山本弘 ”アイの物語”
SFらしく宇宙空間やAIの話がいっぱい出てきます。物語の構成としては、アイビスというアンドロイドが、いくつかの物語(作中作)をフィクションとして語りながら、ヒトとはどういう存在なのかをAIの視点から捉えていく、というもの。オムニバス形式で進むひとつひとつの作中作のおもしろさもさることながら、そういう作中作がひとつにつながっていく感じがぐっときます。
映像をイメージさせる具体的な描写も秀逸。いつか映画化されることでしょう。実写になるかアニメーションになるかはわかりませんが。2時間モノとかにまとめるのはおそらく無理なので、CSとかでドラマ仕立てになるかもしれません。
AIを持つアイビスが、作中作の主人公に自分(I)を投影し、ヒトにはわからない(虚数i)視座から語る、愛の物語。ヒトの夢、フィクションの海がつくる未来に生まれたアンドロイドたちの言葉は、振り返って「ヒト」に思いを馳せる機会を与えてくれます。
0 件のコメント:
コメントを投稿