2008年5月25日日曜日

日経ビジネスの記事たくさん

日経ビジネスをたくさん読んでいたのですが、まとめる時間が無くてたまってしまっていました。日経ビジネスは3月あたりから日本を、特にものづくり力から復活させたいという想いを込めた記事をたくさん特集していておもしろいですね。

日経ビジネス2008年3月31日号 ”日本の時価を上げろ”
実体経済以上に売られる日本株を取り巻く状況についての記事。おもしろかったことは、今の日本は「短期投資家は売り、長期投資家(シンガポールやノルウェーの政府系ファンド)は買う」となっているという意見。
また、日本はM&Aに否定的な企業が多いことや政府による外資締め出しは本質的な問題ではなく、「世界的に見て収益力が低いこと」が外資からは一番見られているということ。

同号 ”メキシコ 世界を揺るがすヒスパニック・パワー”
「BRICs」という言葉を生み出したゴールドマン・サックスは、2050年にメキシコが世界第5位の経済大国になると予想しているそうです。そんなメキシコの記事です。
まず、電力や水道などインフラに日本の商社が深く関わっており、今後鉄道や港湾、空港にも手を伸ばそうとしていること、東洋水産が「マルちゃん」ブランドで、カップ麺を国民食の地位にまで高めていることなどが挙げられていますが、そこまでメキシコが魅力的に見られているのは、今後米国の人口増加はヒスパニック系が牽引すると見られているため。海外企業がメキシコを中南米の拠点都市、メキシコから北米を攻めるという潮流が起きているらしい。

日経ビジネス2008年4月7日号 ”地力を信じろ”
企業買収、事業買収で技術を買うことよりも、「地力」、つまり社内に眠る力を生かせという記事です。主張としては、「ほしい技術を買収する必要はない。社員が組織への依存心を捨てて必死になればイノベーションは起きる」ということ。
技術的イノベーションを起こすためには、大きなプロジェクトを小集団ではじめること。小集団なら冒険もできるし、技術者一人ひとりが必死になる。会社がリスクを背負うのを期待するのではなく、個人がリスクをとる覚悟と決意が必要。個人が自分で「気づき」を得て、自分で育たなければならない。
ホンダはコージェネレーションシステムやディーゼルエンジンの開発を小集団で実施し、成果をあげたが、そこで招集された技術者は必ずしも精鋭ばかりではなく、それどころか素人集団だったとのこと。ディーゼルエンジン開発にディーゼル反対派を責任者としたことで、その分野で最後発だったホンダが最先端に躍り出たというのは、日本の技術者の潜在能力の高さを感じさせるエピソードです。

日経ビジネス2008年4月14日号 ”日立とニッポン 技術独善、100年目の孤独”
タイトルからしてぐっとくる記事です。まず日立を示す例として洗濯機を挙げています。
2003年に松下電器が「ななめドラム式」により、洗濯機市場首位の日立を引きずり下ろしました。シャープや東芝がななめドラム式に追随する中、日立は「ビート式(衣類を上下に振動させて洗う方法)」を世界ではじめて開発。水の使用量、洗浄力、洗濯時間全てで他方式を圧倒しながらも、消費者が選んだのは、「洗濯物の出し入れがしやすいななめドラム」でした。スペック偏重、技術の独善がシェア低下を招いたということです。
そんな中、2006年6月15日に、中部電力の浜岡原発でタービンの故障が発生し、タービンを製造している日立のブランドへの信頼は根底から揺るがされる。時価総額では売上高で4割に満たない三菱電機にも抜かれてしまう。
M&Aを仕掛けても失敗が続き、IT革命の波に乗ろうとしてもそれほどの経済効果は上げられず。私は日立のIPS液晶のファンだっただけに、液晶撤退、プリウス撤退は悲しかったな・・・。
世界初の水冷式ノートPCなど、日立のカタログには「世界初」「世界最小」「世界最速」「世界最薄」そんな言葉で埋められているのに、一向に売れない。
そんな日立はこれから原点回帰として、「社会インフラ」をコア事業として絞るとのこと。具体的には電力事業に加えて鉄道事業にも注力していくそう。
「そんなことなら日立の方がもっとうまくやれる」ではなく、「日立にしかできないことをやる」という決意にも見えます。とはいえ、スペック至上主義、超プロダクトアウトな技術者集団こそが、技術的イノベーションをもたらすような気もして、ちょっと残念な気がするのは私だけでしょうか。売れなかったけどどこにもつくれない「ビート型洗濯機」を実現してしまうところこそ、日立っぽくて私は好きなのです。

最近の日経ビジネスからは、「ニッポンは必ず復活する、復活を牽引するのはやっぱりものづくりだ」という気概が伺えて、とても好感を持っています。

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