2008年3月7日金曜日

ナショナルフラッグの凋落

同時期に2つの経済誌で、日本のトップ企業の凋落が語られていました。

週間ダイヤモンド 2008/02/23号
”危機感なき三菱UFJ”

三菱とUFJの情報システムの統合にまい進する
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)を痛烈に批判しています。
システム統合に関する批判から、三菱UFJの本質的な問題提起につなげています。

・システム統合のコストが当初想定の2倍以上に膨れ上がってしまっていること
・システム統合の負担に加え、コンプライアンス強化の結果、
 本業にあてる人員が減り、サービス低下、収益力低下を招いていること
・業界ナンバーワンのUFJのリテールのシステムではなく、
 業界でも遅れている三菱のシステムに統合していること
・システムだけでなく、旧UFJの人材を活用しきれていないこと

そうして話は三菱UFJの風土の話に入っていきます。
ここでは、三菱UFJを蝕む4つの「呪縛」を紹介しています。

①「覇権主義」
UFJではなく東京三菱のシステムを採用する、主要ポストを旧東京三菱で占める、
といった覇権主義は、三菱銀行が東京銀行と合併したときからあったとのこと。
「三菱銀行は常に相手を自らの支配下に置くと言う考え方をする企業だ」。 

②「官僚主義」
各人の責任の所在が明確で、他人の担当領域については一切口出しをしない。
「目の前のゴミはきれいにするが、他人のゴミは絶対に片付けない。
”組織の三菱”とはセクショナリズムのことだ」。 

③「減点主義」
過去五回の行政処分のうち、旧UFJの不祥事は一回。発注漏れや誤発注は
減点対象であったため、トラブルに対して一部の社員が謝罪だけで
すませたこともあったとのこと。

④「リスク回避による成功体験」
バブル期に積極投資を行わなかった旧東京三菱は、不良債権の傷が浅く、
健全経営をできたことで、リスクを嫌う企業風土ができあがってしまったとのこと。

記事の表現はかなり刺激的です。危機感を持てと檄を飛ばしているのでしょう。

MUFG永易副社長はインタビューで、次のように述べています。
「我々はグローバルの一角を占める”ナショナルフラッグ”という
名誉ある存在になりたいのだ。
そのためには、ダボハゼのように儲けばかりを考えるのではなく、
”品格ある会社”にならねばならない」

このインタビューに対しても、
「今のままでは、果ては強みのない、品格だけの金融機関にもなりかねない」
と手厳しいです。

この記事では、全体を通じてMUFGの未来が危ないという論調で、
確かに私も共感できるところもあります。

ですが、MUFGのシステム統合が、来年無事完了するころには、
サブプライム問題も一息つき、景気回復とともに円金利が上がっているかもしれません。
日本一、円預金を保有するMUFGは、金利上昇の恩恵を最大限に享受し
「ほら、やっぱり大丈夫だったじゃないか」となったりするような気もしています。
そして、ますます危機感は薄まり、リスクをとれない組織になってしまうかもしれませんね。

最近Blogの文章が長文化してきてしまっていますので、
もうひとつの記事は、また明日紹介することにします。

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