2008年8月10日日曜日

家電量販店で暇つぶし

会社で必要な備品を購入するために、家電量販店に行きました。久々に行きましたがやっぱりおもしろいとこですね。

私は家電量販店が大好きなので、全くモノを買わなくてもしばらく楽しめるのですが、家電量販店を楽しむコツを3つほど記録しておきます。 

①各企業の戦略を空想する
家電量販店においてあるモノは機能商品なので、差別化についての各社のポリシーを読み取りやすいし、比較も容易です。例えばテレビ。まあ、私は買う予定は全くないのですが。薄型テレビ各社の取り組みについて感じたことを書いておきます。

・パナソニック 中型以下は液晶、大型はプラズマで合理的。どちらが主流になっても大丈夫なように、両方に軸足をおいているのはガリバーにしかできない戦略ですが、こういうリスクヘッジしてると時代に取り残されるんだよな・・・。

・シャープ 液晶一筋。いかにコストをあげず大型化するかに努力している様子が見て取れます。画面はとてもきれいでモノはよさそう。だけど「亀山モデル」がもはやあまりブランドになっていないように見えました。お客さんも他のモデルと同じように見ていました。亀山ブランドで高価格路線取りたいなら、お客さんの動線を想定して商品陳列を考えるべきです。

・ソニー 同じく液晶。だけどシャープとの区別は感じません。これはブルーレイとの抱き合わせ戦略だけだなと思ってしまいました。ですが、ソニーはもしかすると液晶とプラズマの時代はもう見切りをつけていて、有機ELの時代を虎視眈々と狙っているのかもしれません。液晶はそこそこでよいのかも。ただ、日立に勝てるかな・・・。

・日立 プラズマ陣営ですが、プラズマテレビについては正直言って何の印象もありません。誰が買うんだ・・・?ですが、日立はそれでいいんです。彼らは薄さ3.5cmの有機ELでちゃんとしたテレビをつくっています。ソニーの有機ELがまだおもちゃみたいなのに比べるとすごい。長瀬くんがテレビを小脇に抱えているポップも印象に残ります。さすがは技術の日立と感心しました。

・東芝 液晶・・・だったかな?あまり商品自体は記憶に残っていませんが、値段が安い。そこそこの大きさの液晶を10万円以下で買える。価格競争仕掛けているのは東芝だけだったように見えました。これはこれですばらしい戦略。

・パイオニア 東芝と真逆の高価格路線。パイオニアだけ売り場がブース状になっていて、椅子に座って独立スピーカで音声を流しています。他の店でもパイオニアだけはこういう売り方してますね。これもこれで正しい差別化戦略なのだと思いますが、それが許されるのは圧倒的なスペックとか、デザインとかがあればの話。パイオニアは画質を売りにしていますが、いまやどの会社のテレビももはやそこそこ画質がきれいですし、ぱっと見で他社を圧倒するのは難しい。よく見ると確かにきれいなのですが。ブース状に陳列しているのがパイオニアだけなので、他のテレビと横に並べて比較できない点も、お客さんから見て商品力の差を感じにくい一因となっています。

・三菱 商品は全く普通なのですが、画面にツヤツヤのガラスを貼って、ぱっと見画質がよいような印象を受けます。以前、パソコンのディスプレイにもツヤツヤガラスを貼るのが流行りましたよね。そのほかにもリモコンが着せ替えできるとか、テレビの本質ではないところで差別化を図っているように見えました。これはエンジニアの発想ではないな・・・テレビ事業にはあまり注力していなくて、できるだけ低コストでインパクト出したいという思惑がにじみ出ているように感じました。ただ、パイオニアのような差別化よりもこんな些末なことの方が購買行動にはつながるのかもしれません。

②技術水準と価格水準の感覚を養う
家電は機能向上と価格低下の著しい商品なので、トレンドにキャッチアップするだけでも知的好奇心が満たされるし、相場観が養われて消費者の消費動向を感覚的につかめます。

例えば薄型テレビだと、民生品の最大サイズは65インチで、価格は100万円を切ってきています。個人的には、超大型テレビの技術革新のスピードは遅めだなぁと感じています。

また、デジカメは普通に持ち歩くようなのだと、1,000万ピクセルで3万円台程度で売られていて、これは思っていたよりも安い。

一方掃除機や洗濯乾燥機は高価格にシフトしていて、定価は例えば掃除機は12万円台、洗濯乾燥機は20万円を超えるなんてものも普通にある。ただ、販売価格は12万円台のモノが6万円台、20万円を超えるモノが14万円台くらいと、新製品にもかかわらず登場早々価格破壊を起こしています。それぞれの製品の機能は向上しているのですが、やっぱり機能向上の延長線上にある製品の大幅な価格アップは消費者には受け入れにくいですよね。洗濯機が洗濯乾燥機になるくらいのユーザ視点での大きな変革が必要なのでしょう。言うは易く行うは難し、ですが。

あと、コンピュータのソフトウェアはそれほど急速に変化しているわけではないように感じましたが、バンドリングに工夫が見られました。パンフレットには、ソフトウェアの説明というよりも、やりたい仕事の流れに沿って、どのソフトをどう使うかというような紹介の仕方をしていて、技術が進まないなら売り方を変える、という工夫が見られたことはとても参考になりました。

③顧客属性を観察する
夏休みだからと言うのもあるのでしょうが、今日は外国人が多かったです。日本の大型家電量販店というのはそもそも外国人の訪れるショッピングスポットの一つなのでしょうが。

デジカメなどは、陳列しているモックアップに「made in Japan」のシールがベタベタ貼られていて、外国人にアピールしています。カメラは特に人気でした。英語を話せない店員さんのレジに外国人が商品を持って行ったシーンに出くわしたのですが、それほど混乱せずに対応していました。慣れています。

うろうろ見回っていたら、結局2時間くらい店内で過ごしてしまっていました。

家電量販店に来るお客さんの多くは、「テレビを買う」「エアコンを買う」のように、商品名で目的感をある程度持って来店しますが、私のように目的を持たないお客さんを店に呼び込む、また目的を持たずに来たお客さんに何か買わせる、という努力が必要だと思います。具体的には、サービス業的な要素を内包すべきだと私は考えています。

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