日経新聞にて、2008/1/5~1/24で、会社研究の記事が連載されていました。
経営者21人による、「今年の株価有望銘柄アンケート」での上位企業の
強みと課題についての特集です。
ここで挙げられた各企業の強みと課題を、それぞれ1項目ずつとりあげ
簡単にまとめてみました。
1位:コマツ
○:製造手法の世界統一化により、世界のどの工場から、世界のどこにでも供給ができる。
個別のエリアの情勢に影響を受けない。
×:商品の燃費性能の向上。原油高騰のインパクトは人件費増加よりも大きいようだ。
2位:トヨタ自動車
○:ロシア、中国での製造、販売戦略。
×:インド、ブラジルでは弱い。北米脱皮に向けての成長シナリオの実現が期待される。
3位:三菱商事
○:近年、資源メジャーに権益を囲われてしまっている。
そんな中で、中堅資源会社へのハイリスク投資を積極的に行っている。
×:資源分野以外の収益力底上げが不十分。
総合力は三菱の武器であり、アイデンティティである。
4位:東レ
○:炭素繊維による収益が絶好調。
×:伝統事業である繊維やプラスチック、ケミカルへのてこ入れ。
よりいっそうの多角化が必要。
5位:日本ガイシ
○:環境問題というトレンドを捉えて、新規事業である、
DPF(ディーゼル自動車用排ガス浄化装置)が好調。
×:主力事業であるDPF事業への依存度が高まっており、「一本足打法」への懸念がある。
6位:ダイキン工業
○:海外企業への積極的なM&Aに加え、技術をスムーズに移転できており、
グローバル化がうまくいっている。
×:米国では、温度調整した空気を建物全体に送り出す方式がメジャーであり、
日本とは異なる。米国市場での成長が課題。
7位:シャープ
○:液晶テレビメーカから脱却し、「パネルメーカ」、つまり他家電メーカへの
パネル外販を強化し、収益をあげている。
×:テレビ以外の事業が弱い。完全に一本足打法になってしまっている。
8位:商船三井
○:詳細な海外調査に基づき、海運不況時に超大型船の建造に踏み切る、といった
先行投資の手腕。
×:米国景気、新興国景気に大きく影響を受ける。
9位:オリンパス
○:好調な内視鏡に加えて、外科分野の手術器具メーカを買収するなど、
コア分野である医療機器を強化している。
×:デジカメや投資会社など、多角化しているわりに事業間のシナジーが弱い。
選択と集中が必要。
こう見ると、強みも課題も、「事業ポートフォリオ」あるいは「エリアポートフォリオ」と
いう表現で整理できそうです。ポートフォリオといえば
ボストン・コンサルティング・グループの「プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス」や
GEとマッキンゼーの「ビジネス・スクリーン」が有名ですね。
以前私も、「そういうのをつくってみたいなぁ」と、考えたことがあります。
ですが、結局できませんでした。いくつかの企業を例題にしてマトリクスをつくったり
したのですが、どんな企業にも当てはまりそうなポートフォリオ評価ツールは、
結局現状評価にしか使えず、「理想のポートフォリオ」を教えてくれるものには
ならなかったのです。そんな都合のいいもの、簡単につくれるわけないのですが。
なお、これは株価に関するアンケートなので、もちろん自社株買いや
無借金経営、資本効率なども重要な評価の対象となっています。
ただ、私の興味は事業の成長性にあったので、ここでは事業の話のみ取り上げました。
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