIDの残金が参照されている」。どちらの可能性もあり得ますが、私は後者だと思っています。その方が情報を安全に、効率的に管理できるからです。Googleやシンクライアントと同じ発想です。

ここまで考えると、Edyなどの電子マネーも同じなんだろうなと思います。使用者が持つカードには金額情報は入ってないんです。きっと。入っていても、本質的には不要な情報だということです。

とはいえこれは驚くべきことです。Edyは読み取りから決済まで、2秒くらいはかかりますが、電車や地下鉄の改札での決済は一瞬です。結構複雑な処理だと思いますが、これだけリアルタイム処理できるというのは、コンピュータの高機能化とネットワークの高速化によるものだと思いますが、それでも驚きです。

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