2008年11月15日土曜日

歌舞伎にはまる

今日はなんとなく朝から海鮮が食べたくて築地市場に行ってみました。豊洲に移るという話もあるし、最後の築地を見るという意味もあって。
まぐろ丼を食べて場外市場をうろうろしたあと、腹ごなしに銀座のほうに歩いていくと、歌舞伎座なるものがあります。何度か前を通ったことはあったのですが特段興味を持ったこともありませんでした。
ふと看板のようなものがあったので見てみると、「一幕900円」の文字。最低1万円以上はかかるようなイメージを持っていましたが(実際通常の席は値が張るのですが)、歌舞伎座には一番後ろの席で一幕、1.5時間程度だけ、飛び入りで観るというシステムがあるらしく、安いし時間も短いし、ちょうど二幕目が始まるタイミングだったので観てみました。私にとっては、初めての歌舞伎です。

演目名は覚えていませんが、歌舞伎といっても連獅子などのようないわゆる「歌舞伎」というタイプのものではなく、江戸時代ころの下町の人情物語でした。一番後ろの席だったためよく見えなかったのと、歌舞伎口調なので、何を言っているのか完全には理解できないところもありましたが、物語としては以下のような話だったのかなと思います。

あるお武家さんを騙して大金をせしめた女とその旦那の夫婦が、その武家から逃げるためにある屋敷に引っ越してきたところから物語が始まります。その屋敷は幽霊が出るとして有名だったり、屋敷の家主が女の兄だったりとドタバタ劇がありながら、ある日武家がその屋敷に訪ねてきます。
何とか命だけは助けてもらおうとする夫婦を武家は許し、退去します。そこまでしてお金がほしかったのは、実は旦那の父親が仕えていた、今は破産してしまったご主人様を救うため。
いろいろありながら、旦那が屋敷を不在にしているときに、武家は再度屋敷を訪れ、怒りに任せて女を切り捨ててしまう。
舞台は移って武家のあばら家。そこに現れたのが旦那の親父。親父は息子から預かった大金をその武家に渡そうとする・・・つまり、旦那の親父のご主人様こそが、武家その人だったのである。その事実に気づいた旦那と旦那の父親、そして武家は悲嘆にくれ、幕が閉じる。

カラッとした江戸っ子の性格や、ユーモアのある言い回しに渋い声、悠々としながらも繊細な役者の立ち回りに引き込まれつつ、舞台装置や照明、プリミティブな効果音に緊張したり驚いたりで、はっきり言っておもしろすぎ。ミュージカルより歌舞伎のほうが、断然おもしろい。といっても、ミュージカルも歌舞伎も一回ずつしか観たことないけど・・・。
親族関係や事象の因果が絡み合っていて、ストーリーとしてのエンターテイメント性も十分だし、喜怒哀楽の情緒たっぷりで、時々観客席から飛ぶ「紀伊国屋!」「万屋!」なんていう掛け声までが場の雰囲気を形作っています。昔の人はこうやって楽しんでいたんだなぁ・・・と感動してしまいました。これを900円で楽しめるとは。銀座の楽しみ方がひとつ増えました。

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