2008年2月16日土曜日

リーダーシップの使い分け

会社の机の引き出しから、ずっと前に印刷しておいた
論文が出てきたので、読んでみました。

Scott W.Spreier, Mary H.Fontaine, Rhth L.Malloy
"やり手リーダーの暴走を防ぐ「達成動機」のマネジメント"

ハーバード大学の心理学者、デイビッド・マクレランドは
人間の行動が3つの社会的動機によって
解明できると考えました。

達成動機
 「優れている」とされる水準を超えた
 成果をあげたいという動機。

親和動機
 人々と親しい関係を保ちたいという動機。

権力動機
 周りの人々に影響を及ぼしたいという動機。
 権力動機はさらに、他者をコントロールしたいという
 「個人的な権力動機」と、
 部下の能力を高めて強さを身につけたいという
 「組織的な権力動機」に分類される。

マネージャを対象としたあるアンケートによると、
この3つの動機のうち、「達成動機」が、
年々強まっているとのこと。

本稿は、過度の「達成動機」がもたらす弊害を提示し
あるべきリーダーシップのスタイルを述べています。

結論としては、達成動機の暴走を強い意志で抑え込み、
自分自身から、「組織的な権力動機」をうまく引き出すことが重要とのこと。

自分自身の動機をコントロールし、優れたリーダーシップを
発揮できるリーダーは、状況に応じて
6種類のリーダーシップ・スタイルを使い分けているのだそうです。

その6種類とは

①指揮官型:部下に細かく指図する
②ビジョナリー型:明快なビジョンを掲げる
③親和型:和やきずなを重んじる
④参加型:皆を公平に扱い、大勢を巻き込んで意思決定する
⑤率先・介入型:みずから率先して活躍する
⑥コーチ型:部下のやりたいことを引き出すことに情熱を注ぐ

とのこと。

ちょっと主張が不明瞭な論文という感触を受けました。
動機の分類と、リーダーシップの分類を紹介しているのですが
現象の分析だけにとどまり、「So What?」がありません。

私がこの論文の書き手なら、こういう考察を加えます。

 「達成動機」の暴走を抑え込み、
 「組織的な権力動機」を自分の中から引き出すことが重要だ。

 だけど、「動機」はコントロールできる要素ではない。
 つまり、動機とは内発的に湧いてくるものであり、
 自分で自由に引き出したり、抑えたりできるものではない。
 
 だから、まずはリーダーシップを使い分けることだ。
 「リーダーシップ」はコントロールできる要素だ。
 つまり、状況に対する観察力と、意志さえあれば、
 リーダーシップの使い分けはできる。

 「リーダーシップとは使い分けるものだ」ということを
 日頃から認識していれば、危機的状況になったときに
 冷静に、もっとも効果的な形で組織を牽引できる。

 いろいろなリーダーシップを実践するうちに、
 組織を牽引する成功体験が蓄積される。
 そうすると、「組織的な権力動機」が自分の中に湧いてくる。

 「組織的な権力動機」の高まりを自覚できれば、
 よいリーダーとして振る舞えていると、自己評価してよいだろう。

こんな感じでしょうか。

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