2009年5月10日日曜日

グラン・トリノ

グラン・トリノを見ました。クリント・イーストウッドの作品はどれもこれも絶賛されているのに私は実はあまり見たことがなくて、結局チェンジリングも見なかったのでグラン・トリノはぜひ見たいと思っていたのです。

内容は、アメリカの片田舎で、フォードのエンジニアを長年務めた頑固親父のウォルト(イーストウッド)が、隣に住むアジア系移民のモン族の一家と心を通わせていく話で、本当に日常の風景。人種の問題、戦争が残す傷跡、核家族化し孤独になる高齢者、若者とギャング、自動車産業が廃れ荒廃する街、などなど、考えさせられるテーマが何気ない形で盛り込まれていて、でも押し付けがましくなく、わずかにちりばめられたユーモアとともに展開される大人の映画だと思います。それに加えて、クリント・イーストウッドが映画人としての人生をどのように閉じようか逡巡している心境がそこはかとなく感じられました。淡々としていながらも、ちょっと切ないんですね。

イーストウッド扮する主人公のウォルトの味わい深さはもちろん、ウォルトと心を通わせるモン族の姉弟や、ウォルト宅にしつこく通う若い神父の荒削りさ、青さがまたたまらないですね。メジャーな俳優をキャスティングしないところがいい。起承転結のルールをオーソドックスに守り、奇をてらわずにメッセージを描く姿勢に、こういう映画もいいなぁと素直に思いました。

ちなみにグラン・トリノというのはフォード製の旧車です。この車のハンドルを、ウォルトが現役時代に取り付けた、という設定になっています。劇中に出てくるピカピカのグラン・トリノが、本当にカッコいい!

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